外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
16.嵐のあと
目を覚ますと知らない天井だった。
確かこんなことが前もあったような…
そんなことを考えながら寝返りを打つと目の前に真っ白な桃が飛び込んできた。
いや、桃じゃない。
この二つの柔らかそうなふくらみは……
視線を上にずらすとそこには静かな寝息を立てているソラノの顔があった。
待て。
なんでソラノが俺の横に寝てるんだ。
しかもなんで裸で。
そしてなんで俺も裸なんだ。
いかん、いかんぞこれは!
慌てて逆方向に寝返りを打つとそこにもまた桃が。
こっちはアマーリアだった。
同じように深く眠り込んでいる。
こちらも全裸で。
待て待て待て、何が起きてるんだ?
確か俺たちは土石流を防ごうとしていて…それで……
待った、山は無事だったのか!?
俺はがばりと身を起こした。
辺りを見渡す。
そこは質素だけどしっかりした作りの家だった。
窓からは暖かな日の光が差し込んでいる。
ひょっとして上手くいったんだろうか?
とにかく、それを確認するためにもまずはこの状況を何とかしなくては。
二人を起こさないようにそろそろと移動しようとした俺だったが、いきなりソラノに腕を掴まれてベッドに引き倒された。
「ん…んん……」
ソラノは幸せそうにむにゃむにゃと口を鳴らしながら俺の頭を胸に掻き抱いた。
「んーっ!」
何かを言うべきか言わないべきか迷っている間に俺の口と鼻は柔らかな二つのふくらみに圧迫されてしまった。
「ん…ううん……?」
何か違和感を感じたのだろうか、ソラノの眼がうっすらと開かれていく。
…
……
…………
寝ぼけ眼のその顔が事態を把握するにしたがって朱に染まっていく。
(待て!ひとまず落ち着いて話を聞いてくれ)
大きく開いて息を吸い込もうとしたその口を俺は慌てて塞いだ。
しかし俺は背後から頭を掴まれ、後ろに持っていかれた。
今度はアマーリアが俺の頭を胸に抱きしめてきた。
こちらも裸で。
真っ赤に顔のソラノがそれを見ている。
その眼には涙が浮かんでいる。
待て、なんでサイドテーブルの燭台を持つんだ。その燭台はまずいって!
俺は慌ててアマーリアの手を振りほどくと枕を抱えてベッドから飛び出した。
「おう、目を覚ましたのか?」
飛び出すようにその家を出ると外にはテーブルがあり、そこで食事をしているグランがいた。
「な、な、な…なんだあれは!?なんで俺があの二人と一緒に寝てるんだ!?」
「なんでって、お前ら一緒に暮らしてるんだろ?」
「っそ、それは確かにそうだけど!」
なんと説明していいのか言い淀んでいるとグランが木のお椀をずいっと差し出してきた。
「腹減ってんだろ?」
そのお椀から立ち上る匂いを嗅ぐと自分が猛烈に空腹なことに気付いた。
お椀を受けとり、グランの向かいに腰を下ろす。
それは蕎麦や粟、稗などの雑穀をミルクとスープで煮たおかゆのような料理だった。
スプーンですくって口に運ぶと質素ながらも何とも言えない滋味が体の中に降りていく。
気が付けば一杯まるまる食べきっていた。
「お前ら丸一昼夜寝ていたからな。腹も減るだろうさ」
グランの言葉に改めて俺は辺りを見渡した。
どうやら俺たちが運ばれたのはグランたちの村らしい。
嵐の被害を受けて屋根が飛んだり傾いたり、あるいはひっくり返った家が何軒も見える。
「酷いな……」
「ああ…だがみんな生きている」
ぽつりと漏らした俺の言葉にグランが返した。
グランが俺に陶器のコップをよこしてきた。
取っ手の付いていない日本の湯飲みのようなコップだ。
「ほらよ」
そう言って酒瓶をこちらに向ける。
俺は何も言わず受け取ったコップを出した。
少し白く濁っていて濁酒のような甘い味する酒だった。
嵐が去ったのはわずか一日前だというのにもう村人たちが戻っていて総出で復旧作業をしている。
子供たちも大人の手伝いをして走り回り、もっと小さな子供たちは遊びまわっている。
そしてその中にキリもいた。
他のオニ族や魔族の子供たちと混ざって鬼ごっこのような遊びをしている。
「良い村だな」
「ああ、お前が守ってくれた村だ。礼を言う」
俺たちはしばらく何も言わず酒を酌み交わし、食事を続けた。
やがて家の中からソラノとアマーリアが出てきた。
ソラノは顔を紅くし、アマーリアはまだ寝足りないのか盛大なあくびをしている。
「よお姉ちゃんたち、こっちに来な。飯の用意ができてるぜ」
グランに誘われた二人は俺の両隣に腰を下ろした。
「さっきのことは忘れろ、いいな?」
ソラノがぎろりとこちらを睨んでくる。
「は、はいっ」
くそう、もっと早くに目を覚ましていれば。
村の女性たちが食事を運んでくるとともに作業をしていた村人たちも集まってきて、賑やかな食事が始まった。
確かこんなことが前もあったような…
そんなことを考えながら寝返りを打つと目の前に真っ白な桃が飛び込んできた。
いや、桃じゃない。
この二つの柔らかそうなふくらみは……
視線を上にずらすとそこには静かな寝息を立てているソラノの顔があった。
待て。
なんでソラノが俺の横に寝てるんだ。
しかもなんで裸で。
そしてなんで俺も裸なんだ。
いかん、いかんぞこれは!
慌てて逆方向に寝返りを打つとそこにもまた桃が。
こっちはアマーリアだった。
同じように深く眠り込んでいる。
こちらも全裸で。
待て待て待て、何が起きてるんだ?
確か俺たちは土石流を防ごうとしていて…それで……
待った、山は無事だったのか!?
俺はがばりと身を起こした。
辺りを見渡す。
そこは質素だけどしっかりした作りの家だった。
窓からは暖かな日の光が差し込んでいる。
ひょっとして上手くいったんだろうか?
とにかく、それを確認するためにもまずはこの状況を何とかしなくては。
二人を起こさないようにそろそろと移動しようとした俺だったが、いきなりソラノに腕を掴まれてベッドに引き倒された。
「ん…んん……」
ソラノは幸せそうにむにゃむにゃと口を鳴らしながら俺の頭を胸に掻き抱いた。
「んーっ!」
何かを言うべきか言わないべきか迷っている間に俺の口と鼻は柔らかな二つのふくらみに圧迫されてしまった。
「ん…ううん……?」
何か違和感を感じたのだろうか、ソラノの眼がうっすらと開かれていく。
…
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寝ぼけ眼のその顔が事態を把握するにしたがって朱に染まっていく。
(待て!ひとまず落ち着いて話を聞いてくれ)
大きく開いて息を吸い込もうとしたその口を俺は慌てて塞いだ。
しかし俺は背後から頭を掴まれ、後ろに持っていかれた。
今度はアマーリアが俺の頭を胸に抱きしめてきた。
こちらも裸で。
真っ赤に顔のソラノがそれを見ている。
その眼には涙が浮かんでいる。
待て、なんでサイドテーブルの燭台を持つんだ。その燭台はまずいって!
俺は慌ててアマーリアの手を振りほどくと枕を抱えてベッドから飛び出した。
「おう、目を覚ましたのか?」
飛び出すようにその家を出ると外にはテーブルがあり、そこで食事をしているグランがいた。
「な、な、な…なんだあれは!?なんで俺があの二人と一緒に寝てるんだ!?」
「なんでって、お前ら一緒に暮らしてるんだろ?」
「っそ、それは確かにそうだけど!」
なんと説明していいのか言い淀んでいるとグランが木のお椀をずいっと差し出してきた。
「腹減ってんだろ?」
そのお椀から立ち上る匂いを嗅ぐと自分が猛烈に空腹なことに気付いた。
お椀を受けとり、グランの向かいに腰を下ろす。
それは蕎麦や粟、稗などの雑穀をミルクとスープで煮たおかゆのような料理だった。
スプーンですくって口に運ぶと質素ながらも何とも言えない滋味が体の中に降りていく。
気が付けば一杯まるまる食べきっていた。
「お前ら丸一昼夜寝ていたからな。腹も減るだろうさ」
グランの言葉に改めて俺は辺りを見渡した。
どうやら俺たちが運ばれたのはグランたちの村らしい。
嵐の被害を受けて屋根が飛んだり傾いたり、あるいはひっくり返った家が何軒も見える。
「酷いな……」
「ああ…だがみんな生きている」
ぽつりと漏らした俺の言葉にグランが返した。
グランが俺に陶器のコップをよこしてきた。
取っ手の付いていない日本の湯飲みのようなコップだ。
「ほらよ」
そう言って酒瓶をこちらに向ける。
俺は何も言わず受け取ったコップを出した。
少し白く濁っていて濁酒のような甘い味する酒だった。
嵐が去ったのはわずか一日前だというのにもう村人たちが戻っていて総出で復旧作業をしている。
子供たちも大人の手伝いをして走り回り、もっと小さな子供たちは遊びまわっている。
そしてその中にキリもいた。
他のオニ族や魔族の子供たちと混ざって鬼ごっこのような遊びをしている。
「良い村だな」
「ああ、お前が守ってくれた村だ。礼を言う」
俺たちはしばらく何も言わず酒を酌み交わし、食事を続けた。
やがて家の中からソラノとアマーリアが出てきた。
ソラノは顔を紅くし、アマーリアはまだ寝足りないのか盛大なあくびをしている。
「よお姉ちゃんたち、こっちに来な。飯の用意ができてるぜ」
グランに誘われた二人は俺の両隣に腰を下ろした。
「さっきのことは忘れろ、いいな?」
ソラノがぎろりとこちらを睨んでくる。
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