アッフルガルド

ikaru_sakae

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   ピィィィンンッッ…

 破砕音。
 いまさっきま腕にあった重みが、とつぜんなくなる。
 緑と白のキラキラを周囲すべてにふりまいて――
 カトルレナの存在が消えた。消えた。消えてしまった――

「くうおおおおおぉぉぉ!!!!」

 言葉にならない叫びをあげて、あたしはそいつに組みついた。
 手持ちのワンドで殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る!!
 そして今度は魔法発動、全力最大出力全力投球、
 あたしのもてる魔力全部でいまいるそいつの全存在にもうこれ本気でぶつけまくって――

「あ?」

 爪が―― 
 なんか、そいつの爪――
 あれ? なんだろ、手――
 いや、腕?
 なんか、落ちた。
 腕。
 あたしの腕。
 銀のワンドを握りしめた腕が。
 いまさっきまで、本気で魔法発動しようと力んでたあたしの腕――

「いやあああああああああああ!!!!」

 絶叫。
 腕をおさえ、ころげまわった。
 腕を、じゃなく、
 もうそこに腕はないから、
 あったはずの腕、
 そこに腕があったはずの場所、その切り口、
 おさえて、もだえて、泣き叫び――

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