アッフルガルド

ikaru_sakae

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「考え方?」
 ヘスキアが嘲笑う。唇が醜くななめにゆがむ。
「ふ。可笑しい。なんの冗談それは? 考え方? そんなものがおまえにある? 単細胞のおまえに? それは本当に初耳―― まあでも、そろそろ綺麗に消えてなくなる時ね。おまえが死ぬほど大好きな、腐敗しきったこの世界とともに」

「ああ!! ああああああ!!!!」

 ヨルドが叫んだ。絶叫した。
 その声には少し、たしかに絶望が含まれている。
 うすれるヨルドの意識の中で、
 さいごの理性が言葉をつむぐ。
 それは謝罪の言葉だった。

 ごめん――なさい
 あなたたちの―― 大切な――
 わたくしたちは―― またここで失敗――
 またひとつ、大切な世界を―― 失って――
 ごめんなさい―― ほんとうにごめんなさ――


 肉の破片が周囲に飛び散った。

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