Bluetoothで繋がったのは学校1の美少女でした。

穂村大樹

第62話 告白の結末

「どうして2人がここに?」
「咲良にお願いされたんです。私が告白するところを見守っていて欲しいって」

花宮が告白を見守っていて欲しいとお願いをしていたのは俺だけじゃなかったのか。

すでにこの告白のギャラリーは3人になってしまったわけだ。
こうなると風磨には花宮の事を振って欲しくない。花宮が振られたとしたら、自分が振られる瞬間を3人の友達に見られることになるのだから花宮が負う心の傷は深いだろう。

「違うってのはどういうことだ?」
「な、何でも無い。先生、確かに遅いね」

花宮よ、先生は来ないぞ。風磨には先生を呼んでいると嘘をついた。
しかし、それは嘘でしかない。いつまで待っても先生が来ることはないし、花宮が告白をしなければ何も始まらない。

早めに告白をしないと、時間が経てば経つほど話を切り出しにくくなるだけだ。

「がんばれ咲良」
「花宮さんファイトッ。上手くいくと良いけど……」

俺たち3人は告白が成功してくれと天に願う。

「……実はね、先生は来ないの」
「え、先生に呼ばれたんじゃなかったか?」
「私が呼んだの。渋谷にお願いしてね」

よし、やっと話を切り出した。

後はもう「あなたが好きです」と伝えるだけ。

固唾を飲んで2人を見守った。

「なんでわざわざ俺を?」

「……ふぅ。……私、あんたが好き」

一息吐いた後で、花宮は風磨に告白した。

この世の中には同世代のリア充は大勢いる。街に出れば路地裏やエレベーターの中、挙げ句の果てにはショッピングセンターでも抱きついたりキスをしたり。

俺はそんなリア充たちを毛嫌いしていたが、今まさに純情可憐な乙女が好きな男子に告白する瞬間を目の当たりにして、リア充達を簡単に馬鹿にすることは出来なくなった。

「ありがとな。そう言ってくれて嬉しいよ」
「うん」

風磨が告白に対してお礼を言った後、風磨が言葉を発さないまま10秒ほど間が空き、口を開けた。

「……ごめん。気持ちはすごく嬉しいけど、その気持ちには応えられない」
「……そ、そっか。そうだよね。好きな人くらい誰でもいるもんね」

ま、まじか。風磨、俺には好きな人はいないって言ってたくせに結局好きな人いるんかい。

「め、迷惑かけてごめんね。じゃあ私部屋に戻るね」

そう言って部屋に走り去っていく花宮は着ている服で涙を拭いていた。

花宮の事を振った風磨はその場に立ち尽くし、しばらく動こうとしなかった。

風磨は何も悪くない。好きな女の子が花宮ではなかったから花宮を振っただけだ。
何も悪くない、誰も悪くないのに告白を終えて最後に残ったのは行き場のない悲しみと、どこまででも音が反響しそうな沈黙だけだった。

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