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Bluetoothで繋がったのは学校1の美少女でした。

穂村大樹

第63話 イケメンオタクの理由

俺たちアニメオタクには一生無縁だろうと思っていた恋愛。

まあイケメンである風磨には当てはまらないのだろうが、毎日アニメの話をしている風磨のこんな瞬間を目の当たりにするとは思わなかった。

いや、もしかすると俺が知らなかっただけで風磨にとってはこれが日常茶飯事なのかもしれない。
校舎裏とか中庭とかに呼び出されて告白をされていたのかもな。

「そこに隠れてる3人、出て来て良いぞ」

風磨が放った言葉に俺たち3人は思わず顔を見合わせた。どうやら風磨は俺たちがこの告白を見守っていたことに気づいていたようだ。

気づかれているのであれば姿を隠す必要もないだろうと俺たちは風磨に言われた通り、オブジェの後ろから風磨の前に出て行った。

「俺さ、アニメオタクで地味で根暗だから告白なんてされたことも無いし恋愛なんて一切無縁なんだよ。いちゃついてるカップルとか見るとさ、イラッとして毛嫌いもしてたけど……。告白される側も辛いことがあるんだな」
「嫌味じゃないけどもう慣れたよ」

俺が知らないところで風磨がこんな苦労がをしていたとは。慣れたと言えるほどに同じような経験を繰り返して来たのだろう。イケメンにはイケメンなりに辛いことがあるんだな。

「風磨くんは咲良以外に好きな人がいるんですよね?」
「いや、いない。誰も好きじゃない」
「え? じゃあなんで咲良には嘘をついたんですか?」
「今まで俺に告白して来た女の子は全員、俺の外見しか見てないんだよ。俺の内面なんて誰も見ようとしちゃいなかった。俺に振られた後で俺がアニメ好きってことを知ってある事ない事言いふらされた事もある。それでさ、女って生き物が好きじゃなくなっちまったんだ」

風磨が女の子を好きではないだって? 風磨は可愛い女の子のことは大好きだったはずだ。

「え、でもお前女の子のこと好きだったじゃないか」
「あれは俺が女の子を嫌いなことを気づかれないようにするためだよ。ハゲのおっさんだってカツラ被って自分がハゲてることを隠すだろ? それと一緒だよ」

ハゲのおっさんで例えられてもよくわからないし、それはなんか違う気がする……。祐奈と楓もキョトンとした顔をしている。

「じゃあ花宮も風磨の外見しか見てなかったってことなのか?」
「いや、花宮は多分、俺の内面も見てくれてると思う」
「え、じゃあなんで……」
「言ったろ? 俺は外見しか見ない女ばかりにうんざりして女の子が苦手になっちまったんだよ。花宮のことが嫌いなんじゃなくて、女の子が嫌いなんだ」

ま、まさか。こいつがアニメを好きになったのもそれが原因か?
てっきり俺がこいつをアニメオタクにしたととっていたが。

「え、じゃあもしかして風磨がアニメオタクになったのってそれが原因?」
「あーまあ原因っていうか、タイミングが良かったよな。俺が女の子のことが嫌になったタイミングでお前が俺にアニメを勧めて来たから」

なるほどな……。今までこんなイケメンな奴がアニメにハマる理由がわからなかったがそーゆーことだったのか。

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