アッフルガルド

ikaru_sakae

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 小型のロケットみたいに空から墜落してきたその小さなモノ。

「申し訳ありません。できる限り時間は稼いだつもりですが。あちらのフィールドでの防御継続は非常に困難と判断しました」

 ボロ雑巾みたいになった黒い鳥が、砂ぼこりの中から苦しそうに立ちあがる。
「この現在位置を拠点にひきつづき防御いたします。ここならばまだ、利用可能なエナジーリソースが多数残存していますので」
 化けガラスのビジュアルのダグが、弱った声で報告。左側の翼ははっきり見てわかる感じでボキッと折れ曲がってる。片方の目も塞がってる。なにこれほんとにボロボロだ。
「しかし、敵二体の戦力は予想以上に強大。ここもどれだけの時間まもりつづけられるか」
「わかりました。守備はおまえにまかせます。他のみなさまは、とにかく先に進んでください!」
「おまえな~、先にって言ったって、どうやって行けばいいんだよ? NPCは?」
「いたいいたい、いたいです! やめなさい! 耳を引っ張らない! 許容しませんよ、そういう不作法は!」
 なになに?? いきなりヨルドが発光?
「いでででででで!!」
 電撃系の視覚エフェクトとともにアルウルが絶叫。HPゲージがグングン減っていっきにオレンジゾーンまで。
「てめ! こらネコリス! なにすんだ! 殺す気か!」
「あなたこそ無礼です! わたくしは仮にも暗黒界デオルザルドの――」

「もーやめてよ二人とも! そんなのやってる場合じゃないでしょ!」

 ゴオオオッ! 炎の柱が立ちのぼる。
 というか、立ちのぼらせたのは、むしろあたしだ。
 中位クラスの火炎魔法「ヒートキス」
 中位なりに出力おおきい。まあでも死なない程度に。

「あちちち!」「きゃあああああ!」

 二つの絶叫。アルウルとネコリスがバーベキューの炭みたいな黒焦げビジュアルにかわる。

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