アッフルガルド

ikaru_sakae

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「いまあらためて、残存データを読んでいますが――」

 そっちでヨルドが、なにかちょっと自信なさそうに言った。泉の上、二メートルくらいの高さのところ。そこに静止して、何か魔法エフェクトっぽいオレンジの光を発光させてる。
「あまりにもフィールドのデータの損壊が甚だしく、うまくつなげられません。つながれば、いまここに残された残存リソースで『命の水』を再構築することも不可能ではないかと、そのように考えてはいるのですが」
「けど、もしそれ、つながらなかったら? これで世界は終わりってこと? ほんとにこんなショボい終わり方?」
「ですからいま、つなげています」
 ヨルドがちょっぴりイラッとした声を出した。オレンジの光が、パリパリ音をたてて火花みたいに散った。
「なによりも集中が大事ですので。できれば集中を乱す余計なコメントは控えて頂きたいものです。」
「はいはい~ じゃ、もう、黙ります黙ります。ふわぁ。もうなんか本気で眠くなってきちゃった。おしっこ行きたい。世界の終わりとか、ぶっちゃけもうどうでも――」
 
「…来ますね。みなさん、注意してください」

 ルルコルルが言った。とても唐突に、冷静に。

「え? それって何を――」


 そして、
 ふりかえって、あたしは見た。
 見たくはなかった。けど、
 見てしまった。
 ああ、もう、信じられない!

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