フォーの聖所
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「嫌だよ!」
「嫌とか、言わないの。これね、あんたの命、かかってる話よ?」
「わたしも行く! その、なんとかの聖所!」
「行かせない。そっちに行くのは、リリアだけ。あんたはすぐに島を出る」
「出ない!」
「出なさい」
「出ないから!」
「って、もう、あんたが頑固なのはわかってたけど――」まりあがバリバリっと右手で頭をかきむしった。「こんなときにまた、姉妹ゲンカか。相変わらず感心な姉妹だわ、あたしたち」
まりあが唇のはしで笑い、それからまた、ウィンドウを呼び出して、右手の指で何か操作した。そのあと真剣な表情で、そこに表示された何かを読んでいる。
「いちおう、許可、とった。あんたも、一緒に来てもいい。」
「ほんと? よっしゃッ!」
「ただし、リリアの用事が済みしだい、二人はすぐに、聖所の北の船着き場からすぐさま島を出る。これが条件。長居はできない。あくまで、リリアの用事が終わるまで、だよ」
「わかった。でも、じゃ、それまでは一緒だね!」
わたしはまりあの腰に飛びついてギュッと強く抱きしめる。バーチャルだけど、バーチャルなりの姉のぬくもりとやわらかさを感じる。もうこれ、放したくない!
「ったく。こんな非常時に、べたべたなつかれてもねぇ」
まりあがグシャグシャとわたしの髪を乱暴になでつけた。
「さ、じゃ、行こう。移動するよ。フォーの聖所」
###########################
「短い時間でしたけど、お二人と話せてよかったです」
エルナが言って、ニコッと目を細めて人形らしい綺麗な笑顔を作ってみせた。
ウトマの街の船着き場、湖に浮かべたボートに、いま、わたしとまりあとリリアの三人は乗りこんだところ。エルナとシーマは桟橋の上から見送ってくれる。
「今度来るときは、もっとゆっくり、家で遊んで行ってくださいね。小さい子たちもきっと喜びます」
「ちょっと、シーマ。」エルナがシーマをひじでこづいた。「もう、次はないのよ。二人はこれからリアルの世界に戻るのだから――」
「嫌とか、言わないの。これね、あんたの命、かかってる話よ?」
「わたしも行く! その、なんとかの聖所!」
「行かせない。そっちに行くのは、リリアだけ。あんたはすぐに島を出る」
「出ない!」
「出なさい」
「出ないから!」
「って、もう、あんたが頑固なのはわかってたけど――」まりあがバリバリっと右手で頭をかきむしった。「こんなときにまた、姉妹ゲンカか。相変わらず感心な姉妹だわ、あたしたち」
まりあが唇のはしで笑い、それからまた、ウィンドウを呼び出して、右手の指で何か操作した。そのあと真剣な表情で、そこに表示された何かを読んでいる。
「いちおう、許可、とった。あんたも、一緒に来てもいい。」
「ほんと? よっしゃッ!」
「ただし、リリアの用事が済みしだい、二人はすぐに、聖所の北の船着き場からすぐさま島を出る。これが条件。長居はできない。あくまで、リリアの用事が終わるまで、だよ」
「わかった。でも、じゃ、それまでは一緒だね!」
わたしはまりあの腰に飛びついてギュッと強く抱きしめる。バーチャルだけど、バーチャルなりの姉のぬくもりとやわらかさを感じる。もうこれ、放したくない!
「ったく。こんな非常時に、べたべたなつかれてもねぇ」
まりあがグシャグシャとわたしの髪を乱暴になでつけた。
「さ、じゃ、行こう。移動するよ。フォーの聖所」
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「短い時間でしたけど、お二人と話せてよかったです」
エルナが言って、ニコッと目を細めて人形らしい綺麗な笑顔を作ってみせた。
ウトマの街の船着き場、湖に浮かべたボートに、いま、わたしとまりあとリリアの三人は乗りこんだところ。エルナとシーマは桟橋の上から見送ってくれる。
「今度来るときは、もっとゆっくり、家で遊んで行ってくださいね。小さい子たちもきっと喜びます」
「ちょっと、シーマ。」エルナがシーマをひじでこづいた。「もう、次はないのよ。二人はこれからリアルの世界に戻るのだから――」
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