フォーの聖所
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「でもなにか、それはリソースの関係だと、聞いたことがありますね」
「リソース?」
わたしとリリアが同時に同じ質問を口にした。
「はい。情報量、というのでしょうか? グラフィックやムーブメントのために使用される情報の量が、リアルな人間フォルムだと、けっこう大きいのだそうです。そのサイズを縮めて人形のフォルムにすると、必要な情報量が数十分の一におさまるとか。何かそういう話でしたね。この島で使えるリソースが限られているので。便宜上、島民のデザインとしては、このグラフィックスが最適だと判断した、とか。たしかそういうお話でした」
「ほぉ」「なるほど――」
「でも、僕も特に専門家ではありませんので。前に、ちらっと、何か別の話題のついでに聞いただけです。あまり正確な説明ではないかもしれないので。その程度のものとして聞いてくださいね。」
「聞いたって、でもそれ、誰に聞いたの?」
わたしはちょっぴり訊いてみる。
「フォー様です」
「フォー?」
「はい。この島の北の尾根の聖所にいらっしゃる、偉い人です。その人が、ここの島のいろいろなものを作り、こういう僕の見た目のシェイプとかも、全部最初から作ってくれました」
「ふうん。じゃ、運営のヒト、なんだね。きっとそれは」
「ウンエイ?」
「つまりゲームの管理者。ゲーム会社のヒト」
「うーん。どうかなぁ。フォー様は、その、あまり会社とかとは、関係がない方なように思うのですが」
「関係ない?」
「えっと。まあでも、わかりません。僕もそれほど、フォー様について詳しいわけではないので」
「ん。そっかそっか、」
「もしよければ、また後ほど、ヤンカ・ヤンカさんに訊いたら、もう少しいろいろ、説明してくれると思いますよ。あのひと僕よりも、フォー様と会う回数が多いから」
「そっかそっか。あれ? でも、あのヒト―― さっきのヤンカって人は、人間ビジュアルだったよね? なんであのヒトは、島の住人なのに人形ビジュアルじゃなかったの?」
「僕も、よくはわからないです。でも、例外的に、戦闘を担当する『島守り』の人たちだけは、みなさんビジュアルはあんな感じですよ」
「ほぉ?」
「たぶん、僕みたいな人形ビジュアルは、あまり戦闘向きではない、ということかもしれませんね」
シーマはそう言って、くるりと反転、わたしとリリアの方を向いた。
「関節もちょっぴりギクシャクしてますし。あまり機敏に複雑な動作もできないし」
シーマは右手の肘をまげたりのばしたり、そのあと右の膝を曲げ伸ばしする動作をして見せた。わたしから見ると、それはそこそこスムーズで、それほどギクシャクしているようには見えなかったけれど――
「うーん。まあ、言われたらちょっぴりそんな気もしてきたけど――」
「あ、見て下さい。だいぶ、空、明るくなってきましたよ」
そう言ってシーマが、どこか上方向に視線を向けた。
美形だ、しかし。綺麗な顔。
その端正な人形の彼が、その角度で上への視線をつくると、まるで何か天界から降る光の到来を待ちわびる地上に降りた小さな天使のようにも見えてくる。
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「リソース?」
わたしとリリアが同時に同じ質問を口にした。
「はい。情報量、というのでしょうか? グラフィックやムーブメントのために使用される情報の量が、リアルな人間フォルムだと、けっこう大きいのだそうです。そのサイズを縮めて人形のフォルムにすると、必要な情報量が数十分の一におさまるとか。何かそういう話でしたね。この島で使えるリソースが限られているので。便宜上、島民のデザインとしては、このグラフィックスが最適だと判断した、とか。たしかそういうお話でした」
「ほぉ」「なるほど――」
「でも、僕も特に専門家ではありませんので。前に、ちらっと、何か別の話題のついでに聞いただけです。あまり正確な説明ではないかもしれないので。その程度のものとして聞いてくださいね。」
「聞いたって、でもそれ、誰に聞いたの?」
わたしはちょっぴり訊いてみる。
「フォー様です」
「フォー?」
「はい。この島の北の尾根の聖所にいらっしゃる、偉い人です。その人が、ここの島のいろいろなものを作り、こういう僕の見た目のシェイプとかも、全部最初から作ってくれました」
「ふうん。じゃ、運営のヒト、なんだね。きっとそれは」
「ウンエイ?」
「つまりゲームの管理者。ゲーム会社のヒト」
「うーん。どうかなぁ。フォー様は、その、あまり会社とかとは、関係がない方なように思うのですが」
「関係ない?」
「えっと。まあでも、わかりません。僕もそれほど、フォー様について詳しいわけではないので」
「ん。そっかそっか、」
「もしよければ、また後ほど、ヤンカ・ヤンカさんに訊いたら、もう少しいろいろ、説明してくれると思いますよ。あのひと僕よりも、フォー様と会う回数が多いから」
「そっかそっか。あれ? でも、あのヒト―― さっきのヤンカって人は、人間ビジュアルだったよね? なんであのヒトは、島の住人なのに人形ビジュアルじゃなかったの?」
「僕も、よくはわからないです。でも、例外的に、戦闘を担当する『島守り』の人たちだけは、みなさんビジュアルはあんな感じですよ」
「ほぉ?」
「たぶん、僕みたいな人形ビジュアルは、あまり戦闘向きではない、ということかもしれませんね」
シーマはそう言って、くるりと反転、わたしとリリアの方を向いた。
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