外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
44.腹が減っては戦は出来ぬ
「ランメルスど……ランメルスはテツヤと同じ帰還者だったのか」
アマーリアが驚いたように嘆息した。
「ああ、しかも凄まじい剣の腕前だった」
「それは私たちもこの身で確かめた。悔しいが剣技では今の私たちでは太刀打ちできないだろう」
ソラノが悔しそうに歯噛みした。
「悔しがるのはあとだ。まずは王様を救わないと」
俺たちは地下道を王城に向かって進み、ほどなくして目的地に到着した。
地下道から上昇し、最初に辿り着いたのは地下室だった。
何やら美味そうな匂いが充満している。
「どうやら厨房の地下食糧庫に着いたみたいだな」
アマーリアが辺りを見渡しながら言った。
確かに周囲の棚にはハムやチーズ、パン、瓶詰のジャムなどが所狭しと並び、床にも小麦粉の袋や野菜などがひしめいている。
グウウウ、と三人の腹が同時に鳴った。
そう言えば朝から何も食べていなかった。
「ちょっとここらで休憩しないか?腹が減っては、とも言うしさ」
俺の提案に二人が反対するわけもなかった。
まずはドアを完全に封印して入ってこられないようにし、それから棚にあったパンとハム、チーズを持ってきた。
俺が持っていた剣を変化させて三人分のナイフを作った。
パンを大きく切り分け、そこにハムとチーズを乗せ、かぶりつく。
パンの酸味とハムの塩味、チーズの風味が脳髄に突き刺さる。
瓶詰のピクルスの蓋を開け、手づかみで胡瓜のピクルスにかじりついた。
ピクルスの乳酸発酵が疲れた体に染みわたる。
ピクルスの漬け汁をそのまま飲み干したいくらいだ。
怪我をしていたこともあって体が栄養を欲していたのを実感する。
俺たちはしばらく無言でむさぼるように食事を続けた。
「こうしていると昔を思い出すな」
ジャムをたっぷり塗ったパンを口に運びながらアマーリアが微笑んだ。
「騎士学生時代、あまりに腹が減って夜に食糧庫に忍び込んでつまみ食いをしてたものだよ」
「アマーリア様もですか!私たちもゲームと称してよくやってましたよ。見つかったら寮長から一週間の掃除を科せられるからみんな必死でしたけど、今にして思えば懐かしい思い出ですね」
「へえ、ソラノがそういうことをするなんて意外だな。そういうのには反対するかと思ってた」
「ふん、私をただの真面目だと思ったら大間違いだ。しかしこういう風にこっそり食べる食事というのは何故にこうも美味しいのだろうな」
「それはわかる。俺も孤児院でよくつまみ食いをしてたからな。こっちの院長なんて見つかったら尻叩き百回だぜ。歩けなくなるっつーの」
「くくっその時のテツヤを見てみたかったな」
「全くです」
アマーリアとソラノがおかしそうに笑った。
束の間の平和な時間が流れていた。
◆
「さて、動き出す前に作戦を練るか」
俺はピクルスとジャムの瓶を床に並べた。
「俺たちがいるのはここだ」
そう言って一番右下にある瓶を指差す。
「王様がいるのはどこだと思う?」
「それはおそらくここだろう」
アマーリアが真ん中に積み上げられたジャムの瓶を指差した。
「この塔が王の間で陛下は家族でここに住まわれている。この塔は入り口が一つしかなく、有事の際は即座に封印できるようになっている。逆に言うとここさえ閉じてしまえば内部から出る事もできないというわけだ」
「つまり、閉じ込める場合にも役立つということか」
俺の言葉にアマーリアが頷いた。
「避難しているにしろ監禁されているにしろ塔にいると見て間違いないだろう」
「まずはこの塔に行って陛下と家族をお救いする、というわけですね」
「しかしランメルスが言うには城は全て占拠しているという話なのだろう?どうやって忍び込むかが問題だな」
ソラノの言葉にアマーリアが難しそうに顎をさすった。
「ああ、それなら何とかなるかもしれない」
俺はそう言うと食糧庫の壁に手を当てた。
意識を壁の中へと広げていく。
俺の頭の中に城の構造が流れ込んできた。
思った通りだ。
「この城には隠し通路が幾つもあるからそこを通れば誰にも会わずに塔の下まで行けるぞ」
「本当か?」
「ああ、ゴルドの町と同じでこの城も歴代の改築の中で今は知られてない隠し通路が幾つも作られてるみたいだ。その一つがこの食糧庫まで延びてるよ」
そう言って壁の一部を開けた。
「これは……」
ソラノとアマーリアが驚きの声をあげる。
当然だが二人も知らなかったみたいだ。
「隠し通路の一部は反乱兵も使ってるみたいだけど、全く知られてない通路もあるみたいだからそこを使えば大丈夫だと思う」
「やはりテツヤがいてくれて良かったな」
アマーリアが感心したように息をついた。
「しかしまずは武器と防具を手に入れる必要があるぞ」
ソラノがそう言った時、突然頭上から足音が響いてきた。
俺たち三人は一斉に息を呑んだ。
アマーリアが驚いたように嘆息した。
「ああ、しかも凄まじい剣の腕前だった」
「それは私たちもこの身で確かめた。悔しいが剣技では今の私たちでは太刀打ちできないだろう」
ソラノが悔しそうに歯噛みした。
「悔しがるのはあとだ。まずは王様を救わないと」
俺たちは地下道を王城に向かって進み、ほどなくして目的地に到着した。
地下道から上昇し、最初に辿り着いたのは地下室だった。
何やら美味そうな匂いが充満している。
「どうやら厨房の地下食糧庫に着いたみたいだな」
アマーリアが辺りを見渡しながら言った。
確かに周囲の棚にはハムやチーズ、パン、瓶詰のジャムなどが所狭しと並び、床にも小麦粉の袋や野菜などがひしめいている。
グウウウ、と三人の腹が同時に鳴った。
そう言えば朝から何も食べていなかった。
「ちょっとここらで休憩しないか?腹が減っては、とも言うしさ」
俺の提案に二人が反対するわけもなかった。
まずはドアを完全に封印して入ってこられないようにし、それから棚にあったパンとハム、チーズを持ってきた。
俺が持っていた剣を変化させて三人分のナイフを作った。
パンを大きく切り分け、そこにハムとチーズを乗せ、かぶりつく。
パンの酸味とハムの塩味、チーズの風味が脳髄に突き刺さる。
瓶詰のピクルスの蓋を開け、手づかみで胡瓜のピクルスにかじりついた。
ピクルスの乳酸発酵が疲れた体に染みわたる。
ピクルスの漬け汁をそのまま飲み干したいくらいだ。
怪我をしていたこともあって体が栄養を欲していたのを実感する。
俺たちはしばらく無言でむさぼるように食事を続けた。
「こうしていると昔を思い出すな」
ジャムをたっぷり塗ったパンを口に運びながらアマーリアが微笑んだ。
「騎士学生時代、あまりに腹が減って夜に食糧庫に忍び込んでつまみ食いをしてたものだよ」
「アマーリア様もですか!私たちもゲームと称してよくやってましたよ。見つかったら寮長から一週間の掃除を科せられるからみんな必死でしたけど、今にして思えば懐かしい思い出ですね」
「へえ、ソラノがそういうことをするなんて意外だな。そういうのには反対するかと思ってた」
「ふん、私をただの真面目だと思ったら大間違いだ。しかしこういう風にこっそり食べる食事というのは何故にこうも美味しいのだろうな」
「それはわかる。俺も孤児院でよくつまみ食いをしてたからな。こっちの院長なんて見つかったら尻叩き百回だぜ。歩けなくなるっつーの」
「くくっその時のテツヤを見てみたかったな」
「全くです」
アマーリアとソラノがおかしそうに笑った。
束の間の平和な時間が流れていた。
◆
「さて、動き出す前に作戦を練るか」
俺はピクルスとジャムの瓶を床に並べた。
「俺たちがいるのはここだ」
そう言って一番右下にある瓶を指差す。
「王様がいるのはどこだと思う?」
「それはおそらくここだろう」
アマーリアが真ん中に積み上げられたジャムの瓶を指差した。
「この塔が王の間で陛下は家族でここに住まわれている。この塔は入り口が一つしかなく、有事の際は即座に封印できるようになっている。逆に言うとここさえ閉じてしまえば内部から出る事もできないというわけだ」
「つまり、閉じ込める場合にも役立つということか」
俺の言葉にアマーリアが頷いた。
「避難しているにしろ監禁されているにしろ塔にいると見て間違いないだろう」
「まずはこの塔に行って陛下と家族をお救いする、というわけですね」
「しかしランメルスが言うには城は全て占拠しているという話なのだろう?どうやって忍び込むかが問題だな」
ソラノの言葉にアマーリアが難しそうに顎をさすった。
「ああ、それなら何とかなるかもしれない」
俺はそう言うと食糧庫の壁に手を当てた。
意識を壁の中へと広げていく。
俺の頭の中に城の構造が流れ込んできた。
思った通りだ。
「この城には隠し通路が幾つもあるからそこを通れば誰にも会わずに塔の下まで行けるぞ」
「本当か?」
「ああ、ゴルドの町と同じでこの城も歴代の改築の中で今は知られてない隠し通路が幾つも作られてるみたいだ。その一つがこの食糧庫まで延びてるよ」
そう言って壁の一部を開けた。
「これは……」
ソラノとアマーリアが驚きの声をあげる。
当然だが二人も知らなかったみたいだ。
「隠し通路の一部は反乱兵も使ってるみたいだけど、全く知られてない通路もあるみたいだからそこを使えば大丈夫だと思う」
「やはりテツヤがいてくれて良かったな」
アマーリアが感心したように息をついた。
「しかしまずは武器と防具を手に入れる必要があるぞ」
ソラノがそう言った時、突然頭上から足音が響いてきた。
俺たち三人は一斉に息を呑んだ。
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