アッフルガルド
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大聖堂の窓は破れ、天井は落ち、壁は崩れ、そこから夕陽が見えていました。
世界の最後の、夕陽でした。
その赤は血と同じ色。むしろ血よりも赤々と、
破壊のあと、累々たる死肉の山の上を染め上げて。
血の臭い。
血。どこもかしこも血であふれていました。
わたくしの髪も。わたくしの顔も。
すべては血の海の中で。
わたしが愛したすべての人々は、
あの日あのとき、血の中に消えました。
じっさい世界がおわったあの日。
あの日わたくしは、世界には終わりがあることを知りました。
世界は終わる。すべては消える。消えてしまう。
それで終わり。そのあとには、何もない。もう本当に何もない。
あるのは虚無。はてしない虚無。
世界の最後に、わたしの信じた神は、ついにさいごまで訪れず――
かわりにそこに降りたったのは、
それは神でも天使でもなく――
そこに唐突にあらわれたのは、少女の形をとったひとりの悪魔でした。
「申し訳ありません。この世界も、もうここまでですね」
そこに降り立ったその不思議な少女は、とても悲しい顔でそう言いました。
「天使たちは、あらゆる大陸のあらゆる街をすでに破壊しました。その多くは虚無にのまれ―― ほんのわずかでも生存反応のある都市や町は―― 世界のすべての地域で、あとわずかに十四―― それが今この世界に残った、本当に数少ない、最後のかけらです」
「…あ、あなたは誰ですか? 天使様ですか?」
「いいえ。断じて違います」
「え?」
「天使は―― というか、天使こそが―― 今まさに、いまこの、あなた方の世界を滅ぼす元凶。あの恐ろしい攻撃者たちです。わたくしは悪魔。デオルザルドから来たヨルドと申します」
大聖堂の窓は破れ、天井は落ち、壁は崩れ、そこから夕陽が見えていました。
世界の最後の、夕陽でした。
その赤は血と同じ色。むしろ血よりも赤々と、
破壊のあと、累々たる死肉の山の上を染め上げて。
血の臭い。
血。どこもかしこも血であふれていました。
わたくしの髪も。わたくしの顔も。
すべては血の海の中で。
わたしが愛したすべての人々は、
あの日あのとき、血の中に消えました。
じっさい世界がおわったあの日。
あの日わたくしは、世界には終わりがあることを知りました。
世界は終わる。すべては消える。消えてしまう。
それで終わり。そのあとには、何もない。もう本当に何もない。
あるのは虚無。はてしない虚無。
世界の最後に、わたしの信じた神は、ついにさいごまで訪れず――
かわりにそこに降りたったのは、
それは神でも天使でもなく――
そこに唐突にあらわれたのは、少女の形をとったひとりの悪魔でした。
「申し訳ありません。この世界も、もうここまでですね」
そこに降り立ったその不思議な少女は、とても悲しい顔でそう言いました。
「天使たちは、あらゆる大陸のあらゆる街をすでに破壊しました。その多くは虚無にのまれ―― ほんのわずかでも生存反応のある都市や町は―― 世界のすべての地域で、あとわずかに十四―― それが今この世界に残った、本当に数少ない、最後のかけらです」
「…あ、あなたは誰ですか? 天使様ですか?」
「いいえ。断じて違います」
「え?」
「天使は―― というか、天使こそが―― 今まさに、いまこの、あなた方の世界を滅ぼす元凶。あの恐ろしい攻撃者たちです。わたくしは悪魔。デオルザルドから来たヨルドと申します」
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