アッフルガルド

ikaru_sakae

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「急募! パーティーメンバー求む! 募集定員2名
 報酬額:200Mジェノ。びっくり破格の高収入です!
 スペシャルイベントステージを一緒にクリアしましょう。

 腕に覚えのある方、大募集。
 応募者多数の場合は、スキル構成などを見させて頂いた上、
 さいごは面接にてベストな人を選ばせて頂きます。

 面接会場: モアブ砂漠フィールド・グルコ村の聖堂前広場
 チャットメールでご応募ください。とにかく急募です! 
 応募締切: アウルガンド歴812年 花の月の12日 15:00」



「で? どうなの、応募状況は? 希望者殺到?」

 グルコ村。
 赤茶けた岩だらけの土地。ひときわでっかい岩山のふもとに、その村はあった。近くの岩山と同じ色の赤っぽい石を積み上げてつくった素朴な家々がならんでる。いまここは、その村の聖堂のそばの宿屋「赤猫亭」。
 パティオっていうのかテラスっていうのか、名前はよくわかんないけど―― とりあえず建物の中につくられた居心地のいい中庭。南国チックな鉢植えがいっぱい。天井はなくて、吹き抜けの青空が綺麗にのぞいている。
「ちょっと待って―― 今、チャットスクエアのデータを全部拾ってる」
 カトルレナがこっちを見ずに言った。さっきから何かの作業に没頭してる。あたしが何か言ってもあんまり聞いてない。顔のまわりに浮かべた十個ぐらいのメッセージウィンドウ。そして速い。このヒトの手の動き。たぶん、そこらのピアニストよりずっと速く正確に動いてると思われる。
「これ、けど、ジェリコ茶って何げに甘くて美味しいね~」あたしは素焼きのカップからまたひと口、その赤い色した飲み物を喉に流しこむ。「このゲームってば、こういう味の再現、けっこうしっかりしててマニアックだよね」
「けど、ここに来る途中で食べた何とかの実? あれはひどかったな。スピードアップの効果はいいけど、あんなにマズい味まで再現しなくていいのに」
「先週食べた『ポカビーストの肉』。あれひどかったよ~ 匂いからしてやばかった~」
「ん、でたでた。いまそっちにとばすね」
「ほいほーい。」

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