アッフルガルド
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あとからあとから、涙があふれてきた。
涙の粒はあごを伝って、足もとの奈落にサラサラ落ちていく。
「まだ泣いているのですか?」
横を歩くルルコルルが言った。ぜんぜん空気読まない声で。
「なによ。泣いたら悪い?」
あたしは言って、乱暴に腕で涙を払う。
ココロもカラダもボロボロになって、ようやく辿り着いたダンジョン地下の第二階層。
でも、そこはもう――
もはやそれは、迷宮とかダンジョンとか、そういう名前で呼べる場所じゃなかった。
そこにあったのは、見わたすかぎりに広がる――
宇宙。そう。宇宙だこれ、誰がどう見ても。
数えきれない星々と、気が遠くなる数のうずまき銀河。
まったく何の支えもない虚無そのものの広がり。そしてその中を、
まっすぐ一本、線路が走っている。ゆるやかにカーブしながら、どこまでもどこまでも。これが唯一、最後に残ったゲーム的な構造物。あとはもう全部、どこかに消えてしまった。
その最後の一本の道の上、流星みたいに金色に光る小さなヨルドに先導されて―― だいぶもうくたびれ果てたカトルレナ。そのうしろ、さらにもっとボロボロのあたし。そしてその隣を歩く―― 見たところノーダメージのルルコルル。
「けど、あんたはずっとその調子よね?」
まだ止まらない涙にむせながら、あたしはちょっぴり嫌味を言った。
「その調子とは?」
「ヒトが死んでも何があっても、ひたすらあなた無関心。ちょっとは悲しいとか怖いとか不安だとか、そういうの、何か感じないの?」
「よくわからないですね。悲しみとか、恐怖とか。そういう感情のようなものを、僕はまだ自分のものとして感じたことがないので」
「感じたことがない? なにそれ? 冗談?」
あとからあとから、涙があふれてきた。
涙の粒はあごを伝って、足もとの奈落にサラサラ落ちていく。
「まだ泣いているのですか?」
横を歩くルルコルルが言った。ぜんぜん空気読まない声で。
「なによ。泣いたら悪い?」
あたしは言って、乱暴に腕で涙を払う。
ココロもカラダもボロボロになって、ようやく辿り着いたダンジョン地下の第二階層。
でも、そこはもう――
もはやそれは、迷宮とかダンジョンとか、そういう名前で呼べる場所じゃなかった。
そこにあったのは、見わたすかぎりに広がる――
宇宙。そう。宇宙だこれ、誰がどう見ても。
数えきれない星々と、気が遠くなる数のうずまき銀河。
まったく何の支えもない虚無そのものの広がり。そしてその中を、
まっすぐ一本、線路が走っている。ゆるやかにカーブしながら、どこまでもどこまでも。これが唯一、最後に残ったゲーム的な構造物。あとはもう全部、どこかに消えてしまった。
その最後の一本の道の上、流星みたいに金色に光る小さなヨルドに先導されて―― だいぶもうくたびれ果てたカトルレナ。そのうしろ、さらにもっとボロボロのあたし。そしてその隣を歩く―― 見たところノーダメージのルルコルル。
「けど、あんたはずっとその調子よね?」
まだ止まらない涙にむせながら、あたしはちょっぴり嫌味を言った。
「その調子とは?」
「ヒトが死んでも何があっても、ひたすらあなた無関心。ちょっとは悲しいとか怖いとか不安だとか、そういうの、何か感じないの?」
「よくわからないですね。悲しみとか、恐怖とか。そういう感情のようなものを、僕はまだ自分のものとして感じたことがないので」
「感じたことがない? なにそれ? 冗談?」
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