フォーの聖所
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「カナナ」
リアルな名前を呼ばれた。
目を覚ます。そこは見なれない景色だ。
どこか暗い部屋にわたしはいて――
ああ、そうだ。ここはゲームの中。
わたしはプレイ中にログアウトできなくなって――
寝る前のことが、一瞬で脳内再生される。
「ちょっと。あんた、まだ寝ぼけてる?」
頭をちょっぴり小突かれて、顔を上げる。
さっぱりした金色髪の女性が立っていた。
わりと長身。細身。赤が基調のチャイナ風のスカートドレス。
ん。このヒト、知ってる。前に会った。
名前はたしか――
まだ定まらない意識で、彼女をターゲット。
ヤンカ・ヤンカ
武闘家のヒトだ。島に着いて最初のタイミングで助けてくれた――
「思ったより早くウトマに着いたの。ちょっと早すぎたかな?」
その人が、いたずらっぽくささやいた。金色の目をわずかに細め、ベッドの上からわたしをのぞきこんでいる。口元はちょっぴり笑ってる。
「あ。おはよございます、ヤンカさん」
わたしは目をこすった。
「ヤンカ、でいいよ。あと、ございますとか、敬語もいいから」
「えっと。あれ? でも、もう戦闘とかって、終わったんですか? グマの親衛隊とかって――」
「もう全部、やっつけた。数が多くてちょっぴり手こずったけど、基本、雑魚ね。あんなのは。」
「すごい。強い。」
「ねえ、外、出ない?」
「外?」
「うん。まだ早いし。もうひとりの子、まだ寝てるし。」
ちらりと、もうひとつのベッドに視線を送る。そっちではリリアが向こうに体を向けて、まだ眠っている。
「ここで話してたら、あの子も起きちゃう。それに、あんたとは、ちょっぴり二人で話がしたいんだ」
「あ。えっと。ええ、わたしは別にいいですよ?」
「敬語。もう、それ、よしなさいって。あたしは別に、偉くもなんともないんだから」
そう言ってヤンカは、わたしの頭をバシッと軽く、叩いた。
なんかこの、なれなれしさは、どこかで確かに記憶ある。
違和感。なんだろう。胸がすごく、なんだか急に、どきどきする――
「カナナ」
リアルな名前を呼ばれた。
目を覚ます。そこは見なれない景色だ。
どこか暗い部屋にわたしはいて――
ああ、そうだ。ここはゲームの中。
わたしはプレイ中にログアウトできなくなって――
寝る前のことが、一瞬で脳内再生される。
「ちょっと。あんた、まだ寝ぼけてる?」
頭をちょっぴり小突かれて、顔を上げる。
さっぱりした金色髪の女性が立っていた。
わりと長身。細身。赤が基調のチャイナ風のスカートドレス。
ん。このヒト、知ってる。前に会った。
名前はたしか――
まだ定まらない意識で、彼女をターゲット。
ヤンカ・ヤンカ
武闘家のヒトだ。島に着いて最初のタイミングで助けてくれた――
「思ったより早くウトマに着いたの。ちょっと早すぎたかな?」
その人が、いたずらっぽくささやいた。金色の目をわずかに細め、ベッドの上からわたしをのぞきこんでいる。口元はちょっぴり笑ってる。
「あ。おはよございます、ヤンカさん」
わたしは目をこすった。
「ヤンカ、でいいよ。あと、ございますとか、敬語もいいから」
「えっと。あれ? でも、もう戦闘とかって、終わったんですか? グマの親衛隊とかって――」
「もう全部、やっつけた。数が多くてちょっぴり手こずったけど、基本、雑魚ね。あんなのは。」
「すごい。強い。」
「ねえ、外、出ない?」
「外?」
「うん。まだ早いし。もうひとりの子、まだ寝てるし。」
ちらりと、もうひとつのベッドに視線を送る。そっちではリリアが向こうに体を向けて、まだ眠っている。
「ここで話してたら、あの子も起きちゃう。それに、あんたとは、ちょっぴり二人で話がしたいんだ」
「あ。えっと。ええ、わたしは別にいいですよ?」
「敬語。もう、それ、よしなさいって。あたしは別に、偉くもなんともないんだから」
そう言ってヤンカは、わたしの頭をバシッと軽く、叩いた。
なんかこの、なれなれしさは、どこかで確かに記憶ある。
違和感。なんだろう。胸がすごく、なんだか急に、どきどきする――
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