アッフルガルド
page110
「よし。じゃ、行きますかボス戦」
あたしは何とか、小さくしぼんでとっくになくなりかけてたなけなしの気力を最後にもう一回だけ総動員。マジックワンドをしっかりかまえて戦闘態勢に――
「あれ? 見て! なんか水、さっきより減ってる!」
カトルレナが指さした。奥の壁のあたり。何ヵ所かある吹き出し口から、ザザッと勢いよく水が落ちてきてる―― いや、さっきまでは確かに、落ちてきてた。でもそれが今は、少ない。滝みたいな勢いはぜんぜんない。ちょろちょろ、ちょろちょろ、たよりなく――
そしてその水の色も、ついさっきまでのどこまでも澄んだクリアな水では、なぜだかもう、なくなって―― みるみる、色が―― 赤茶色の、錆みたいな色に――
そしてついには――
止まった。水の流れが、完全に止んだ。
「ね、なんだか知らないけどヤバそう、だよね?」
あたしはワンドを握りなおして、いつ何が起きてもいいように身構える。
「ね、これってボスが出てくる合図? 来るのかな、ウンディーネ?」
「…かもしれない。とりあえず、いつ来てもいいように心の準備を――」
✸✸✸✸ ✸✸✸✸ ✸✸✸✸ ✸✸✸✸ ✸✸✸✸
「――何も起こらないな」
カトルレナが息を吐き、水際の石の床に座りこむ。
パレムの泉。世界でいちばん澄んだ水をたたえているという――
けど、今ここはもうなんだか、完全に水が止まって、ほとんどの水がもう、どこかに流れ出てしまった。濁った茶色の水が、申し訳ていどに、四角い石造りのプールの底になんだか汚くちょっろっと残ってる。今はもうそれだけ。
「バグってことよね、たぶんこれも。ボス、出てこないとか、」あたしは疲れた声で言って、カトルレナの隣にどさっと座った。「でも、これってやっぱりボス戦なしにはステージクリアにならないんでしょ? 『命の水』って、戦闘後じゃないとドロップしないっぽいし――」
あたしは何とか、小さくしぼんでとっくになくなりかけてたなけなしの気力を最後にもう一回だけ総動員。マジックワンドをしっかりかまえて戦闘態勢に――
「あれ? 見て! なんか水、さっきより減ってる!」
カトルレナが指さした。奥の壁のあたり。何ヵ所かある吹き出し口から、ザザッと勢いよく水が落ちてきてる―― いや、さっきまでは確かに、落ちてきてた。でもそれが今は、少ない。滝みたいな勢いはぜんぜんない。ちょろちょろ、ちょろちょろ、たよりなく――
そしてその水の色も、ついさっきまでのどこまでも澄んだクリアな水では、なぜだかもう、なくなって―― みるみる、色が―― 赤茶色の、錆みたいな色に――
そしてついには――
止まった。水の流れが、完全に止んだ。
「ね、なんだか知らないけどヤバそう、だよね?」
あたしはワンドを握りなおして、いつ何が起きてもいいように身構える。
「ね、これってボスが出てくる合図? 来るのかな、ウンディーネ?」
「…かもしれない。とりあえず、いつ来てもいいように心の準備を――」
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「――何も起こらないな」
カトルレナが息を吐き、水際の石の床に座りこむ。
パレムの泉。世界でいちばん澄んだ水をたたえているという――
けど、今ここはもうなんだか、完全に水が止まって、ほとんどの水がもう、どこかに流れ出てしまった。濁った茶色の水が、申し訳ていどに、四角い石造りのプールの底になんだか汚くちょっろっと残ってる。今はもうそれだけ。
「バグってことよね、たぶんこれも。ボス、出てこないとか、」あたしは疲れた声で言って、カトルレナの隣にどさっと座った。「でも、これってやっぱりボス戦なしにはステージクリアにならないんでしょ? 『命の水』って、戦闘後じゃないとドロップしないっぽいし――」
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