アッフルガルド

ikaru_sakae

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 起きたらもう、とっくに昼を過ぎてた。
 ほっぺたに涙のあとができてた。キッチンの流しで顔を洗う。
 ちょっとごしごしこすったら、涙のあとはすぐに消えてなくなった。
 そのあと少しして、カトルレナもゴソゴソ起きてきた。

 ひとまず二人でごはんを食べた。レトルトのキノコ雑炊とポップコーンみたいなスナック菓子。カトルレナは肩まで毛布をかぶっていたけど、いちおう顏だけは出して、無言でもぐもぐ一緒に食べた。けっこう髪はぼさぼさで顔色も悪かった。けど、なにげにけっこう美人さん。血色がよくなって髪が整えば、もっとずっと美人になるだろうと思われる。
そのあと二人でごろごろマンガ読んだ。それからテレビで一緒にアニメをみた。この世界の終わりにも、テレビヒノシマは去年のアニメの再放送をやっていた。その底なし鉄板の危機意識のなさが、むしろなんか今はホッとして癒された。
 ためしにチャンネル変えて他をみると、どこもかしこも黒化現象がなんとかの臨時ニュース。政府の緊急なんとか、ニイナカ県のなんとか市でも非常事態―― 
 なのにどれだけ待ってもぜんぜんあの二人は―― あのヘンテコな悪魔コンビは、ぜんぜんこっちに戻ってくる気配がない。時計を見るともう午後四時。

 ゴミが邪魔で開かないドアを無理やり開けて外に出る。外は意外にもすごくシックな高級マンションの廊下スペースだった。間接照明のともる高級感あふれる廊下。同じデザインの木目調のドアが6個ほど等間隔にならんでる。
 エレベーターで1Fまで降下。
 二重のセキュリティドアを通り抜け、表の通りに出た。
 外はもうけっこう暗い。なにげに雨が降ってる。傘なんて持ってないからとりあえずそのままダッシュで走った。どっかにコンビニがあれば傘を買おうと思った。けど、このへんは住宅街でぜんぜん店なんてなかった。
 ヒノシマ市。
 名前はたまに聞く。けど、じっさい来るのは初めて。第一印象としては、なんとなくトウキョウよりだいぶ震災復興がおくれてるって感じ。そこらへんの家は壊れたままで全然建てなおってない。火事で燃えたっぽい区画もあった。そこはそのまま黒い瓦礫の更地になってて。


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