自称聖女の従姉に誑かされた婚約者に婚約破棄追放されました、国が亡ぶ、知った事ではありません。
第21話:閑話・ジェイムズ王家視点
「ええい、どうなっておるのだ財務大臣。
王都の税収が日に日に落ちているではないか」
「それが、王都を訪れる商人が極端に少なくなってしまって、入都税が以前の百分の一以下になってしまいまして……」
「ならば商人が来るようにすればよいであろうが。
税を集めるためにお前を財務大臣にしてやったのだぞ」
「申し訳ありません、国王陛下。
しかしながら大陸の人の流れが完全に変わってしまいまして、商人が王都どころか我が国にすら訪れなくなってしまいました」
「なんだと、一体どうなっておるのだ。
大陸の人の流れが変わるなどただ事ではないぞ」
「それが……」
「なんだ、言い難そうにして、何かあるのか」
「実は、国王陛下が追放なされたブートル伯爵がキャッスル王国で副伯に封じられたのですが……」
「それがどうした。
我が国を追放になるような無能なモノが、キャッスル王国では副伯に封じられる。
我が国が優れていてキャッスル王国が劣っているという話しだ」
「それが……」
「何だというのだ、はっきり言え、はっきり」
「はい、では申し上げさせていただきます。
ブートル伯爵は封じられた不毛の荒野をわずか三カ月で緑の大地に変え、大陸一の市場と闘技場のある領地にしてしまいました」
「何だと、そんな話は初めて聞くぞ」
「……この話をすると、陛下が失策されたと口にしているも同然となりますので、誰も陛下の耳に入れようとしなかったのです」
「ぬううううう、余がそれほど器量の小さな王だというのか!」
「ここまで申し上げたので最後まで申し上げますが、何の落ち度もないブートル伯爵を追放されたのは、ウィルブラハム公爵家にルドルフ王子を送り込んで乗っ取るためではありませんか。
ブートル伯爵家に生まれたヘンリーが邪魔になったからではありませんか?
そのような事を行われた陛下に真実を伝えて、自らの家を潰したいと思う貴族は一人もおりませんぞ」
「ええい、うるさいわ。
王が王子の行く末を心配してどこが悪いのだ。
それにウィルブラハム公爵家は元々王家の分家ではないか。
領地も王家から分与された物だ。
再び王家から王子を送り込んでなにが悪いのだ。
そもそも王子を婿に欲しい、ブートル伯爵を追放してくれといってきたのはウィルブラハム公爵だ、余には何の責任もないわ」
「……御意」
「それよりも税収だ、税収を元に戻すのだ。
お前の役目は余の悪口をいう事ではなく税を集める事だ。
大陸の人の流れが変わったというのなら、お前の力で元に戻せ。
ブートルが大陸一の市場と闘技場を作ったというのなら、それ以上の市場と闘技場を我が王都に作るのだ。
なにをグズグズしておる、今直ぐ作れ!」
「そのような事はブートル伯爵だからできた事でございます。
我が国ではとても不可能でございます」
「えええい、この無能が。
お前は首だ、お前の顔などもう二度と見たくない。
直ぐに王宮から出ていけ!」
王都の税収が日に日に落ちているではないか」
「それが、王都を訪れる商人が極端に少なくなってしまって、入都税が以前の百分の一以下になってしまいまして……」
「ならば商人が来るようにすればよいであろうが。
税を集めるためにお前を財務大臣にしてやったのだぞ」
「申し訳ありません、国王陛下。
しかしながら大陸の人の流れが完全に変わってしまいまして、商人が王都どころか我が国にすら訪れなくなってしまいました」
「なんだと、一体どうなっておるのだ。
大陸の人の流れが変わるなどただ事ではないぞ」
「それが……」
「なんだ、言い難そうにして、何かあるのか」
「実は、国王陛下が追放なされたブートル伯爵がキャッスル王国で副伯に封じられたのですが……」
「それがどうした。
我が国を追放になるような無能なモノが、キャッスル王国では副伯に封じられる。
我が国が優れていてキャッスル王国が劣っているという話しだ」
「それが……」
「何だというのだ、はっきり言え、はっきり」
「はい、では申し上げさせていただきます。
ブートル伯爵は封じられた不毛の荒野をわずか三カ月で緑の大地に変え、大陸一の市場と闘技場のある領地にしてしまいました」
「何だと、そんな話は初めて聞くぞ」
「……この話をすると、陛下が失策されたと口にしているも同然となりますので、誰も陛下の耳に入れようとしなかったのです」
「ぬううううう、余がそれほど器量の小さな王だというのか!」
「ここまで申し上げたので最後まで申し上げますが、何の落ち度もないブートル伯爵を追放されたのは、ウィルブラハム公爵家にルドルフ王子を送り込んで乗っ取るためではありませんか。
ブートル伯爵家に生まれたヘンリーが邪魔になったからではありませんか?
そのような事を行われた陛下に真実を伝えて、自らの家を潰したいと思う貴族は一人もおりませんぞ」
「ええい、うるさいわ。
王が王子の行く末を心配してどこが悪いのだ。
それにウィルブラハム公爵家は元々王家の分家ではないか。
領地も王家から分与された物だ。
再び王家から王子を送り込んでなにが悪いのだ。
そもそも王子を婿に欲しい、ブートル伯爵を追放してくれといってきたのはウィルブラハム公爵だ、余には何の責任もないわ」
「……御意」
「それよりも税収だ、税収を元に戻すのだ。
お前の役目は余の悪口をいう事ではなく税を集める事だ。
大陸の人の流れが変わったというのなら、お前の力で元に戻せ。
ブートルが大陸一の市場と闘技場を作ったというのなら、それ以上の市場と闘技場を我が王都に作るのだ。
なにをグズグズしておる、今直ぐ作れ!」
「そのような事はブートル伯爵だからできた事でございます。
我が国ではとても不可能でございます」
「えええい、この無能が。
お前は首だ、お前の顔などもう二度と見たくない。
直ぐに王宮から出ていけ!」
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