アッフルガルド

ikaru_sakae

page63

「ヨルド様。出ました。新たなイーグス反応っ!」
 ダグが鋭く言葉をとばした。

 ザッ バシッ ガッ ドガッ ザシュッ

 あまりにもスピードが行き過ぎて、わたしにはもはや、
 そこにある音と砂埃としてしか認識できないシーンの連続だけど――
 でもたぶん、防いでる。防いでる。それでも何とか防いでる!
 アルウル、防いでるっぽい! 
 すごい! 前後からの攻撃を二本のダガーで必死に防いで。
 いまの上手い! すごく高度な回避テクだよあれ!
 けど… それでも…
 だけど非情にもアルウルのHPゲージはさらに低下。
 もうまもなくオレンジゾーンに突入する。


「な、ん――だ――と??」

 ガントが大きく目を見開いた。
 腰のあたりから上が、なんだか不自然に左にスライド。
 真っ二つ…… 切り離された上半身が、地面に落下。

  ピィィィィンン……

 高い金属質の効果音。ガントのキャラクタグラフィックが四散。
 虹色の粉になって散り消えた。

―― DEAD ――
 
 赤色のデッド表示がそこにともった。

 な、なにが起こったの??
 ぜんぜん今の、よく見えなかった…

 たちこめる砂ぼこりがすっかりおさまったとき、
 誰かがそこに立っている。
 剣撃のアフターモーションのまま静止した、そのヒト。
 眉ひとつ動かさず、まったく平静そのもの。両手で持つのは、いかにも下位クラスの廉価版ブロンズソード。そしてあの、いかにも冴えない安物の旅人服。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品