アッフルガルド
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「だけどすごかったな。あのフランクフルト何とか市?」
「フランクフルト・マイン市。それくらい覚えなさいよ」
「どうでもいいだろ名前とか」
「でもあれ、まだまだどんどん広がってるって。さっき新たにジュネーブ市とも連絡とれなくなったって言ってた」
「ジュネーブってどこ? ロンドンとか、あそこらへん?」
「ぜんぜん違うよ。学校で習わなかった?」
「習わねえよそんなもん。ユーロ連邦。首都ベルリン。それしか知らねーし」
「ふふふ。学習不足だな。歴史とかでばっちり出てるよ、ジュネーブ」
「歴史とかどーでもいいし。けど、ほんとに何だろな? ひょっとしてエイリアン来襲とか?」
「は? エイリアン? 意味わかんない」
「原因不明なんだろ? 可能性としてはありじゃねーの?」
「あは。アホじゃないの。ガキだなぁ、発想が」
「うっせー。ガキとか言うな」
「けど、なんかすごい避難とかしてるっぽいよね。どっかで暴動も起きてるって言ってた」
「ま、だけどそんな中、かわらず呑気にこっちで遊べてるおれらってば、これはもう完全勝ち組だよな」
「こら。怒られるよ、そんなん言ってたら」
「ははっ。誰にだよ?」
とかなんとか――
あたしとアルウルはいつものこっちの遊び場でぶらぶらしょうもない会話をしている。
王国属領ペドルガル。南の商都バトラ。
『いかにも』な中世ヨーロッパ的城塞都市。たくさんの塔と、たくさんの教会、それからおっきな貴族の屋敷と、もうちょっとサイズの小さな商人とかの家。それがぜんぶ整然とならんでる。なかなか立派な町だ。
建物は全部が石でできてる。階段とか坂もけっこうある。まんなかの市場はいつ見ても活気があってたくさんの果物とか野菜をいっぱい売ってる。昼間に行くと人がいっぱいですごくにぎやか。市場の隅では音楽とかもやってて。
で、いまここは、そのバトラの町の南のはずれ。きれいなおっきな湖に面した広い原っぱ。ここには修道院だか何だかの廃墟があって、いかにも古い、いい雰囲気。パソコンの壁紙写真とかに、あってもよさそうな景色だ。
いちおうここが、うちのパーティの集合場所。パーティって言っても、あたしとアルウルとカトルレナの三人だけの地味なグループなんだけど。
いまここ、ゲーム内時間では夕方の設定。夕暮れ雲が湖の上の空をゆっくり流れてる。風はおだやか。ほのかに夏草の香りがする。遠くの農家の煙突から、ゆったりした白い煙があがってる。もうちょっとしたらあっちこっちの空に星がまたたきはじめる。
で、いまあっちで「グランゴット」っていう山羊っぽい動物モンスターを狩って暇つぶししてるのは――
あれ、あたしの遊び仲間のアルウル。エルモっていう妖精種族の設定。緑色の髪、カッコよさげな紋章刺繍の入ったベージュのポンチョみたいな服を着て、よさげな皮のロングブーツを履いて走りまわってる。
アルウルとはリアルには会ったことない。こいつ、あたしの町からもうちょっと、だいぶだいぶ五百キロくらい北に行ったモリタ市っていうところに住んでる自称小学生。
「だけどすごかったな。あのフランクフルト何とか市?」
「フランクフルト・マイン市。それくらい覚えなさいよ」
「どうでもいいだろ名前とか」
「でもあれ、まだまだどんどん広がってるって。さっき新たにジュネーブ市とも連絡とれなくなったって言ってた」
「ジュネーブってどこ? ロンドンとか、あそこらへん?」
「ぜんぜん違うよ。学校で習わなかった?」
「習わねえよそんなもん。ユーロ連邦。首都ベルリン。それしか知らねーし」
「ふふふ。学習不足だな。歴史とかでばっちり出てるよ、ジュネーブ」
「歴史とかどーでもいいし。けど、ほんとに何だろな? ひょっとしてエイリアン来襲とか?」
「は? エイリアン? 意味わかんない」
「原因不明なんだろ? 可能性としてはありじゃねーの?」
「あは。アホじゃないの。ガキだなぁ、発想が」
「うっせー。ガキとか言うな」
「けど、なんかすごい避難とかしてるっぽいよね。どっかで暴動も起きてるって言ってた」
「ま、だけどそんな中、かわらず呑気にこっちで遊べてるおれらってば、これはもう完全勝ち組だよな」
「こら。怒られるよ、そんなん言ってたら」
「ははっ。誰にだよ?」
とかなんとか――
あたしとアルウルはいつものこっちの遊び場でぶらぶらしょうもない会話をしている。
王国属領ペドルガル。南の商都バトラ。
『いかにも』な中世ヨーロッパ的城塞都市。たくさんの塔と、たくさんの教会、それからおっきな貴族の屋敷と、もうちょっとサイズの小さな商人とかの家。それがぜんぶ整然とならんでる。なかなか立派な町だ。
建物は全部が石でできてる。階段とか坂もけっこうある。まんなかの市場はいつ見ても活気があってたくさんの果物とか野菜をいっぱい売ってる。昼間に行くと人がいっぱいですごくにぎやか。市場の隅では音楽とかもやってて。
で、いまここは、そのバトラの町の南のはずれ。きれいなおっきな湖に面した広い原っぱ。ここには修道院だか何だかの廃墟があって、いかにも古い、いい雰囲気。パソコンの壁紙写真とかに、あってもよさそうな景色だ。
いちおうここが、うちのパーティの集合場所。パーティって言っても、あたしとアルウルとカトルレナの三人だけの地味なグループなんだけど。
いまここ、ゲーム内時間では夕方の設定。夕暮れ雲が湖の上の空をゆっくり流れてる。風はおだやか。ほのかに夏草の香りがする。遠くの農家の煙突から、ゆったりした白い煙があがってる。もうちょっとしたらあっちこっちの空に星がまたたきはじめる。
で、いまあっちで「グランゴット」っていう山羊っぽい動物モンスターを狩って暇つぶししてるのは――
あれ、あたしの遊び仲間のアルウル。エルモっていう妖精種族の設定。緑色の髪、カッコよさげな紋章刺繍の入ったベージュのポンチョみたいな服を着て、よさげな皮のロングブーツを履いて走りまわってる。
アルウルとはリアルには会ったことない。こいつ、あたしの町からもうちょっと、だいぶだいぶ五百キロくらい北に行ったモリタ市っていうところに住んでる自称小学生。
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