外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
31.鉄喰蟲
俺たちは坑道に戻り、何度も曲がりながら地下へ地下へと降りていった。
「テツヤさんなら鉄喰蟲の気配もわかるんじゃないですか?」
「そうかなあ…ってほんとにいた!!!!」
テーナの言葉に半信半疑で辺りをスキャンした俺は思わず叫び声をあげた。
確かに穴の奥に巨大な生物の気配がする。
しかも一体や二体じゃない、とんでもない数だ。
「ここは鉄喰蟲の巣穴に通じる道なんです」
そこは巨大なドーム型の広場になっていた。
地下およそ五百メートル、汗ばむほどの暑さだけど鉄喰蟲が掘る穴の影響なのだろうか不思議と息苦しさは感じない。
そしてそのドームの中央に巨大な虫たちが群れていた。
一見するとやたら長いダンゴムシに見える。
いや、外皮が硬質なミミズと言った方が良いだろうか。
そんな蟲が何匹もドームの中にいて蠢いていた。
「ああ見えて大人しいんですよ。人を傷つけるようなことはありません」
とは言っても正直かなり不気味な光景だぞ。
歴戦の猛者であるアマーリアとソラノも流石に青い顔をしている。
平気な顔をしているのはフラムだけだ。
「あれが鉄喰蟲の女王です」
テーナが一番巨大な蟲を指差した。
女王はひときわ大きく、体の長さは他の蟲たちの倍以上ある。
体長百メートル以上あるんじゃないだろうか。
「女王はこの巣穴で家来の蟲たちが持ってくる餌を食べ、数十年に一度だけ卵を産むと言われています。女王がどこで、どうやって卵を産むのかはわかっていません。それがわかれば…あれは?」
呟くようなテーナの言葉が急に止んだ。
「まさか、あの連中は…!」
焦ったようなテーナの言葉にその視線を追ってみると、そこには別の穴から数人の鉱夫が姿を見せているところだった。
その手に鉱山には不釣り合いな巨大な槍を持っている。
「あんたたち、止めなさい!」
テーナが叫び声をあげた。
しかしその声も連中のところまでは届かないらしく、鉱夫たちは鉄喰蟲に槍を投擲した。
ギイイイイィィィィィィッ!!!!!
外皮の隙間に槍を撃ち込まれた鉄喰蟲が金属をこすり合わせるような悲鳴を上げる。
「あいつらは何をしてるんだ?」
「あいつらは鉄喰蟲狩りです!ああいう連中のせいで鉄喰蟲が激減してるんです!」
「だったらひとまず止めたらいいんだな?」
俺は連中の持っていた槍をワイヤーに変えて拘束し、ワイヤーを操ってこちらに連れてきた。
「これでいいんだろ?」
呆気にとられるテーナに俺は縛り上げた鉄喰蟲狩りを渡した。
「あんたたちなんてことをしてるんだ!鉄喰蟲は殺すべからずという一族の掟を忘れたのかい!」
テーナの怒号が坑道に木霊した。
さっきまでの真面目な口調とは大違いだ。
これがテーナの素なのだろうか。
「で、でもよう、鉄が採れねえんじゃ俺たちだって生きていけねえよ」
「俺たちだって家族を養わなきゃいけねえんだよ!」
鉄喰蟲狩りの言葉にテーナは頭を抱えてため息をついた。
「自分たちのしたことが分かってるのかい。そんなことをしてたら鉄喰蟲はいなくなる。そうなったら私たちだって終わりなんだよ」
「俺の娘、テーナはこの鉱山の調査隊長をしていてな。どうにか鉄の採掘を復活させようと頑張ってくれてるんだが、なかなか上手くいかなくてな。最近じゃ裏で鉄を流すために一族の中にも鉄喰蟲狩りまで出てくる始末なんだ」
エルニックが説明してくれた。
なるほど、そういう事情があったのか。
「今回旧道に行ったのもそのためなんだろう。旧道ってのは過去の女王が掘った穴でよ。旧道の奥には女王が生んだ鉄でできた卵の殻が大量にあるって言い伝えが残ってるんだ。まだ見つかったことはないんだがそれを探しに行ったんだろうよ」
やるせない口調でエルニックが続けた。
「このままじゃいずれこの鉱山はアクダルモ商会に買われちまう。そうなったら終わりだ。奴らは鉄喰蟲を残らず狩っちまうだろう」
待った、今アクダルモ商会と言ったか?
「ああ、奴らはこの鉱山を狙っていやがるんだ。ここ最近は鉄の値段を三分の一まで下げられてにっちもさっちもいかなくなっちまった。鉄の盗難や密猟が増えたのも奴らの仕業に違いねえんだが、なんせ証拠がなくてな。」
ふむ、まさかここでアクダルモ商会の名前が出てくるとは。
ということはこれを裏で画策しているのがベンズという可能性もある。
…でもこれは逆に好機かもしれない。
「…なあ、あの鉄喰蟲狩りは他の連中に連れて行ってもらってあんたとテーナだけ残ってもらうことはできるかな?」
「あ、ああ、それは構わねえけど?」
俺の言葉にエルニックが怪訝な顔で答えた。
「テツヤさんなら鉄喰蟲の気配もわかるんじゃないですか?」
「そうかなあ…ってほんとにいた!!!!」
テーナの言葉に半信半疑で辺りをスキャンした俺は思わず叫び声をあげた。
確かに穴の奥に巨大な生物の気配がする。
しかも一体や二体じゃない、とんでもない数だ。
「ここは鉄喰蟲の巣穴に通じる道なんです」
そこは巨大なドーム型の広場になっていた。
地下およそ五百メートル、汗ばむほどの暑さだけど鉄喰蟲が掘る穴の影響なのだろうか不思議と息苦しさは感じない。
そしてそのドームの中央に巨大な虫たちが群れていた。
一見するとやたら長いダンゴムシに見える。
いや、外皮が硬質なミミズと言った方が良いだろうか。
そんな蟲が何匹もドームの中にいて蠢いていた。
「ああ見えて大人しいんですよ。人を傷つけるようなことはありません」
とは言っても正直かなり不気味な光景だぞ。
歴戦の猛者であるアマーリアとソラノも流石に青い顔をしている。
平気な顔をしているのはフラムだけだ。
「あれが鉄喰蟲の女王です」
テーナが一番巨大な蟲を指差した。
女王はひときわ大きく、体の長さは他の蟲たちの倍以上ある。
体長百メートル以上あるんじゃないだろうか。
「女王はこの巣穴で家来の蟲たちが持ってくる餌を食べ、数十年に一度だけ卵を産むと言われています。女王がどこで、どうやって卵を産むのかはわかっていません。それがわかれば…あれは?」
呟くようなテーナの言葉が急に止んだ。
「まさか、あの連中は…!」
焦ったようなテーナの言葉にその視線を追ってみると、そこには別の穴から数人の鉱夫が姿を見せているところだった。
その手に鉱山には不釣り合いな巨大な槍を持っている。
「あんたたち、止めなさい!」
テーナが叫び声をあげた。
しかしその声も連中のところまでは届かないらしく、鉱夫たちは鉄喰蟲に槍を投擲した。
ギイイイイィィィィィィッ!!!!!
外皮の隙間に槍を撃ち込まれた鉄喰蟲が金属をこすり合わせるような悲鳴を上げる。
「あいつらは何をしてるんだ?」
「あいつらは鉄喰蟲狩りです!ああいう連中のせいで鉄喰蟲が激減してるんです!」
「だったらひとまず止めたらいいんだな?」
俺は連中の持っていた槍をワイヤーに変えて拘束し、ワイヤーを操ってこちらに連れてきた。
「これでいいんだろ?」
呆気にとられるテーナに俺は縛り上げた鉄喰蟲狩りを渡した。
「あんたたちなんてことをしてるんだ!鉄喰蟲は殺すべからずという一族の掟を忘れたのかい!」
テーナの怒号が坑道に木霊した。
さっきまでの真面目な口調とは大違いだ。
これがテーナの素なのだろうか。
「で、でもよう、鉄が採れねえんじゃ俺たちだって生きていけねえよ」
「俺たちだって家族を養わなきゃいけねえんだよ!」
鉄喰蟲狩りの言葉にテーナは頭を抱えてため息をついた。
「自分たちのしたことが分かってるのかい。そんなことをしてたら鉄喰蟲はいなくなる。そうなったら私たちだって終わりなんだよ」
「俺の娘、テーナはこの鉱山の調査隊長をしていてな。どうにか鉄の採掘を復活させようと頑張ってくれてるんだが、なかなか上手くいかなくてな。最近じゃ裏で鉄を流すために一族の中にも鉄喰蟲狩りまで出てくる始末なんだ」
エルニックが説明してくれた。
なるほど、そういう事情があったのか。
「今回旧道に行ったのもそのためなんだろう。旧道ってのは過去の女王が掘った穴でよ。旧道の奥には女王が生んだ鉄でできた卵の殻が大量にあるって言い伝えが残ってるんだ。まだ見つかったことはないんだがそれを探しに行ったんだろうよ」
やるせない口調でエルニックが続けた。
「このままじゃいずれこの鉱山はアクダルモ商会に買われちまう。そうなったら終わりだ。奴らは鉄喰蟲を残らず狩っちまうだろう」
待った、今アクダルモ商会と言ったか?
「ああ、奴らはこの鉱山を狙っていやがるんだ。ここ最近は鉄の値段を三分の一まで下げられてにっちもさっちもいかなくなっちまった。鉄の盗難や密猟が増えたのも奴らの仕業に違いねえんだが、なんせ証拠がなくてな。」
ふむ、まさかここでアクダルモ商会の名前が出てくるとは。
ということはこれを裏で画策しているのがベンズという可能性もある。
…でもこれは逆に好機かもしれない。
「…なあ、あの鉄喰蟲狩りは他の連中に連れて行ってもらってあんたとテーナだけ残ってもらうことはできるかな?」
「あ、ああ、それは構わねえけど?」
俺の言葉にエルニックが怪訝な顔で答えた。
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