アッフルガルド
page130
「おい、カナカナ、」
「ん? なに?」
「さっきなんで手を振ってたんだ?」
「え?」
通りの先で足を止め、
少女がこちらをふりかえる。何か少しおどろいた様子で。
「おまえさっきなんか、手、振ってただろ。どっか遠くにむかって。あれ、何だったんだ?」
「え~、そんなの振ってたっけ? 見まちがいじゃない?」
「おい、ごまかすなよ。ちゃんと見てたぜ?」
「ん~、そうか~、見られてたか~。。」
少女がしばし沈黙する。なにかをちょっと決めかねるように。
「ま、でも、とりあえずまだ今は―― 秘密。だね」
「おいこら。笑ってごまかすなよ。あ、こら、逃げるな!」
「ははっ! おそいぞアルウル君」
「おいこら! それ! 信号! あぶないってば!」
「も~、さっさと来なさいってばよ~ あんたってば基本がトロいのよ~」
少女がどんどんかけていく。それを少年が追いかける。
どこまでもどこまでも追いかける。そして――
「お待たせ~」
「おお! なになに? ひょっとしてあなたがカトルレナ??」
「ま、そうです。ふふ、ちょっとガッカリした? ゲームほど美人じゃなかったりして」
「え、そんなことないない。十分しっかり美人さんだよ~」
踊るような足取りで、少女が女性のまわりを回った。それからしっかり手を取った。その手を握ったまま、しばらくじっと放さずに。
「ま、でもそれ、ビジュアルの話で言っちゃうと、こっちのアルウルなんて、ゲームとのギャップがもうこれはね~」
「おい! おまえ、自分をさしおいてそれかよ!」
「え、ってことはやっぱりこっちがアルウル? あはっ。ほんとにけっこうちっさいんだ」
女性がおかしそうに笑った。サラサラした長い髪が、春風の中で揺れている。
「え、けどけどカトルレナ、」
「ん?」
「そっちって誰? そっちのちっさな――」
少女がそちらを指さした。
女性の足もと、半分うしろに隠れるようにして――
「ん? なに?」
「さっきなんで手を振ってたんだ?」
「え?」
通りの先で足を止め、
少女がこちらをふりかえる。何か少しおどろいた様子で。
「おまえさっきなんか、手、振ってただろ。どっか遠くにむかって。あれ、何だったんだ?」
「え~、そんなの振ってたっけ? 見まちがいじゃない?」
「おい、ごまかすなよ。ちゃんと見てたぜ?」
「ん~、そうか~、見られてたか~。。」
少女がしばし沈黙する。なにかをちょっと決めかねるように。
「ま、でも、とりあえずまだ今は―― 秘密。だね」
「おいこら。笑ってごまかすなよ。あ、こら、逃げるな!」
「ははっ! おそいぞアルウル君」
「おいこら! それ! 信号! あぶないってば!」
「も~、さっさと来なさいってばよ~ あんたってば基本がトロいのよ~」
少女がどんどんかけていく。それを少年が追いかける。
どこまでもどこまでも追いかける。そして――
「お待たせ~」
「おお! なになに? ひょっとしてあなたがカトルレナ??」
「ま、そうです。ふふ、ちょっとガッカリした? ゲームほど美人じゃなかったりして」
「え、そんなことないない。十分しっかり美人さんだよ~」
踊るような足取りで、少女が女性のまわりを回った。それからしっかり手を取った。その手を握ったまま、しばらくじっと放さずに。
「ま、でもそれ、ビジュアルの話で言っちゃうと、こっちのアルウルなんて、ゲームとのギャップがもうこれはね~」
「おい! おまえ、自分をさしおいてそれかよ!」
「え、ってことはやっぱりこっちがアルウル? あはっ。ほんとにけっこうちっさいんだ」
女性がおかしそうに笑った。サラサラした長い髪が、春風の中で揺れている。
「え、けどけどカトルレナ、」
「ん?」
「そっちって誰? そっちのちっさな――」
少女がそちらを指さした。
女性の足もと、半分うしろに隠れるようにして――
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
3
-
-
1168
-
-
516
-
-
4503
-
-
35
-
-
841
-
-
52
-
-
4
-
-
58
コメント