自称聖女の従姉に誑かされた婚約者に婚約破棄追放されました、国が亡ぶ、知った事ではありません。
第17話:暴走・ジェイムズ王家サイド
「ええい、殺せ、殺せ、殺してしまえ。
ルイーズが本当の聖女でコリンヌが偽物の聖女だと。
私が愚かにもコリンヌに騙されて本物の聖女を追い出しただと。
そんな嘘を広める連中は全員捕らえて罰しろ。
いや、それでは手緩い、私の事を悪く言う連中は皆殺しにしろ」
ジェイムズ王家第三王子のルドルフは怒りのあまり暴れ回っていた。
手当たり次第に部屋の物を破壊していた。
それどころか目に入る侍女や侍従に殴る蹴るの暴力を振るっていた。
馬鹿だが巨漢で怪力のルドルフが力任せに殴るのだ。
侍女や侍従は大ケガをして実家に戻されることになる。
当然だがルドルフの王都での評判は最悪になる。
いや、王族や貴族の間でも悪評が広まっていた。
「父王陛下、いい加減ルドルフを処分してください。
このままでは王族の評判が地に落ちてしまいます」
我こそは次期王太子だと思っている第一王子のクロードが、父親のウェントワース国王にルドルフの処分を強く求めていた。
「それは王家の威信を損なう悪しき策だと思われます、父王陛下。
確かにルドルフの粗暴は目に余るものがありますが、民の声を恐れて処分などしたら民がつけあがりましょう」
第二王子のロバートが反対だと言いだした。
ロバートも内心ではルドルフを処分すべきだと思っていた。
だが王になりたいロバートは、愚かなルドルフを利用して兄のクロードを追い落とそうとしていたので、仕方なく庇ったのだ。
「なに、私が民の声を恐れているというのか、ロバート。
何も私は民の声を恐れて言っているわけではない。
民など何時でも殺せる弱い存在だ。
そんなモノを恐れる必要など全くない。
大切なのは王家の名声だ。
あのような行いを放置していては恥だと言っているのだ」
ウェントワース国王は迷っていた。
ルドルフの行いはよくないとは思っていたが、同時に平民や下級貴族出身の侍女や侍従が少々殴られようが、大したことないとも思っていた。
王族が下級貴族を憂さ晴らしに殴るのはよくある事だと持っていた。
国王のそんな思いは聡い貴族に直ぐに伝わるものだった。
そのため王家の求心力は急速に低下していた。
それ以上に貴族から忌み嫌われだしたのがウィルブラハム公爵家だった。
全ての元凶がコリンヌであり、それをやらせたのがウィルブラハム公爵だという事は、少し頭のまわる貴族なら直ぐわかる事だった。
同じころ王都に各所で同じような噂が流れていた。
「ねえ、聞いた、ルドルフの事」
「聞いたわよ、馬鹿で粗暴なルドルフがまた侍女を一人殴り殺したんだって」
「あら、私は三人殴り殺したと聞いたわよ」
「違うわよ、五人を殴り殺して三人を蹴り殺したのよ」
「あら、そうだったの、確かにルドルフならやりかねないわね」
「そんなことより大変な話があるのよ。
今度また王都の税金が上がるって聞いたわよ」
「なによ、それ、ちょっと前に臨時で集めたとこじゃない」
「それがね、ルドルフとコリンヌの結婚式のために集めるんだって」
「なんですって、あんな偽聖女と殺人王子のために私たちの大切なお金を奪うというの、信じられないわ」
「ほんとうよ、もう我慢できないわ」
「そうそう、あの話聞いた」
「なになになに、何の話よ」
「慈母聖女様の御領地で移民を募集しているって話よ」
「ああ、それは聞いたわよ。
家も放牧地も家畜も貸し与えてくださるって話よね」
「そうなのよ、ここだけの話、国境周辺の民が沢山逃げ込んでいるそうよ」
「私も聞いているわ、もう三十万人になっているですって」
「あら、私は五十万人だって聞いたわよ」
「私は百万人だと聞いているわよ」
「このまま税金が上がって暮らせなくなったら私も逃げようかしら」
ルイーズが本当の聖女でコリンヌが偽物の聖女だと。
私が愚かにもコリンヌに騙されて本物の聖女を追い出しただと。
そんな嘘を広める連中は全員捕らえて罰しろ。
いや、それでは手緩い、私の事を悪く言う連中は皆殺しにしろ」
ジェイムズ王家第三王子のルドルフは怒りのあまり暴れ回っていた。
手当たり次第に部屋の物を破壊していた。
それどころか目に入る侍女や侍従に殴る蹴るの暴力を振るっていた。
馬鹿だが巨漢で怪力のルドルフが力任せに殴るのだ。
侍女や侍従は大ケガをして実家に戻されることになる。
当然だがルドルフの王都での評判は最悪になる。
いや、王族や貴族の間でも悪評が広まっていた。
「父王陛下、いい加減ルドルフを処分してください。
このままでは王族の評判が地に落ちてしまいます」
我こそは次期王太子だと思っている第一王子のクロードが、父親のウェントワース国王にルドルフの処分を強く求めていた。
「それは王家の威信を損なう悪しき策だと思われます、父王陛下。
確かにルドルフの粗暴は目に余るものがありますが、民の声を恐れて処分などしたら民がつけあがりましょう」
第二王子のロバートが反対だと言いだした。
ロバートも内心ではルドルフを処分すべきだと思っていた。
だが王になりたいロバートは、愚かなルドルフを利用して兄のクロードを追い落とそうとしていたので、仕方なく庇ったのだ。
「なに、私が民の声を恐れているというのか、ロバート。
何も私は民の声を恐れて言っているわけではない。
民など何時でも殺せる弱い存在だ。
そんなモノを恐れる必要など全くない。
大切なのは王家の名声だ。
あのような行いを放置していては恥だと言っているのだ」
ウェントワース国王は迷っていた。
ルドルフの行いはよくないとは思っていたが、同時に平民や下級貴族出身の侍女や侍従が少々殴られようが、大したことないとも思っていた。
王族が下級貴族を憂さ晴らしに殴るのはよくある事だと持っていた。
国王のそんな思いは聡い貴族に直ぐに伝わるものだった。
そのため王家の求心力は急速に低下していた。
それ以上に貴族から忌み嫌われだしたのがウィルブラハム公爵家だった。
全ての元凶がコリンヌであり、それをやらせたのがウィルブラハム公爵だという事は、少し頭のまわる貴族なら直ぐわかる事だった。
同じころ王都に各所で同じような噂が流れていた。
「ねえ、聞いた、ルドルフの事」
「聞いたわよ、馬鹿で粗暴なルドルフがまた侍女を一人殴り殺したんだって」
「あら、私は三人殴り殺したと聞いたわよ」
「違うわよ、五人を殴り殺して三人を蹴り殺したのよ」
「あら、そうだったの、確かにルドルフならやりかねないわね」
「そんなことより大変な話があるのよ。
今度また王都の税金が上がるって聞いたわよ」
「なによ、それ、ちょっと前に臨時で集めたとこじゃない」
「それがね、ルドルフとコリンヌの結婚式のために集めるんだって」
「なんですって、あんな偽聖女と殺人王子のために私たちの大切なお金を奪うというの、信じられないわ」
「ほんとうよ、もう我慢できないわ」
「そうそう、あの話聞いた」
「なになになに、何の話よ」
「慈母聖女様の御領地で移民を募集しているって話よ」
「ああ、それは聞いたわよ。
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