フォーの聖所

ikaru_sakae

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 わたしは泣いて、涙で、のどを、つまらせながら、
 それから大きく、腕で顔の涙を払い、
 それから指で。左の腕を大きくのばし、その指の先で。

 『はい』を選択。

 警告メッセージは解消して視界はクリアになり、
 ボートはいつしか、霧の外に出ていた。
 空一面を雲が覆い、そこに太陽は見えなかった。
 ふりかえると、そこには広漠とした海霧のおおう海域があった。
 そのさらに向こうに、フォーの島が、あるはずだ。
 でももう、戻れない。わたしはもう、そこに戻らない。

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