Bluetoothで繋がったのは学校1の美少女でした。

穂村大樹

第54話 清水の舞台

俺たちは清水の舞台に立っている。

清水の舞台からは京都の街を一望出来る。あまり京都のことを知らない俺たちだが、白と赤を基調としたあのタワーが京都タワーだと言うことは一瞬で分かった。

「綺麗な景色ですね」

俺の横で風に髪をなびかせながらその髪を手で優しく抑え、景色を眺める祐奈の姿に思わず見惚れてしまう。

清水の舞台から見える京都の景色よりも断然綺麗だと思った。

「どうかしましたか?」
「あ、いや、写真撮らないとなーと思ってさ。数あるアニメキャラクターがこの場所で写真を撮っているわけだからな。聖地と言っても過言ではない」

冗談でも祐奈に見とれていたなどと口にする事は出来なかった。

そして俺たちは4人全員で写真を撮影した。

写真撮影のあと、俺は衝動を抑えられず京都の景色を眺める祐奈の後ろ姿をこっそりスマホのカメラで撮影してしまった。
盗撮と言われても仕方がないこの行為だが、この写真は俺のスマホのアルバムにひっそりと保存しておこう。

清水の舞台からの景色を充分楽しんだ俺たちは先へ進み、音羽の滝へとやってきた。

音羽の滝は3本あり、1本は長寿延命、1本は恋愛成就、1本は学業成就と言われている。

どの水を飲もうか。3本全部の滝の水を飲むのは逆にご利益が無さそうだしな。

「俺は恋愛成就の水を飲むぜ。ずっと1人じゃ寂しいだろ?」

そうふざけて言う風磨はイケメンなのだから、そんなものに頼らなくても彼女の1人や2人、すぐ出来そうだけど。

恋愛成就の滝の水を飲まなくてはいけないのは俺だ。
祐奈のように美少女でもなく、楓のような才能も無い、風磨のようにイケメンでもない俺はそんなものにでも頼らないと一生彼女は出来ない。

「ほら、祐も飲もうぜ」

風磨からの誘いに、しょうがねぇなぁと、言いながらも恋愛成就の水を飲んだ。

祐奈と楓も恋愛成就の水を飲み、結局4人全員が恋愛成就の水を飲んだ。

「4人全員が恋愛成就の水を飲むとは思わなかったな」
「私は祐くんが恋愛成就の水を飲んだことに驚きです」
「うんうん。誰が好きな相手でもいるの?」

急に詰め寄ってきた祐奈と楓に気圧され後ろに下がる。

「いや、あれは単なるノリで……。別に好きな人がいるわけじゃないって。これから好きになった人と付き合えたらいいなって」

俺がそう言うと、祐奈と楓の2人は満足そうに2人で土産店の方向へと歩いて行った。

何だったんだ? いったい。

まあいいか。自由行動は2時間と決められている。あとは帰りにお土産を買わなければ。

「あ、そうだ。みんなそれぞれ分かれてお土産を買うのはどうですか?」
「そうだな。時間も迫ってきてることだしバラバラになったほうがいいだろうな。じゃあ30分後に今いるお店の前で待ち合わせしよう」

祐奈の提案に班員全員が賛同した。

そしてお土産を買いにバラバラに歩き出し、俺も何かお土産を買いに行こうと歩き出したその時、祐奈が俺の腕を掴んだ。

「あ、あの‼︎」
「ん? どうした?」

何故俺は祐奈に腕を掴まれているんだ? てか本当柔らか過ぎるって手が。

ありえないくらいスベスベだしきめ細かい肌。

何で女の子ってこんなに柔らかいんだろうな。

「私と一緒に来てください」

……どこに⁉︎

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