アッフルガルド
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「ログアウトはいけません。いまもどるのは非常に危険です」
「危険って何? ちょっとトイレ行くだけでしょ?」
「今行くと、ログアウトしたが最後、二度とこちらに戻れなくなる可能性が高いのです」ヨルドがあたしの肩まで降りてきた。「接続回線自体がきわめて不安定です。ゲームサーバの基幹システムが多数のダメージを受けていつダウンしてもおかしくない状況。いまここでログアウトは無謀です。ステージクリアまでは、接続を継続しなければなりません」
「言ってることはわからなくはない… けど、じゃ、トイレはどうすれば?」
「そうよ! さっきからずっと我慢してて、けっこうもうつらいんだから!」
あたしもカトルレナと一緒になって反論。
だけどヨルドはこう言った。とても淡々としたドライな声で。
「それは我慢して頂くしかありませんね。もし仮に我慢できずに○○するようなことがあったとしても―― けれどそれは、ちょくせつお二人の命に関わるほどの何かではないですよね?」
「あんたね! 乙女には命より大事なことの二つや三つくらいいくらでもあんのよ。トイレのことは、ばっちりその一つなんだから!」
「あまり理性的な発言とは思えませんが」
「理性とかどうでもいい! とにかくトイレは大事って言ってんの」
「まあでも、まあ待て、カナカナよ」
アルウルが横から背中をポンッと叩いた。
「なによ? いま大事な話してんのよ?」
「いいから聴け」
「だから何?」
「いや、だからさ。その、トイレの話」
「トイレの何?」
「や、だから。これってゲームなわけだろ? 別にそのカナカナのキャラクタが、リアルにここでトイレするわけじゃない。だろ?」
「あたり前でしょ。そんなゲームあったら嫌だわ」
「だからさ、その―― じっさいゲームに参加してる他のメンバーには、リアルでお前がどこで何してようが、じっさい何もわかりゃしないじゃん。おまえが半分よだれたらして半狂乱でゲームしてようが、何かを漏らしてやってようが。やってる本人以外には、ぜんぜん知るよしもない。だろ?」
「何よ。じゃ、このままここで漏らせってこと?」
「や、べつに絶対そうしろと命令してるわけじゃ――」
「ここってリアルだとダイブカフェなわけだよ? そこで漏らして、出るときどうすんのよ? 清算のときとか? 恥ずかしすぎて店員さんの顔見れないよ!」
「まあでも、世界が消えるかどうかの瀬戸際だろ? 料金精算がどうとか、どっちでもいいじゃん。カフェ自体も営業できてるか微妙だし」
「とにかく! お漏らしは論外。ま、そりゃ、カトルレナはいいかもしれない、自宅の部屋にダイブスペースあってさ。そこなら多少何しても誰にもバレないし」
「よくないって! 家でも嫌だよ、そんなのは。なに言ってんのカナカナは!」
ピシッッ…
「何?」「なんだ??」
その場の全員が動きを止める。
「危険って何? ちょっとトイレ行くだけでしょ?」
「今行くと、ログアウトしたが最後、二度とこちらに戻れなくなる可能性が高いのです」ヨルドがあたしの肩まで降りてきた。「接続回線自体がきわめて不安定です。ゲームサーバの基幹システムが多数のダメージを受けていつダウンしてもおかしくない状況。いまここでログアウトは無謀です。ステージクリアまでは、接続を継続しなければなりません」
「言ってることはわからなくはない… けど、じゃ、トイレはどうすれば?」
「そうよ! さっきからずっと我慢してて、けっこうもうつらいんだから!」
あたしもカトルレナと一緒になって反論。
だけどヨルドはこう言った。とても淡々としたドライな声で。
「それは我慢して頂くしかありませんね。もし仮に我慢できずに○○するようなことがあったとしても―― けれどそれは、ちょくせつお二人の命に関わるほどの何かではないですよね?」
「あんたね! 乙女には命より大事なことの二つや三つくらいいくらでもあんのよ。トイレのことは、ばっちりその一つなんだから!」
「あまり理性的な発言とは思えませんが」
「理性とかどうでもいい! とにかくトイレは大事って言ってんの」
「まあでも、まあ待て、カナカナよ」
アルウルが横から背中をポンッと叩いた。
「なによ? いま大事な話してんのよ?」
「いいから聴け」
「だから何?」
「いや、だからさ。その、トイレの話」
「トイレの何?」
「や、だから。これってゲームなわけだろ? 別にそのカナカナのキャラクタが、リアルにここでトイレするわけじゃない。だろ?」
「あたり前でしょ。そんなゲームあったら嫌だわ」
「だからさ、その―― じっさいゲームに参加してる他のメンバーには、リアルでお前がどこで何してようが、じっさい何もわかりゃしないじゃん。おまえが半分よだれたらして半狂乱でゲームしてようが、何かを漏らしてやってようが。やってる本人以外には、ぜんぜん知るよしもない。だろ?」
「何よ。じゃ、このままここで漏らせってこと?」
「や、べつに絶対そうしろと命令してるわけじゃ――」
「ここってリアルだとダイブカフェなわけだよ? そこで漏らして、出るときどうすんのよ? 清算のときとか? 恥ずかしすぎて店員さんの顔見れないよ!」
「まあでも、世界が消えるかどうかの瀬戸際だろ? 料金精算がどうとか、どっちでもいいじゃん。カフェ自体も営業できてるか微妙だし」
「とにかく! お漏らしは論外。ま、そりゃ、カトルレナはいいかもしれない、自宅の部屋にダイブスペースあってさ。そこなら多少何しても誰にもバレないし」
「よくないって! 家でも嫌だよ、そんなのは。なに言ってんのカナカナは!」
ピシッッ…
「何?」「なんだ??」
その場の全員が動きを止める。
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