Bluetoothで繋がったのは学校1の美少女でした。
第35話 下の名前
四つん這いになっている俺の下に仰向けで倒れているのが学校1の美少女、楠木祐奈であるということを4月の頃の俺に言っても信じることはないだろう。
俺の額に手を触れようと近づいてきた楠木に対して抵抗したせいでもみくちゃになり、いつの間にかいかがわしくも見えるこの体勢になってしまった。
パジャマ姿の楠木の顔がいつもより近くにある。このままキスでもしてしまいたいと思うほどに整った顔は見るたびに可愛さが増しているのではないかと思うほどだ。
楠木の上から早く退かなければならないのに、可愛さに見とれてしまい体は硬直する。
「あ、あのー。嫌ではないのですが、どいてもらえませんか? そろそろ恥ずかしさで死にそうです」
「ご、ごめん‼︎」
「こ、こちらこそ……。ごめんなさい」
学校から飛び出していった楠木を心配して追いかけて来ただけなのに何をやっているんだ俺は。
楠木と一定の距離を取ってからお互いが無言を貫く。
こんな時、女性に慣れているイケメンならどう会話を始めるのだろうか。
こんなときだけは沖田のような奴が羨ましくなる。
「あ、あの。これから渋谷くんのこと、祐くんって呼んでもいいですか?」
先に話しだしたのは楠木の方だ。
俺のことを名前で呼んでもいいかというお願いに、問題ないと頷く。
「じゃあ私も、渋谷くんに祐奈って呼ばれたいです」
……‼︎
その発想は無かった。確かに楠木が俺のことを下の名前で呼ぶのであれば、俺が楠木のことを下の名前で呼ぶのも違和感はない。
榎田が楠木のことを祐奈と呼び捨てにしているのを見てイラッとしたし、俺も楠木を下の名前で呼びたいと思っていたところだが、まさか楠木の方からその提案があるとは。
「わかった。じゃあこれからは下の名前で呼ぶよ」
「はい‼︎ お願いします。……祐くん」
ぐあっ……。その恥じらい方は卑怯だぞ。
楠木は俺の方を真っ直ぐ見て名前を呼ぶわけではなく、右斜め下を向き顔を紅潮させている。
しかし、いつまでも興奮しているわけにもいかない。俺も楠木のことをこれからは名前で呼ばなければいけないわけだ。
あまり恥ずかしがるのも男らしくない。一発で決めるぞ。
「ああ。こちらこそよろしく頼むよ。……祐奈」
結局下の名前を呼ぶまでには若干の間が出来てしまった。楠木を「祐奈」と下の名前で呼ぶことに慣れるにはまだまだ時間がかかりそうだ。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、祐奈の両親が仕事から帰ってくる18時の30分前に家を出ることにした。
「今日は私のために学校を休んでもらって本当にありがとうござます。おかげで元気が出ました」
「元気になったみたいでよかった」
「よかったらまた家に遊びに来てください。今日はほんとに楽しかったです」
「またお邪魔させてもらうよ。それじゃあ」
そう言って家を出ようとしたその時、玄関の扉の横にある磨りガラス越しに人影が見えた。
「なぁ楠木。なんか人影が……」
「ま、まずいです。あれはお母さんです」
「は⁉︎ まじか⁉︎」
「と、とりあえず二階に逃げてください‼︎」
「わ、わかった‼︎」
俺は咄嗟に機転を利かし履いていた靴を持ち2階へと逃げた。
楠木と2人きりで家にいたことがバレたら何を言われるかわからない。
さて、どうやってこのピンチを乗り切ろうか。
俺の額に手を触れようと近づいてきた楠木に対して抵抗したせいでもみくちゃになり、いつの間にかいかがわしくも見えるこの体勢になってしまった。
パジャマ姿の楠木の顔がいつもより近くにある。このままキスでもしてしまいたいと思うほどに整った顔は見るたびに可愛さが増しているのではないかと思うほどだ。
楠木の上から早く退かなければならないのに、可愛さに見とれてしまい体は硬直する。
「あ、あのー。嫌ではないのですが、どいてもらえませんか? そろそろ恥ずかしさで死にそうです」
「ご、ごめん‼︎」
「こ、こちらこそ……。ごめんなさい」
学校から飛び出していった楠木を心配して追いかけて来ただけなのに何をやっているんだ俺は。
楠木と一定の距離を取ってからお互いが無言を貫く。
こんな時、女性に慣れているイケメンならどう会話を始めるのだろうか。
こんなときだけは沖田のような奴が羨ましくなる。
「あ、あの。これから渋谷くんのこと、祐くんって呼んでもいいですか?」
先に話しだしたのは楠木の方だ。
俺のことを名前で呼んでもいいかというお願いに、問題ないと頷く。
「じゃあ私も、渋谷くんに祐奈って呼ばれたいです」
……‼︎
その発想は無かった。確かに楠木が俺のことを下の名前で呼ぶのであれば、俺が楠木のことを下の名前で呼ぶのも違和感はない。
榎田が楠木のことを祐奈と呼び捨てにしているのを見てイラッとしたし、俺も楠木を下の名前で呼びたいと思っていたところだが、まさか楠木の方からその提案があるとは。
「わかった。じゃあこれからは下の名前で呼ぶよ」
「はい‼︎ お願いします。……祐くん」
ぐあっ……。その恥じらい方は卑怯だぞ。
楠木は俺の方を真っ直ぐ見て名前を呼ぶわけではなく、右斜め下を向き顔を紅潮させている。
しかし、いつまでも興奮しているわけにもいかない。俺も楠木のことをこれからは名前で呼ばなければいけないわけだ。
あまり恥ずかしがるのも男らしくない。一発で決めるぞ。
「ああ。こちらこそよろしく頼むよ。……祐奈」
結局下の名前を呼ぶまでには若干の間が出来てしまった。楠木を「祐奈」と下の名前で呼ぶことに慣れるにはまだまだ時間がかかりそうだ。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、祐奈の両親が仕事から帰ってくる18時の30分前に家を出ることにした。
「今日は私のために学校を休んでもらって本当にありがとうござます。おかげで元気が出ました」
「元気になったみたいでよかった」
「よかったらまた家に遊びに来てください。今日はほんとに楽しかったです」
「またお邪魔させてもらうよ。それじゃあ」
そう言って家を出ようとしたその時、玄関の扉の横にある磨りガラス越しに人影が見えた。
「なぁ楠木。なんか人影が……」
「ま、まずいです。あれはお母さんです」
「は⁉︎ まじか⁉︎」
「と、とりあえず二階に逃げてください‼︎」
「わ、わかった‼︎」
俺は咄嗟に機転を利かし履いていた靴を持ち2階へと逃げた。
楠木と2人きりで家にいたことがバレたら何を言われるかわからない。
さて、どうやってこのピンチを乗り切ろうか。
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