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私(わたくし)、ヒュドラになりまして。

オオタ タク

第7話 猿?いや、ゴリ Part2

軽く森林破壊を不可抗力で行いつつ、
心の中で木々にゴメンナサイを言いながら進む。

なんで付いてくんだ?コイツ。

なに考えてるのか、いまいち解らないゴリ。
ボッチか。寂しいのか。
一人じゃ死んじゃう系の奴か。
そーか、そーか…。
それはな、素行に問題あるからだからな。
改めろ。悔いろ。反省しろ。失せろ。

9カメさんでゴリをチラ見する。
性懲りもなく私の右側面をキープしている。
何でキレられてまだその位置におれるんや!
そのポジションのまま平然とついて来んなよっ!!
そのままで許されると思うなよ!

少し速足で右前方にスライドし、
ゴリの正面に出ようとする。
どうせグーパン喰らうなら
腹より尻のほうがまだマシだし。

しかし、まったく位置関係は変わらない。
ゴリの様子は変わっておらず、
急いでいる感じもない。
頭の後ろに腕を組んだまま
飄々とついてくる。
『イラッ。』
さらに加速する。
速足は小走りに変わる。
だが状況は変わらない。

いつの間にか
全速力で走りだしていたが、
ダッシュしてもゴリは顔色一つかえず、
歩調すら変わったように見えない。
いや、おかしいだろこれ!
コッチは走っとんねんど!
歩様の速さすら変わらんて
物理学的におかしいやろ。

しばらく走っているとゴリが唐突に、

「もしかして、引き離そうとしてる?
君じゃ無理じゃないかな。たぶん。
おれ一応、神様だから。
ハヌマーンって知ってる?それ。
君に置いてけぼりされる事は
ありえないよ。ハハハ。」
とか、ドヤ顔で言い出しやがる。
偉そうに上から口きいてくれるやんけゴリ。
なにニヤついてんねん!気持ち悪い顔で!
神様だぁっ?
大物ぶりやがって!
おまえの様な神仏がいてたまるか!
確かによく見ると、斉天大聖的な
輪っかが頭に付いてるけど、
そんなモンで私が恐縮すると思うなよ!

それに、そもそもハヌマーンって猿神だろ。
猿だろ?
お前はどう見てもゴリラだろ。
ゴリラ以外の何者でもないだろ。
亜種か?特殊個体か?
猿のハヌマーンは量産型か?
猿神の概念どうなっとんねんっ。

ダッシュでの呼吸の乱れや疲労感はないが、
まるで酸欠みたいに思考能力が低下し、
悪態や罵詈雑言が駆け巡る。あ、これは怒りからか。

気持ちを落ち着けるため
一旦、歩きに戻す。
そして、深呼吸。
スー。ハー。

ふと横を見るとゴリラがこちらを見ている。
いや、仲間になんてしないから。
森へお帰り。

「いま失礼なこと考えてない?
僕に対して。」
どの口がもの言うてんねん。
たった一言で落ち着いた心を
逆撫でしてくれるやん。
人を煽る天才か?煽りマスタークラスか?

「失礼なのはお前だろーがっ!」
思わずノータイムでツッこむ。
よっしゃ。もう、
これまでの鬱憤を浴びせたろ。

「初対面で挨拶も無しにジロジロ見やがって!
気ぃ使って話かけてやったら、
お前から来たくせに『こっちのセリフ』だぁ?
さらには出会って数分でワンパンかましやがって。
挙句の果ては自分が神様だぁ?
冗談は猿だけにしとけよっ!」

9カメさんで至近距離まで顔を近づけ、
下から突き上げる様にメンチをきる。

「口わるぅ…。」
コイツ、自分の行い棚上げして
ドン引きやがった…!
「まぁ、ただの性別判定だから…」
釈明する気か?言わせねぇよ!

「性別確認するために
ボディぶち込んでくる馬鹿
ドコいるかよっ!!!」
けたたましい怒号ともつかない魂の叫びを
意図せず森一帯に轟かせてしまった。

これが後に魔物エンカウントの呼び水になるとは、
夢にも思ってませんでしたよ、アタシャね。

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