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Bluetoothで繋がったのは学校1の美少女でした。

穂村大樹

第99話 クリスマスの始まり

12月24日、クリスマスイブ。

俺は楓と待ち合わせ場所に決めた駅前で楓を待っている。
駅は風通しが良く、厚着をしていても肌寒さを感じるほどだ。

楓は待ち合わせの時間を5分過ぎても現れず、スマホを何度か確認するが楓から連絡は来ていない。

俺がソワソワしているのには今日の本題、楓への告白の返事の事を考えているからだ。

楓が期待しているであろう告白の返事だが……。

当日になっても答えは出ていなかった。

モカにアドバイスを受けてから今日まで言われた通り、自分の好きな相手が自分の行動で判明するのかどうかを注視していた。
結局今日まで、どのように行動に現れていたのかは不明だ。

だが、今日返事をすると決めたんだ。何がなんでも今日中に楓に告白の返事をする。

待ち合わせの時間に10分遅れて、楓が待ち合わせ場所にやってきた。

「お待たせ。準備に手間取っちゃった」
「あ、いや、全然待ってないよ。じゃあいくか」
「うん」

準備に手間取ったというだけあって今日は楓が一段と可愛く見えて気恥ずかしさがあった。

電車に乗車するため、俺が駅の改札に向かって行くと後ろをちょこちょこと歩いてついてくる。
ヒールを履いているようで、歩くスピードが遅くなってしまっているようだ。歩くスピードを合わせないとな。

電車に乗るといつもの癖でBluetoothを耳に着けそうになるが、今日は楓と一緒にショッピングに行くのだからそう言うわけにもいかない。

今日楓とショッピングに行く場所は祐奈と日菜のライブを見に行った場所の近くでもある。

それを思い出すと余計に俺の決断は難しくなった。

「今日はありがとね」
「いやいや、俺だってくりぼっち極めるところだったからな。こちらこそありがとな」
「祐とクリスマスを一緒に過ごせて嬉しい」

楓の言葉に対して、俺も嬉しいよ、という一言を発するのを躊躇ったのは俺が決断をしきれていないからだろう。

女子と過ごす初めてのクリスマス。まさか俺がクリスマスを女子と一緒に過ごす日がやってくるなんて……。

今日の予定は全部楓に考えてもらっている。

男らしいところを見せないわけには行かない。

今日のデートコースはすでに楓から聞いているし、ある程度は俺がエスコートしなければ。
エスコートと言っても女子慣れしていない俺では至らぬところが多々あるだろう。何か問題が有れば祐奈にトークアプリで質問でもしよう。

女子と過ごす初めてのクリスマスが、告白の返事をしなければならないと言う念に駆られて落ち着くことが出来ないのだけが残念でならない。

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