外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
7.トウモロコシは美味い
「まずはポレンタだ。これは普段食べているお粥を粗挽きしたトウモロコシに変えただけだから誰でもすぐに作れると思う」
「ふむ、確かにこれは馴染みがあるな」
リンネ姫は俺がキリに頼んで作ってもらったポレンタを食べて満足そうに頷いた。
「聞いたらトロブ地方じゃ結構昔から食べられてたみたいだぞ」
「そうだったのか。まだまだ世の中は広いのだな」
俺の言葉に感心しつつポレンタを口に運んでいる。
「で、これがトルティーヤ、トウモロコシの粉で作った薄皮のパンってところだな」
「こんなに薄くて大丈夫なのか?」
次に俺が出したトルティーヤを見てリンネ姫は怪訝な表情をした。
「まあまあ、これはそのまま食べるわけじゃないんだ。こうやって豆を煮たのや焼いた肉を細切りにしたのなんかを乗せるんだよ」
「ほう!これはなかなか可愛らしいな!ふむふむ、しかも美味しいではないか!」
一口食べてリンネ姫の顔がぱあっと明るくなった。
「だろう?」
本当は豆はチリビーンズを使いたいしサルサソースも使いたいところだけどこれはこれで結構美味しい。
「豆はまだ多少残っているらしいし肉に関しては王領内から支援としてわずかだが塩漬け肉を出すことになっている。これなら腹持ちもよくなりそうだな」
「ああ、特にトウモロコシはそれだけを食べ過ぎると栄養が偏って病気になってしまうから豆や肉を一緒に食べるのが重要なんだ」
「ただの家畜の餌用だと思っていたが、なかなかトウモロコシも侮れないな」
「これならみんなで食べるのも楽しそうですね」
気付けばリビングにはみんなが集まり、ちょっとしたタコスパーティの様相を呈していた。
「今は豆と肉だけだけど、何を乗せても良いんだ。他の野菜を乗せても美味しいぞ」
「うむ、これならば私も自信をもって国民へ勧めることができるぞ!」
リンネ姫もすっかりご満悦のようだ。
「でも元々は家畜の餌だったんだろう?みんな納得して食べてくれるかな?」
「なあに、それは大丈夫だ」
リンネ姫は自信満々に答えた。
「その時は私自らが食べてみせるさ」
◆
それから一か月ほど俺はリンネ姫に同行して旧カドモイン領各地にトウモロコシ料理を広める旅に出かけた。
トウモロコシは家畜の飼料に使われていたものだから最初はみんな食べることにためらっていたけどリンネ姫が実際に食べてみせると考えを改め、そこからトウモロコシの美味しさが人々の間に広まっていった。
俺はこの旅でリンネ姫の率直さが持つ価値を再認識した。
「この様子だといずれトウモロコシ料理がフィルド王国の名物になるやもしれぬな」
嬉しそうにポレンタやトルティーヤを頬張る人々を見てリンネ姫が嬉しそうに目を細めた。
「それもトウモロコシの使い道を教えてくれたテツヤのお陰だ」
「いや、これはリンネの力だよ」
俺は頭を振った。
「俺はただ知っていただけだ。リンネが実際に食べてみせたからみんなの意識が変わったんだ。これはリンネにしかできない偉業だよ」
「そ、そうか?」
リンネがほんのりと頬を朱に染めている。
「ああ、リンネはただ王家に生まれただけじゃない、国民を慈しむ本当の姫だと思う。ここにいるみんなだってそう思ってるはずだよ。」
「ええい、もうよい!」
リンネ姫の顔は耳まで真っ赤だ。
「まったく、お主は存外おだてるのが上手いな。ほだされてしまうではないか」
いや、これは本心なんだけど。
「それが上手いと言っておるのだ。お主に言われると自分が何でもできるような気持になってしまうのだ」
そう言ってパタパタと手で顔を仰いでいる。
「でもとりあえずこれで旧カドモイン領の食糧事情については一安心なんじゃないか?」
「…それがそうでもないのだ」
俺の言葉にリンネ姫の顔が曇った。
「前も言ったようにワンドに操られていたカドモインはここ数年間領民に増税を課していて納められない者は強制労働に駆り出されていた。そのせいで農業従事者が極端に減っていたのだ」
「つまり土地を管理する者がいなくてやせ細っているということか」
リンネ姫が頷いて険しい顔で遠くを見た。
俺たちの目の前の畑はしおれかけた野菜と赤茶けた土ばかりが広がっている。
「どうにか土を肥えさせなくては来年の収穫もままなるまい」
俺は土に手を当てて調べてみた。
リンネ姫の言う通り、肥料として特に重要な窒素、リン酸、カリウムが全て足りない。
これではどんなに気候が良くても大した収穫にはならないだろう。
「肥料か…堆肥を作ろうにも家畜も食料としてしまったからたいしていないんだよな…」
その時俺の頭に一つの考えが閃いた。
「ひょっとしたら良い肥料が見つかるかもしれないぞ!」
「ふむ、確かにこれは馴染みがあるな」
リンネ姫は俺がキリに頼んで作ってもらったポレンタを食べて満足そうに頷いた。
「聞いたらトロブ地方じゃ結構昔から食べられてたみたいだぞ」
「そうだったのか。まだまだ世の中は広いのだな」
俺の言葉に感心しつつポレンタを口に運んでいる。
「で、これがトルティーヤ、トウモロコシの粉で作った薄皮のパンってところだな」
「こんなに薄くて大丈夫なのか?」
次に俺が出したトルティーヤを見てリンネ姫は怪訝な表情をした。
「まあまあ、これはそのまま食べるわけじゃないんだ。こうやって豆を煮たのや焼いた肉を細切りにしたのなんかを乗せるんだよ」
「ほう!これはなかなか可愛らしいな!ふむふむ、しかも美味しいではないか!」
一口食べてリンネ姫の顔がぱあっと明るくなった。
「だろう?」
本当は豆はチリビーンズを使いたいしサルサソースも使いたいところだけどこれはこれで結構美味しい。
「豆はまだ多少残っているらしいし肉に関しては王領内から支援としてわずかだが塩漬け肉を出すことになっている。これなら腹持ちもよくなりそうだな」
「ああ、特にトウモロコシはそれだけを食べ過ぎると栄養が偏って病気になってしまうから豆や肉を一緒に食べるのが重要なんだ」
「ただの家畜の餌用だと思っていたが、なかなかトウモロコシも侮れないな」
「これならみんなで食べるのも楽しそうですね」
気付けばリビングにはみんなが集まり、ちょっとしたタコスパーティの様相を呈していた。
「今は豆と肉だけだけど、何を乗せても良いんだ。他の野菜を乗せても美味しいぞ」
「うむ、これならば私も自信をもって国民へ勧めることができるぞ!」
リンネ姫もすっかりご満悦のようだ。
「でも元々は家畜の餌だったんだろう?みんな納得して食べてくれるかな?」
「なあに、それは大丈夫だ」
リンネ姫は自信満々に答えた。
「その時は私自らが食べてみせるさ」
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それから一か月ほど俺はリンネ姫に同行して旧カドモイン領各地にトウモロコシ料理を広める旅に出かけた。
トウモロコシは家畜の飼料に使われていたものだから最初はみんな食べることにためらっていたけどリンネ姫が実際に食べてみせると考えを改め、そこからトウモロコシの美味しさが人々の間に広まっていった。
俺はこの旅でリンネ姫の率直さが持つ価値を再認識した。
「この様子だといずれトウモロコシ料理がフィルド王国の名物になるやもしれぬな」
嬉しそうにポレンタやトルティーヤを頬張る人々を見てリンネ姫が嬉しそうに目を細めた。
「それもトウモロコシの使い道を教えてくれたテツヤのお陰だ」
「いや、これはリンネの力だよ」
俺は頭を振った。
「俺はただ知っていただけだ。リンネが実際に食べてみせたからみんなの意識が変わったんだ。これはリンネにしかできない偉業だよ」
「そ、そうか?」
リンネがほんのりと頬を朱に染めている。
「ああ、リンネはただ王家に生まれただけじゃない、国民を慈しむ本当の姫だと思う。ここにいるみんなだってそう思ってるはずだよ。」
「ええい、もうよい!」
リンネ姫の顔は耳まで真っ赤だ。
「まったく、お主は存外おだてるのが上手いな。ほだされてしまうではないか」
いや、これは本心なんだけど。
「それが上手いと言っておるのだ。お主に言われると自分が何でもできるような気持になってしまうのだ」
そう言ってパタパタと手で顔を仰いでいる。
「でもとりあえずこれで旧カドモイン領の食糧事情については一安心なんじゃないか?」
「…それがそうでもないのだ」
俺の言葉にリンネ姫の顔が曇った。
「前も言ったようにワンドに操られていたカドモインはここ数年間領民に増税を課していて納められない者は強制労働に駆り出されていた。そのせいで農業従事者が極端に減っていたのだ」
「つまり土地を管理する者がいなくてやせ細っているということか」
リンネ姫が頷いて険しい顔で遠くを見た。
俺たちの目の前の畑はしおれかけた野菜と赤茶けた土ばかりが広がっている。
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リンネ姫の言う通り、肥料として特に重要な窒素、リン酸、カリウムが全て足りない。
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