アッフルガルド
page6
「失敗。わずかに遅かったですね」
同じ時刻、同じ場所。古い館の正門前。
黒い小柄な人影が言葉を吐いた。その者の視線は、じっと館の上層に。
さきほど窓の向こうで光と炎が炸裂、
窓枠と壁の一部が同時に吹き飛んだ。
爆発の余波で大屋根の一部が赤の炎に包まれ――
「いかがいたしましょうヨルド様? 介入しますか?」
そばに控えていたもうひとつの影がささやく。目深にかぶったフードにかくれて表情は見えない。
「いいえ。撤収しましょう。残念ながらもう手おくれです。おまえもいま、あの音を聞いたでしょう?」
「はい。遺憾ながら」
「時をあらためましょう。彼らと接触するのはまた別の場所で」
「…そのように仰るのであれば、」
ザンッ!!
一陣の風が立つ。庭の木々が大きく揺れる。その風が消えたあと、もうそこに二つの人影はなかった。白く冷たい満月がほとんど真上から夜の世界を照らし出し、その無情な白さ中で、古い館の大屋根が火の粉をまきちらしながら崩れ落ちた。
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同じ時刻、同じ場所。古い館の正門前。
黒い小柄な人影が言葉を吐いた。その者の視線は、じっと館の上層に。
さきほど窓の向こうで光と炎が炸裂、
窓枠と壁の一部が同時に吹き飛んだ。
爆発の余波で大屋根の一部が赤の炎に包まれ――
「いかがいたしましょうヨルド様? 介入しますか?」
そばに控えていたもうひとつの影がささやく。目深にかぶったフードにかくれて表情は見えない。
「いいえ。撤収しましょう。残念ながらもう手おくれです。おまえもいま、あの音を聞いたでしょう?」
「はい。遺憾ながら」
「時をあらためましょう。彼らと接触するのはまた別の場所で」
「…そのように仰るのであれば、」
ザンッ!!
一陣の風が立つ。庭の木々が大きく揺れる。その風が消えたあと、もうそこに二つの人影はなかった。白く冷たい満月がほとんど真上から夜の世界を照らし出し、その無情な白さ中で、古い館の大屋根が火の粉をまきちらしながら崩れ落ちた。
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