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Bluetoothで繋がったのは学校1の美少女でした。

穂村大樹

第101話 イルミネーション

ショッピングの後、夕食を食べ終えた俺たちはイルミネーションの会場に向かっていた。

「すごい雰囲気だったね」
「本当にな。何回行っても慣れなさそうだわ」

俺たちが夕食を食べたのは格式の高そうなフランス料理店。
ドレスコードは指定されていなかったが、フォーマルな格好をしている人が多かった。
服装についても、フランス料理を食べる時の作法についても何も知らない俺には過ごしづらい空間だった。

「でもありがとな。予約してくれて。こうやって色々勉強して大人になっていくんだろうな」
「なに悟ったようなこと言ってるの。私たちまだ高校生なのに」

楓と会話をしている間にイルミネーション会場に到着した。

イルミネーションとはどれほどロマンチックなものなのだろうかと期待して会場に来てみたが……。

俺の期待は儚く崩れ落ちた。

「ものすごい人だな」
「……だね」

辺りは見渡す限り人で埋め尽くされており、ロマンチックな雰囲気とはかけ離れていた。
どちらかと言えば年末年始のお参りに来たかのような賑やかさだ。

辺りを見渡すと大半が男女2人組である事に気付く。
人目を憚らず抱き着いたりキスをしたりしているベテランカップルもいれば、最近付き合いだしたと思われる手を繋いで頬を紅潮させているカップルもいる。

それ以外に、まだ告白をしておらずカップルになっていないと見られる男女も大勢いた。

皆んな聖夜だからってはしゃぎすぎじゃない?

「大丈夫? 祐、人ごみ苦手そうだけど」
「あんまり得意ではないな。でもまあイルミネーションが楽しみなのも間違いないからな。我慢我慢」
「無理して見に行かなくてもいいよ?」
「いや、ここまで来たら見に行くしかないだろ」

俺は半ば強引に楓の手を引き、人でごった返す会場を付き進んだ。

そして俺たちはイルミネーションの本会場に到着した。

「うわ、めっちゃ綺麗じゃねえか」
「うわって嫌なものを見たときに使う言葉じゃない?」
「いや、でも綺麗すぎてうわって言っちまったわ。人って感動すると、うわっていうんだな」
「たぶんそれ祐だけだから。他の人を一緒にしちゃ可愛そう」

こんなところで自分の好きな人と手を繋いでデート出来たら楽しくて仕方がないんだろうなあ。

雰囲気が良くなってキスとかしちゃったりしてな。

「え、あそこにいるの風磨と花宮さんじゃない?」
「お、ほんとだ。ちょっと声かけてくるわ……ってえ?」
「あ……」

俺が声をかけに行こうとした瞬間、風磨と花宮はキスをし始めた。

悪気があったわけじゃないが、俺は二人がキスをしているその姿から目を離すことが出来なかった。

「何してるの!! 早く隠れて!!」
「あ、そうだなごめん」

俺と楓は急いで風磨と花宮から見つからないであろう路地の裏に隠れた。

「大変なところ見ちゃったね」
「……それな。なんか申し訳なくなるな」
「その割にはじっとキスしてるところ見てたみたいだけど?」
「いや、なんか目が離せなかったというか……」

風磨と花宮がキスをしているところ見かけたせいで俺と楓の間には微妙な空気が漂い始めていた。

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