外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
20.国を作る方法
「…とは言ったものの、ワールフィアといえども国を作りますと言ってすぐにできる訳ではない」
朝食の後、みんなが集まった席でアマーリアが切り出した。
そして木の枝で地面に地図を描いた。
「ここがフィルド王国でその下にベルトラン帝国がある。そしてワールフィアはその真横に位置している。今回、国を作ろうとしているのはこの辺一帯だ」
そう言ってフィルド王国とベルトラン帝国の横の縦に細長い部分を囲んだ。
「知っての通りワールフィアは多部族国家であり、各魔族ごとに小国を作っている。国同士は交流があったりなかったりするのだが基本的には他国のことには不干渉を貫いている」
そして先ほど描いた細長い部分の更に横に二本の横線を引いた。
「問題は、だ。ワールフィアで国を興そうと思った時には隣接する部族国家の承認を得ることが昔からの不文律になっていることだ」
そう言って先ほど引いた二本の線の上の部分を指した。
「私たちがいる場所から一番近いこの国は龍人族、つまり我が種族の国だ。そしてその下は蛇髪女人族、更にその下が吸血族の国になっている。少なくともこの三つの部族国家の了承を得る必要があるだろう」
なるほど、国を作るのにも根回しが必要な訳か。
「とは言えここは長らく他の魔族から興味を持たれなかった土地だ。いきなり拒否されることはないと思うが、それでも気を抜かないに越したことはないだろうな」
「わかりました」
フェリエが固い表情で頷いた。
「とりあえずは龍人族の国へ行こう。ここは私の勝手知ったる国だからとっかかりとして最適だろう。何か土産を持っていった方が良いだろうな」
「土産、ですか」
「うむ、龍人族はことのほか土産を貴ぶのだ。特に酒やそれに類するものが良いだろうな」
「お酒…ですか。あるにはあるのですが、あまり作ってはいないんですよね」
フェリエが困ったように首を傾げた。
「いや、なにも酒である必要はないぞ。酒を飲むのに使う容器やつまみになるものでもよいのだ。ないなら別のものでもいいしな」
土産か、確かに話をしに行くんなら必要だよな。
しかもアマーリアと同じ龍人族ならば酒やつまみ類が最適なのもわかる。
とは言えつまみか…チーズでも作って持っていくか?でもそれだと時間がかかるよな…
うーん、とのけぞって考えていると後ろにつんのめってしまった。
「何をしているのだ」
呆れたようにソラノが伸ばした手を掴もうとした時、後ろに上下さかさまになった小さな生け垣が見えた。
赤い実が付いた生垣だ。
「こ、これは!?」
俺は慌ててその生垣に駆け寄った。
「これは唐辛子じゃないか!」
「唐辛子?なんですか、それは?」
フェリエが不思議そうに聞いてきた。
「これだよ!この赤い細長いの!こいつは唐辛子という香辛料になるんだよ!」
「そうなんですか?それは辛くてとても食べられたものではないと思うのですが。それは防虫用に栽培してるんですよ。食べるのであればあちらのピーマンの方が良いのでは?」
そう言って指差した先には確かにピーマンがなっていた。
「いや、ピーマンはピーマンで良いんだけど、これは料理に辛味を付けるのに最適なんだよ!特に肉料理に合うし、辛くした料理は酒のつまみにぴったりなんだ」
そう言って俺は唐辛子を二、三個もぎ取ると口に含んだ。
辛え!
半端なく辛い。日本の唐辛子の数倍はある。
慌てて水を飲んだけど辛さが全然引かない。
「だから言ったのに。とても食べられないでしょう?」
「い゛や゛、こ゛の゛辛さが良いんだ。アマーリア、こいつの水分を飛ばせないか?」
俺は辛さに悶えながらアマーリアに頼んだ。
「お安い御用だ」
アマーリアそう言って唐辛子をつまんで呪文を唱えた。
あっという間に採れたての唐辛子が乾燥状態になる。
「種は特に辛いから取り除いて、それからこいつを粉にするんだ。そうして肉料理に振りかける」
そう言って朝食で食べた焼いた鶏肉に振りかけ、かぶりついた。
うん、これはいける。
猛烈な辛さだからほんの少しでいいけど唐辛子の辛味が十分に効いていて噛むたびに食欲がわき上がってくる。
「で、では私も食べてみるかな」
「わ、私も一つ」
「キリも食べる!」
唐辛子をかけた肉にかぶりつく俺を見て興味が出てきたのだろう、みんなも恐る恐る腕を伸ばしてきた。
「辛っ!な、なんだこの辛さは!」
「水、水を取ってください!口が焼けてしまう!」
「辛い…でも結構美味しいかも」
唐辛子を食べた反応は様々だったけど、やはり相当辛く感じるみたいだ。
初めて経験する辛味だからそれは当然だろうな。
「なんだこの辛さは!まるで口の中に火が付いたみたいだ」
アマーリアはそう言いながらも次々と唐辛子のかかった肉を口に運んでいる。
「こんな辛い物、とても食べられるとは思えんのに何故か食べるのを止められないぞ。それに酒が欲しくなってくる!」
「私はもう駄目だ。口の中が麻痺して味を感じなくなってる。本当にこれは食べ物と呼んでいいのか?」
どうやらソラノは辛い物が駄目らしい。
真っ赤な顔をして汗を拭いている。
「これは確かに辛いですけど、不思議と次も食べたくなってきますね」
フェリエも気に入ったみたいだ。
フラムとキリは平気な顔でぱくついているけどドライアドの連中は軒並み目を回している。
魔族と言っても辛さに対する耐性は様々ってことか。
「どうだ?これなら嵩張らないし、どんな料理だってこれをかけたら酒のつまみに早変わりだ。龍人族へのお土産にぴったりだと思わないか?」
「ああ!これは最高の土産になるぞ!こんな素晴らしい土産は龍人族始まって以来だろう!きっと叔父上も喜んでくれるに違いない!」
アマーリアが嬉しそうに叫んだ。
「決まりだな。唐辛子を収穫したら龍人国に向かおう!」
朝食の後、みんなが集まった席でアマーリアが切り出した。
そして木の枝で地面に地図を描いた。
「ここがフィルド王国でその下にベルトラン帝国がある。そしてワールフィアはその真横に位置している。今回、国を作ろうとしているのはこの辺一帯だ」
そう言ってフィルド王国とベルトラン帝国の横の縦に細長い部分を囲んだ。
「知っての通りワールフィアは多部族国家であり、各魔族ごとに小国を作っている。国同士は交流があったりなかったりするのだが基本的には他国のことには不干渉を貫いている」
そして先ほど描いた細長い部分の更に横に二本の横線を引いた。
「問題は、だ。ワールフィアで国を興そうと思った時には隣接する部族国家の承認を得ることが昔からの不文律になっていることだ」
そう言って先ほど引いた二本の線の上の部分を指した。
「私たちがいる場所から一番近いこの国は龍人族、つまり我が種族の国だ。そしてその下は蛇髪女人族、更にその下が吸血族の国になっている。少なくともこの三つの部族国家の了承を得る必要があるだろう」
なるほど、国を作るのにも根回しが必要な訳か。
「とは言えここは長らく他の魔族から興味を持たれなかった土地だ。いきなり拒否されることはないと思うが、それでも気を抜かないに越したことはないだろうな」
「わかりました」
フェリエが固い表情で頷いた。
「とりあえずは龍人族の国へ行こう。ここは私の勝手知ったる国だからとっかかりとして最適だろう。何か土産を持っていった方が良いだろうな」
「土産、ですか」
「うむ、龍人族はことのほか土産を貴ぶのだ。特に酒やそれに類するものが良いだろうな」
「お酒…ですか。あるにはあるのですが、あまり作ってはいないんですよね」
フェリエが困ったように首を傾げた。
「いや、なにも酒である必要はないぞ。酒を飲むのに使う容器やつまみになるものでもよいのだ。ないなら別のものでもいいしな」
土産か、確かに話をしに行くんなら必要だよな。
しかもアマーリアと同じ龍人族ならば酒やつまみ類が最適なのもわかる。
とは言えつまみか…チーズでも作って持っていくか?でもそれだと時間がかかるよな…
うーん、とのけぞって考えていると後ろにつんのめってしまった。
「何をしているのだ」
呆れたようにソラノが伸ばした手を掴もうとした時、後ろに上下さかさまになった小さな生け垣が見えた。
赤い実が付いた生垣だ。
「こ、これは!?」
俺は慌ててその生垣に駆け寄った。
「これは唐辛子じゃないか!」
「唐辛子?なんですか、それは?」
フェリエが不思議そうに聞いてきた。
「これだよ!この赤い細長いの!こいつは唐辛子という香辛料になるんだよ!」
「そうなんですか?それは辛くてとても食べられたものではないと思うのですが。それは防虫用に栽培してるんですよ。食べるのであればあちらのピーマンの方が良いのでは?」
そう言って指差した先には確かにピーマンがなっていた。
「いや、ピーマンはピーマンで良いんだけど、これは料理に辛味を付けるのに最適なんだよ!特に肉料理に合うし、辛くした料理は酒のつまみにぴったりなんだ」
そう言って俺は唐辛子を二、三個もぎ取ると口に含んだ。
辛え!
半端なく辛い。日本の唐辛子の数倍はある。
慌てて水を飲んだけど辛さが全然引かない。
「だから言ったのに。とても食べられないでしょう?」
「い゛や゛、こ゛の゛辛さが良いんだ。アマーリア、こいつの水分を飛ばせないか?」
俺は辛さに悶えながらアマーリアに頼んだ。
「お安い御用だ」
アマーリアそう言って唐辛子をつまんで呪文を唱えた。
あっという間に採れたての唐辛子が乾燥状態になる。
「種は特に辛いから取り除いて、それからこいつを粉にするんだ。そうして肉料理に振りかける」
そう言って朝食で食べた焼いた鶏肉に振りかけ、かぶりついた。
うん、これはいける。
猛烈な辛さだからほんの少しでいいけど唐辛子の辛味が十分に効いていて噛むたびに食欲がわき上がってくる。
「で、では私も食べてみるかな」
「わ、私も一つ」
「キリも食べる!」
唐辛子をかけた肉にかぶりつく俺を見て興味が出てきたのだろう、みんなも恐る恐る腕を伸ばしてきた。
「辛っ!な、なんだこの辛さは!」
「水、水を取ってください!口が焼けてしまう!」
「辛い…でも結構美味しいかも」
唐辛子を食べた反応は様々だったけど、やはり相当辛く感じるみたいだ。
初めて経験する辛味だからそれは当然だろうな。
「なんだこの辛さは!まるで口の中に火が付いたみたいだ」
アマーリアはそう言いながらも次々と唐辛子のかかった肉を口に運んでいる。
「こんな辛い物、とても食べられるとは思えんのに何故か食べるのを止められないぞ。それに酒が欲しくなってくる!」
「私はもう駄目だ。口の中が麻痺して味を感じなくなってる。本当にこれは食べ物と呼んでいいのか?」
どうやらソラノは辛い物が駄目らしい。
真っ赤な顔をして汗を拭いている。
「これは確かに辛いですけど、不思議と次も食べたくなってきますね」
フェリエも気に入ったみたいだ。
フラムとキリは平気な顔でぱくついているけどドライアドの連中は軒並み目を回している。
魔族と言っても辛さに対する耐性は様々ってことか。
「どうだ?これなら嵩張らないし、どんな料理だってこれをかけたら酒のつまみに早変わりだ。龍人族へのお土産にぴったりだと思わないか?」
「ああ!これは最高の土産になるぞ!こんな素晴らしい土産は龍人族始まって以来だろう!きっと叔父上も喜んでくれるに違いない!」
アマーリアが嬉しそうに叫んだ。
「決まりだな。唐辛子を収穫したら龍人国に向かおう!」
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
63
-
-
141
-
-
37
-
-
124
-
-
39
-
-
238
-
-
34
-
-
0
-
-
969
コメント