外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
40.ゴルド動乱
ゴルドに着いたアマーリアとソラノは目を疑った。
そこは市民が平和に往来するいつものゴルドではなかった。
町中を兵士が駆けずり回っている。
しかも兵士同士で戦っているのだ。
「な、何故こんなことが?」
二人の目の前で今まさに一人の兵士が別の兵士を組み敷き、その首筋に剣を突き立てようとしていた。
「何をやっている!」
ソラノが叫び声と共にその男の剣を弾き飛ばした。
「貴様は……?」
その顔には見覚えがあった。
騎士学校の同期であり、以前に路上でソラノに侮蔑の言葉を浴びせていた兵士だ。
「チッ!」
その兵士は舌打ちをし、地面に落ちていた剣を拾って逃げ去っていった。
「おい、何が起こっているんだ?何故兵同士で戦っている?」
アマーリアが倒れていた兵士を引き起して尋ねた。
「む、謀反です。突然兵の一部が武器を手に王城を占拠したのです」
「なにっ!?占拠だと!?」
「王立騎士隊と主要部隊が魔獣討伐に出て守備が手薄になっていたところを突かれました。我々城外の衛兵がなんとか応戦しようとしたのですが、衛兵の中にも反乱側に加わっている者がいて……」
「クソ、テツヤの予想通りだったか!」
アマーリアが唇を噛んだ。
「私は調査隊長アマーリアだ。衛兵、君の名は何という?」
「はっ!城外衛兵部三班所属、デーキンであります!」
「今は敬礼は良い。デーキン、まずは信頼できる衛兵を集めて防衛拠点を作るんだ。バラバラに対応していたのでは敵の思惑通りだ」
「了解であります!」
デーキンは敬礼をし、走り去っていった。
「アマーリア様、我々はどうします?」
「途中で私たちが説明をしておいたからいずれ王立騎士隊が一緒に同行していた部隊と共に戻ってくるはずだ。彼らが戻ってこれば町の混乱は収まるはずだが、まずはどうにかして王城の中を確認しなくては」
「これは調査隊長のアマーリア・ハウエル殿と王立騎士隊のソラノ・エルリッチ殿ではないですか」
その時、この非常事態にそぐわない妙に明るい声が聞こえてきた。
振り返るとそこには顎に蓄えた洒落た髭をさすりながら微笑むベルグ領主、ランメルスが立っていた。
背後には十数人の武装した兵士を引き連れている。
「ランメルス殿、どうしてここに?」
アマーリアが驚いたように尋ねた。
「たまたま王都へ来たところで謀反の知らせが入りましてね、こうして部下と共に鎮圧に出たという次第です」
奇麗に整えられた髪を手で撫でつけつつ爽やかな笑顔で答えるランメルス。
「ちょうど良いところで出会えました。お二人がいれば千人力だ。どうか私に協力していただけませんかな?」
「その前に貴殿に一つ聞きたいことがある」
振り返ったランメルスにアマーリアが口を開いた。
「貴殿は先ほどこの者たちを部下だと言ったが、ならば何故王都の兵の恰好をしているのだ?」
「これは失礼、私の部下は現在別の場所で鎮圧にあたっています。こちらは途中で合流した兵たちなのですよ」
「私は王都の兵全員を顔を知っている。この者たちは見たことがないのだが」
ランメルスは穏やかな顔のままでその言葉を聞いている。
しかしソラノは二人の間を流れる空気が緊張してきているのを感じ取っていた。
「先日、王都の兵が身につけている武器防具が地下道にあった倉庫に不法に備蓄されているという事件があった。その備蓄場所から貴殿の屋敷へ足跡が続いていたという報告もある。これについて説明をしていただきたいのだが、いかがか?」
「それは初耳ですな。その者の見当違い、ということはないのですか?」
「信頼できるものからの報告だ。こちらのソラノも同行していた」
その言葉にソラノは頷いた。
「ランメルス殿、まずは納得のいく説明をしていただきたい」
「……賢しい女は嫌いだよ」
ランメルスが呟くなり間髪容れずその姿が消え、一瞬のうちにアマーリアとの間合いを詰めた。
しかしアマーリアとソラノはそれに反応している。
ランメルスの放った胴薙ぎの一閃を龍牙刀の柄で受け止めた。
そのまま数合打ち合い、お互い距離をとる。
「流石はS級魔法戦士だ。私の剣を凌ぐどころか断ち切ってしまうとは」
その言葉通り、ランメルスの剣は途中で奇麗に折れていた。
いや、折れていたというよりは切られていた。
「そちらこそ、見かけに似合わず大した腕前」
お互いの剣を称賛してはいるが、アマーリアは内心ランメルスの剣技に舌を巻いていた。
まさか一介の領主がこれほどの腕前とは。
体力が万全でも勝てるかどうかわからない、それほどにランメルスの剣技はずば抜けていた。
テツヤに武器を強化してもらっていなければ今ここに倒れていたかもしれない。
「アマーリア様、お下がりください!ここは私が」
ソラノが前に出た。
「生憎とお二人と遊んでいる時間はないので手短に済ませてもらいますよ」
ランメルスがそう言った瞬間、二人は肩から袈裟懸けに凄まじい衝撃が走り、体が吹き飛んだ。
馬鹿な!完全に間合いの外のうえ、剣を抜く素振りすら見せなかったのに!
薄れゆく意識の中、薄ら笑いをするランメルスの顔が見え、やがてそれもかすれていき、二人は気を失って倒れ伏した。
「この二人を屋敷の地下牢に閉じ込めておけ。この女どもは俺のものだ、体一つ触れるなよ。それから新しい剣を持ってこい」
ランメルスは部下に命令した。
今はまだ忙しいが、いずれ王城を掌握して全てが片付いてたらゆっくりとその体を味わってやる。
ランメルスはその時のことを想像し口を歪ませた。
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