外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
18.ボーハルト再興に必要なもの
「なるほど、ボーハルトを工業都市に…ですか」
ホランドがテーブルに肘を乗せて唸った。
「そうなんだ、聞けば今ボーハルトに残っているのは技術職に従事していた人が多いらしいんだ。それに空き家を潰せば土地は幾らでもある訳だろ?」
「私もその件は検討してみた。ボーハルトの横を流れる川はゴルドまで繋がっているから物流にも使えるだろう」
リンネ姫が後を繋げてくれた。
「テツヤが考えたマットレスとやらは凄いぞ。貴族連中からすぐに注文が殺到するであろうな」
「それは私も拝見しました。確かにあれは画期的です。量産体制が整えば引く手あまたになるでしょうね」
ホランドが頷いた。
「それに正直言うと私も同じことを考えていたのです。ボーハルトを維持するためには新たな産業を創出するしかないと。何が良いのか思案していたのですが、あれは確かに有望だと思います」
「じゃあっ」
勇む俺に対して待ってくださいとホランドは手で制してきた。
「その前にまず都市計画から始めるべきです…」
そこから先は凄まじく忙しい日々が待っていた。
ホランドは俺が思っていた以上に有能だった。
と言うかいつ寝ているのか分からないくらい働きまくっていた。
ミヤオの言う通りほっといたら倒れるまで仕事をするんじゃないだろうか。
同時にホランドは他の人間に仕事を振ることに対しても容赦がなかった。
住民の居住区を決めてそれ以外の土地を更地にする、使える資材をより分けて分別する、道路を整備して工房を建設する、更に川を整備して港も作る、この全てが俺の仕事となった。
無理はさせないけどその人間の能力を十全に引き出すことにかけてホランド以上の能力を持った人はいないんじゃないだろうか。
ともかくこの一か月間というもの俺は働きに働いた。
この世界に来て一番働いてたんじゃないだろうか。
ボーハルトの町は一変し、かつてのカドモインの屋敷は解体されて町を見下ろす公園になった。
ここは万が一大水害が起きた時には避難区域として機能するようにもなっている。
カドモインの屋敷は町長となったホランドが使ってはどうかという提案は頑なに却下されてしまった。
ホランドはミヤオと一緒に他の人たちと同じように住宅区画に住んでいる。
ホランドの働きもあってボーハルトの復興は順調に進んでいったけど一つ問題があった。
それはレンガや石材をくっつけるためのモルタルが不足していること。
本当なら道路もコンクリートにしたかったんだけどいかんせんモルタルの全体量が足りなかった。
「なあ、どこかにモルタルはないのか?」
「難しいですね」
俺の問いにホランドは腕を組んだ。
「モルタルの材料である石灰はフィルド王国ではほとんど採取できないのです。フィルド王国で使われている石灰はほぼ全てベルトラン帝国から輸入されたものです」
マジか。
超重要な建材がほとんど他国頼りとは…
「で、でもベルトラン帝国とは敵対してるわけじゃないんだし普通に入ってくるんじゃないのか?」
「それが奇妙なことにここしばらく石灰の輸入が途絶えているようです」
うーん、こういうことはリンネ姫に聞いてみた方が早そうだな。
「そのことか」
俺の話を聞くなりリンネ姫が顔をしかめた。
「その話はこちらにも来ておる。実を言うと我が国の石灰の輸入はベンズ商会が一手に引き受けているのだ」
そ、そうだったのか。
伊達にフィルド王国一の商会なだけはあるな。
「しかしベンズ商会が取引をしているベルトラン帝国の石灰鉱山が魔獣に襲われてしまったようなのだ。詳しい話は入ってこないが操業が完全にストップして犠牲者も多数出ているらしい」
魔獣か~、これはまた厄介な。
「でもそれならベルトラン帝国が討伐隊を出すんじゃないのか?」
「いや、所詮は鉱山が一つ魔獣に襲われただけということで帝国として軍を派遣する動きはないらしい。ふん、大国らしい尊大さよな」
リンネ姫が皮肉たっぷりに鼻を鳴らした。
「とりあえずその鉱山が出資して討伐隊を編成するらしいのだが、どこまで成功するのやら」
そう言って盛大なため息を漏らす。
どうやら石灰が入ってこないことはフィルド王国にとってかなりの懸案事項らしい。
「じゃあさ、こっちから出向いてその魔獣を倒すというのはどうだ?」
「それは良いな。しばらく剣を振るっていなかったから腕がなまりそうになっていたところだ」
「私も同行させてください。魔獣討伐と聞いては黙っていられません」
「たわけ」
勇むアマーリアとソラノをリンネ姫が言下に切り捨てた。
「要請されてもいないのに出向けると思うか。ましてやお主らは王立騎士隊としてその顔も名前も知られているのだぞ」
リンネ姫の言葉にしゅんとうなだれる二人。
「要するにベルトラン帝国に顔を知られてない人間なら大丈夫ということだな?つまりは俺みたいな」
俺の言葉にリンネ姫が困ったような笑顔を見せた。
「そういうことになるな。テツヤに頼りきりで心苦しいのだが頼めるだろうか?これは王国にとっても由々しき事態なのだ」
「任せろって!チャチャっと行って片付けてくるよ!」
ホランドがテーブルに肘を乗せて唸った。
「そうなんだ、聞けば今ボーハルトに残っているのは技術職に従事していた人が多いらしいんだ。それに空き家を潰せば土地は幾らでもある訳だろ?」
「私もその件は検討してみた。ボーハルトの横を流れる川はゴルドまで繋がっているから物流にも使えるだろう」
リンネ姫が後を繋げてくれた。
「テツヤが考えたマットレスとやらは凄いぞ。貴族連中からすぐに注文が殺到するであろうな」
「それは私も拝見しました。確かにあれは画期的です。量産体制が整えば引く手あまたになるでしょうね」
ホランドが頷いた。
「それに正直言うと私も同じことを考えていたのです。ボーハルトを維持するためには新たな産業を創出するしかないと。何が良いのか思案していたのですが、あれは確かに有望だと思います」
「じゃあっ」
勇む俺に対して待ってくださいとホランドは手で制してきた。
「その前にまず都市計画から始めるべきです…」
そこから先は凄まじく忙しい日々が待っていた。
ホランドは俺が思っていた以上に有能だった。
と言うかいつ寝ているのか分からないくらい働きまくっていた。
ミヤオの言う通りほっといたら倒れるまで仕事をするんじゃないだろうか。
同時にホランドは他の人間に仕事を振ることに対しても容赦がなかった。
住民の居住区を決めてそれ以外の土地を更地にする、使える資材をより分けて分別する、道路を整備して工房を建設する、更に川を整備して港も作る、この全てが俺の仕事となった。
無理はさせないけどその人間の能力を十全に引き出すことにかけてホランド以上の能力を持った人はいないんじゃないだろうか。
ともかくこの一か月間というもの俺は働きに働いた。
この世界に来て一番働いてたんじゃないだろうか。
ボーハルトの町は一変し、かつてのカドモインの屋敷は解体されて町を見下ろす公園になった。
ここは万が一大水害が起きた時には避難区域として機能するようにもなっている。
カドモインの屋敷は町長となったホランドが使ってはどうかという提案は頑なに却下されてしまった。
ホランドはミヤオと一緒に他の人たちと同じように住宅区画に住んでいる。
ホランドの働きもあってボーハルトの復興は順調に進んでいったけど一つ問題があった。
それはレンガや石材をくっつけるためのモルタルが不足していること。
本当なら道路もコンクリートにしたかったんだけどいかんせんモルタルの全体量が足りなかった。
「なあ、どこかにモルタルはないのか?」
「難しいですね」
俺の問いにホランドは腕を組んだ。
「モルタルの材料である石灰はフィルド王国ではほとんど採取できないのです。フィルド王国で使われている石灰はほぼ全てベルトラン帝国から輸入されたものです」
マジか。
超重要な建材がほとんど他国頼りとは…
「で、でもベルトラン帝国とは敵対してるわけじゃないんだし普通に入ってくるんじゃないのか?」
「それが奇妙なことにここしばらく石灰の輸入が途絶えているようです」
うーん、こういうことはリンネ姫に聞いてみた方が早そうだな。
「そのことか」
俺の話を聞くなりリンネ姫が顔をしかめた。
「その話はこちらにも来ておる。実を言うと我が国の石灰の輸入はベンズ商会が一手に引き受けているのだ」
そ、そうだったのか。
伊達にフィルド王国一の商会なだけはあるな。
「しかしベンズ商会が取引をしているベルトラン帝国の石灰鉱山が魔獣に襲われてしまったようなのだ。詳しい話は入ってこないが操業が完全にストップして犠牲者も多数出ているらしい」
魔獣か~、これはまた厄介な。
「でもそれならベルトラン帝国が討伐隊を出すんじゃないのか?」
「いや、所詮は鉱山が一つ魔獣に襲われただけということで帝国として軍を派遣する動きはないらしい。ふん、大国らしい尊大さよな」
リンネ姫が皮肉たっぷりに鼻を鳴らした。
「とりあえずその鉱山が出資して討伐隊を編成するらしいのだが、どこまで成功するのやら」
そう言って盛大なため息を漏らす。
どうやら石灰が入ってこないことはフィルド王国にとってかなりの懸案事項らしい。
「じゃあさ、こっちから出向いてその魔獣を倒すというのはどうだ?」
「それは良いな。しばらく剣を振るっていなかったから腕がなまりそうになっていたところだ」
「私も同行させてください。魔獣討伐と聞いては黙っていられません」
「たわけ」
勇むアマーリアとソラノをリンネ姫が言下に切り捨てた。
「要請されてもいないのに出向けると思うか。ましてやお主らは王立騎士隊としてその顔も名前も知られているのだぞ」
リンネ姫の言葉にしゅんとうなだれる二人。
「要するにベルトラン帝国に顔を知られてない人間なら大丈夫ということだな?つまりは俺みたいな」
俺の言葉にリンネ姫が困ったような笑顔を見せた。
「そういうことになるな。テツヤに頼りきりで心苦しいのだが頼めるだろうか?これは王国にとっても由々しき事態なのだ」
「任せろって!チャチャっと行って片付けてくるよ!」
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