アッフルガルド

ikaru_sakae

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「なに? 何か面白い要素あった、今の会話に??」
 あたしは意味がわからなくて本気で首をかしげた。
「あ、いえ、ごめんなさい。つい笑ってしまいました」
 ルルコルルが、涙をふきながら苦しそうに言った。おい。。泣くほどの何かはぜったい今なかっただろ、ここには――
「とてもおもしろい会話でした。ふたりは仲がいいんですね」
「はぁ??」「なに言ってんだ??」 
「いえ、ごめんなさい。ひとりでちょっと、受けてしまって。すいません。続けていきましょう。まだもうちょっと、先は遠いんでしょう?」
 ルルコルルは言って、両手で髪の毛をかきあげ、ひたいに巻いたバンダナの位置を丁寧な手つきで直した。
「おーい! なにそこ、止まってるの? 何かそこ、あった?」
 だいぶ前の方でカトルレナが呼んでる。
 なんでもねーよ! と言ってアルウルが手をふった。
「なんか調子狂うよなあ、あいつ」
 アルウルがボソッと言って、うしろのルルコルルをちらっと見た。
「なんか変なヒトよね。悪いヒトではなさそうだけど」あたしも小声でかえした。「でも、あのヒトなにが楽しくて参加したのかなぁ? ぜんぜん遊んでる雰囲気感じないし。」
「なにって、報奨金目当てだろ、そりゃ」
「けど、ゲームマネーをゲットしたとして、あの人が楽しそうにそれ使って遊んでる図がまったく浮かばないんだけど?」
「ん~、言えてるな、それは。でもま、やろうと思えば闇マーケットで地味にリアルマネーに換金もできなくはないし――」
 
 ザッ!! いきなりアルウルがダガーをふるった。

 バシュウウウウウウ……

 キラキラピンクの視覚エフェクト。おそいかかってきた砂虫のビジュアルが一瞬で消えた。前をゆくカトルレナが狩りもらした残りのやつだ。さっきからなにげに砂虫の数が最初より増えてきてる。
 あたしもそこに参戦。いちおう捨てずにアイテムストックに残してた小ぶりな片手ランスがいまここで役に立つ。あまり細かい動きは考えず、とにかくブンブン振り回す。ターゲットは充分大きいし、距離も近いし相手は遅い。適当に振っても面白いように当たる当たる。あたしの得意の火炎魔法は使わず温存。この先、魔法回復のマナポーションを売ってるNPCの店ってたぶんなさそうだし。 
「おまえな~、そんなのは一撃で仕留めろよ!」 
「うるさいな~、最終的に倒してるんだからそれでいいでしょ」

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