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Bluetoothで繋がったのは学校1の美少女でした。

穂村大樹

第45話 公園デート

楓が機転を利かせて俺に壁ドンをさせたことで、かろうじてその場を乗り切ることが出来た。

乗り切ったとはいえ、こう何度も危機が訪れると俺のメンタルがもたない。
楓が日菜だということがバレたら学校を辞めさせられるという事実を知ってしまったからには気にせずにはいられない。

このまま楓と遊んでいるとまた危険な目に遭いそうなので、今日はもう帰ろうかと考えていた。

「楓、今日はもう帰ろう。楓が日菜の格好をしてうろついているのは危ない。メガネかけてても万が一って事もあるし」
「……」
「どーした?」
「私はまだ帰りたくないけどなぁ」

……帰りたくないってのはまだ服を買い足りないってことか。なるほど。祐奈に遭遇して走って逃げてきたため、楓はまだ服をあまり購入出来ていない。

でも今からまたここで買い物を続けるのもなぁ。また陽キャグループに遭遇する確率も高いし。

「とりあえずこの店は離れたいな」
「じゃあさ、家の近くの公園に行かない?」
「公園? 別にいいけど」
「土日に公園に来る高校生なんて中々いないだろうし」

公園に行くのは構わないが、何故楓は公園に行きたいんだろうか。服を買うなら他に選択肢はいくらでもある。

「なんで公園に行きたいんだよ。服を買い足りないなら他の店に行った方が良いんじゃないか?」
「もう服は大丈夫。だけどこのまま帰っちゃったら味気ないじゃん? もう少し祐と一緒にいたかったし」
「なるほどな」

……いやなるほどなじゃねぇよ‼︎ もう少し一緒にいたいなんて言われたら勘違いしてしまうじゃねぇか。

男ってのは勘違いしやすい生き物だ。自分に話しかけてきた女子や目がやたらと合う女子がいると、自分のこと好きなんじゃないか? とすぐに勘違いする。

俺もそう思った事が何度かあるが、それが勘違いではなかった事は1度もない。

でも一緒に居たかったって言ってるってことは……。

もうだめだ。考えれば考えるほど混乱してくる。無心でいよう。

電車に乗り、自宅の最寄駅から少し歩いたところにある公園に到着した。

「懐かしいなー。昔はよくここで家族で遊んだよ」
「俺はあんまり遊びにきてないな。子供の頃からインドアだったし」
「ふふっ。子供の頃から祐がオタクになるのは決まってたんだね」

俺たち以外には公園に子供連れの家族が1組いるくらいだった。

俺と楓は定番のブランコに乗りながら話をした。

「いいよね。小さい子供を親がああやって楽しそうに遊ばせてるの」
「そだな。幸せそうにみえるな」
「祐は結婚したいって思う?」
「まだ俺たち高校生だぞ? 結婚は流石に話が飛びすぎだろ。彼女だって出来たことないのに」
「私は祐となら結婚してもいいかなーって思うよ」
「……は? 何言ってんだ急に。からかうのはやめてくれ」
「本気だよ? 祐と結婚したら毎日楽しそうだし」
「本気なのか?」
「うん。本気」

どうやら楓が俺と結婚してもいいと思っているのは本当のことらしい。

え、それなら俺が今楓に告白すれば付き合えるのか?付き合う事になったら俺は大人気声優の日菜と付き合う事になるってことだよな?

というか、これってもはや俺に対する告白なんじゃ……。

いや待て早まるな。付き合えるわけなんてない。地味で根暗でオタクな俺と付き合いたいと思うわけがない。

「まあでも付き合いたい人と結婚したい人って全然違うからね。私の友達でも、絶対こっちの人の方が優しくて良い人なのにって思うのに、大体みんなちょいわるな男の子と付き合ってるもん」
「そんなもんなのか?」

それは俺とは結婚しても良いが付き合いたくはないってことか?
結婚はできるのに付き合う事は出来ない?

訳もわからず困惑して眉を寄せる俺の表情を見て、楓は少し楽しんでいるように見えた。

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