アッフルガルド

ikaru_sakae

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「うあぁ??」

 閃光と爆風。
 誰かが撃った熱魔法の余波でおもいっきり前に吹き飛ばされた。地面の上をゴロゴロ転がって転がる。その勢いでムリヤリなんとか鉄扉の前まで辿り着く。もう一回だけちょっぴり戻って、途中の地面に落っことしてしまったアルウルの体を、またずるずるとこっちに引きずってきた。
 
 シュッ…
 
 鋭い金色の矢が、いきなり地面につきささった。
 なにこれ魔法? あいつらここまで狙い撃ち??

 けど、そうじゃなかった。それは光の速さで飛んできたヨルド。
 地面にあふれる金色の光。そこにヨルドが立ちあがる。
「みなさん、降りてください! 今のうちに!」
「降りるっていっても、」
 カトルレナが左腕を押さえながら言った。そっからけっこう流血してる。かなりのダメージを受けてるっぽい。
「どうやって降りれば? このエレベーターって稼働してないんでしょう?」
「そのままシャフトに飛びこんでください!」
「え、けど、それって落下死するんじゃないの??」
「するかもしれませんが、今はそのリスクは無視します。さあはやく!」
「無視って? え、それってやっぱり死ぬってこと??」
「着地時にわたくしが全力でサポートしますから。はやく! もう時間がありません」

「やれやれ。もうこれ、やけくそだねこれ」

 強気にちょっぴり苦笑いしながら、さいしょにカトルレナがとんだ。
 底の見えないシャフトの暗闇のはるか下へ、白の軌跡を長く残して――

「じゃ、僕も行きます」

 ニコッと笑ってルルコルル。まともに綺麗にまっすぐジャンプ。見る見る奈落の暗闇に落ちていく。

「じゃ、さいごはあたし―― って、あ、やばいやばいやばい! 来てる来てる来てる! そこよけてヨルド!」
「え?」
 ヨルドがわずかに動揺を見せた。まっすぐそいつが飛んでくる。まるで全身刃物みたいに――

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