外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
47.最後の戦い
俺はランメルスが切り裂いた扉を再び閉じた。
これでこの部屋にいるのは俺とランメルスだけだ。
俺は即座にランメルスとの間に幾重にも壁を作った。
「やってくれたね。まさか国王一家を逃がすとはね」
ランメルスの口調はあくまで飄々としているが、その奥には苛立ちが見え隠れしている
「もうお前は終わりだよ。アマーリアとソラノだったら国王たちを無事に王立騎士隊へ送り届けることができる。観念するんだな」
「ふん、それも想定のうちさ」
俺の警告にもランメルスの口調は変わらない。
「王立騎士隊だろうが誰だろうが私は止められないよ」
「見たものを切り裂くその能力でか?」
俺の言葉にランメルスが軽く息を呑むのを感じた。
「気付いていたのか」
「あれだけのことがあれば嫌でも気が付くっての」
そう、ランメルスの能力が目視した物体を切り裂く能力であることは大体察しがついていた。
まずザークや俺を切った時に剣筋が全く見えなかったことが理由にある。
どんな達人であっても少しは腕や体が動くのがわかるはずだがランメルスにはそれが全くなかった。
そして理由の二つ目が俺が切られて路地裏に逃げ込んだ時に追撃がなかったこと。
余裕を見せていたということもあるだろうが、考えてみると暗がりで俺のことが見えなかったから切れなかったのでないだろうか。
それらを考えるとランメルスの能力は見たものを切る能力であるという想定に帰結する。
はっきり言って推測の域を出ない考えではあるけど、かまをかけたらランメルスが乗ってきてくれたおかげではっきりした。
とは言えそれすらもランメルスのはったりかもしれないから油断はできない。
少なくとも目視した対象を切る能力があるのは間違いないようだ。
「察しの通り、私の能力”斬撃の視線”は見たものを断ち切ることができる能力さ。斬らずに衝撃だけを与えるなんてこともできる」
ランメルスが話を続けた。
続けながら俺の生み出した石の壁が次々に破壊されていく。
「この能力のお陰であちらの世界では敵なしでね。魔王と呼ばれる男も私に手足を切り落とされ、足元で命乞いしたものだよ。」
俺が壁から生み出して射出した数十本の石槍は全てランメルスの剣によって叩ききられた。
「言っておくけど死角からの攻撃も無駄だよ。私の能力は斬撃の視線だけじゃないんだ」
言葉の通り、ランメルスは全ての攻撃を目視することなく切り落としている。
しかも剣を持ってすらいない。
剣はまるで生きているかのように宙に浮き、ランメルスの周りを漂っていた。
「これは意識することなく私への攻撃を全て切り伏せる能力”剣舞”だよ。ついでに言っておくともう一つの能力、”滑刃”は私の使う剣に不変の切れ味を付与するから君の土属性で破壊しようとしても無駄だよ」
確かにランメルスの言うとおりらしい。
さっきから俺の力で剣を破壊しようとしているのだけど全く効果がない。
俺とランメルス、彼我の魔力の差なのか帰還者の力が拮抗しているのかはわからないけど奴の剣を無力化するのは無理みたいだ。
接近戦では剣技で歯が立たず、遠距離攻撃は全て防がれる上に隙を見せれば斬撃の視線が待っている。
はっきり言って俺の力はランメルスとかなり相性が悪い。
最悪と言っていいくらいだ。
俺の力は鉱物や金属を変化させて攻撃や防御に使うためにどうしてもタイムラグが生じる。
対してランメルスの力は切ることに特化しているだけにそれがほとんどない。
こいつはなかなか骨が折れる戦いになりそうだ。
「クク、君の力はこれくらいなのかい?」
あざ笑いながらランメルスが近づいてくる。
石で作った壁はもう二重か三重しかない。
「は、そんな余裕ぶってていいのか?」
俺は円形になった部屋の外壁にそって駆けながら更に石壁を展開しつつ距離をとる。
「気付いてないのか?この部屋自体が地下に沈んでいるのを!」
そう、俺は戦いの中で密かに部屋ごと地面に沈下させていたのだ。
既に部屋は地面から二十メートルほど地下に沈んでいる。
剣を防げないなら逃げようのない場所に閉じ込めておくまでだ。
「そこで天井でも見ながら暮らしてろ!」
俺は更に石槍や石板を降らせながら宙に舞い上がった。
地上まで上がったところで更に分厚く蓋をして逃げられなくする、場合によっては埋めることも辞さない!
「やれやれ、こんなことでこの私を無力化できると思っているなら浅はかと言わざるを得ないね」
しかしランメルスは軽くため息をつくと壁に視線を移した。
斬撃の視線によって石でできた壁に切れ目が入った。
ランメルスはその切れ目に足をかけ、飛び上がった。
そして斬撃の視線を使って次々と壁に切れ目を入れていき、それを足掛かりにしてあっという間に駆け上がってきた。
やばい!このままだとすぐに追いつかれるどころか下手したら逃げられちまう!
俺は慌てて床に舞い戻り、即座に頭上に石の障壁を展開した。
高所をとられた今、圧倒的に向こうの方が有利だ。
石の障壁が瞬く間に切り裂かれていく。
「ぬおおおおおお!」
”剣舞”による斬撃と斬撃の視線が俺の体を切り刻んでいく。
大急ぎで石柱を林立させて目くらましをして石壁の中に潜り込んだ。
「ふ、それで逃れたつもりかね」
ランメルスは軽く笑うと壁に剣を突き立てた。
「ぐああっ!」
ランメルスの剣が石の中にいる俺の肩を貫く。
「姿を見せない敵など何人殺してきたか知れんよ。この程度で隠れおおせると思ってほしくはないね」
肩に激痛が走るがここで慌てて飛び出すわけにはいかない。
俺は必死に痛みをこらえて地中を移動した。
「ほらほら、もっと真剣に逃げないと。命がかかっているんだぞ」
壁から抜け出した先でランメルスが剣を振るう。
防御のために展開していた石壁があっさり破壊される。
この男、確かに強い!
これでこの部屋にいるのは俺とランメルスだけだ。
俺は即座にランメルスとの間に幾重にも壁を作った。
「やってくれたね。まさか国王一家を逃がすとはね」
ランメルスの口調はあくまで飄々としているが、その奥には苛立ちが見え隠れしている
「もうお前は終わりだよ。アマーリアとソラノだったら国王たちを無事に王立騎士隊へ送り届けることができる。観念するんだな」
「ふん、それも想定のうちさ」
俺の警告にもランメルスの口調は変わらない。
「王立騎士隊だろうが誰だろうが私は止められないよ」
「見たものを切り裂くその能力でか?」
俺の言葉にランメルスが軽く息を呑むのを感じた。
「気付いていたのか」
「あれだけのことがあれば嫌でも気が付くっての」
そう、ランメルスの能力が目視した物体を切り裂く能力であることは大体察しがついていた。
まずザークや俺を切った時に剣筋が全く見えなかったことが理由にある。
どんな達人であっても少しは腕や体が動くのがわかるはずだがランメルスにはそれが全くなかった。
そして理由の二つ目が俺が切られて路地裏に逃げ込んだ時に追撃がなかったこと。
余裕を見せていたということもあるだろうが、考えてみると暗がりで俺のことが見えなかったから切れなかったのでないだろうか。
それらを考えるとランメルスの能力は見たものを切る能力であるという想定に帰結する。
はっきり言って推測の域を出ない考えではあるけど、かまをかけたらランメルスが乗ってきてくれたおかげではっきりした。
とは言えそれすらもランメルスのはったりかもしれないから油断はできない。
少なくとも目視した対象を切る能力があるのは間違いないようだ。
「察しの通り、私の能力”斬撃の視線”は見たものを断ち切ることができる能力さ。斬らずに衝撃だけを与えるなんてこともできる」
ランメルスが話を続けた。
続けながら俺の生み出した石の壁が次々に破壊されていく。
「この能力のお陰であちらの世界では敵なしでね。魔王と呼ばれる男も私に手足を切り落とされ、足元で命乞いしたものだよ。」
俺が壁から生み出して射出した数十本の石槍は全てランメルスの剣によって叩ききられた。
「言っておくけど死角からの攻撃も無駄だよ。私の能力は斬撃の視線だけじゃないんだ」
言葉の通り、ランメルスは全ての攻撃を目視することなく切り落としている。
しかも剣を持ってすらいない。
剣はまるで生きているかのように宙に浮き、ランメルスの周りを漂っていた。
「これは意識することなく私への攻撃を全て切り伏せる能力”剣舞”だよ。ついでに言っておくともう一つの能力、”滑刃”は私の使う剣に不変の切れ味を付与するから君の土属性で破壊しようとしても無駄だよ」
確かにランメルスの言うとおりらしい。
さっきから俺の力で剣を破壊しようとしているのだけど全く効果がない。
俺とランメルス、彼我の魔力の差なのか帰還者の力が拮抗しているのかはわからないけど奴の剣を無力化するのは無理みたいだ。
接近戦では剣技で歯が立たず、遠距離攻撃は全て防がれる上に隙を見せれば斬撃の視線が待っている。
はっきり言って俺の力はランメルスとかなり相性が悪い。
最悪と言っていいくらいだ。
俺の力は鉱物や金属を変化させて攻撃や防御に使うためにどうしてもタイムラグが生じる。
対してランメルスの力は切ることに特化しているだけにそれがほとんどない。
こいつはなかなか骨が折れる戦いになりそうだ。
「クク、君の力はこれくらいなのかい?」
あざ笑いながらランメルスが近づいてくる。
石で作った壁はもう二重か三重しかない。
「は、そんな余裕ぶってていいのか?」
俺は円形になった部屋の外壁にそって駆けながら更に石壁を展開しつつ距離をとる。
「気付いてないのか?この部屋自体が地下に沈んでいるのを!」
そう、俺は戦いの中で密かに部屋ごと地面に沈下させていたのだ。
既に部屋は地面から二十メートルほど地下に沈んでいる。
剣を防げないなら逃げようのない場所に閉じ込めておくまでだ。
「そこで天井でも見ながら暮らしてろ!」
俺は更に石槍や石板を降らせながら宙に舞い上がった。
地上まで上がったところで更に分厚く蓋をして逃げられなくする、場合によっては埋めることも辞さない!
「やれやれ、こんなことでこの私を無力化できると思っているなら浅はかと言わざるを得ないね」
しかしランメルスは軽くため息をつくと壁に視線を移した。
斬撃の視線によって石でできた壁に切れ目が入った。
ランメルスはその切れ目に足をかけ、飛び上がった。
そして斬撃の視線を使って次々と壁に切れ目を入れていき、それを足掛かりにしてあっという間に駆け上がってきた。
やばい!このままだとすぐに追いつかれるどころか下手したら逃げられちまう!
俺は慌てて床に舞い戻り、即座に頭上に石の障壁を展開した。
高所をとられた今、圧倒的に向こうの方が有利だ。
石の障壁が瞬く間に切り裂かれていく。
「ぬおおおおおお!」
”剣舞”による斬撃と斬撃の視線が俺の体を切り刻んでいく。
大急ぎで石柱を林立させて目くらましをして石壁の中に潜り込んだ。
「ふ、それで逃れたつもりかね」
ランメルスは軽く笑うと壁に剣を突き立てた。
「ぐああっ!」
ランメルスの剣が石の中にいる俺の肩を貫く。
「姿を見せない敵など何人殺してきたか知れんよ。この程度で隠れおおせると思ってほしくはないね」
肩に激痛が走るがここで慌てて飛び出すわけにはいかない。
俺は必死に痛みをこらえて地中を移動した。
「ほらほら、もっと真剣に逃げないと。命がかかっているんだぞ」
壁から抜け出した先でランメルスが剣を振るう。
防御のために展開していた石壁があっさり破壊される。
この男、確かに強い!
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