Bluetoothで繋がったのは学校1の美少女でした。

穂村大樹

第18話 結局

物販の開始時刻は長蛇の列の影響で30分前倒しになり、9時30分からの開始となった。

俺と楠木が物販の列に並んでいる間はどのグッズを購入するかと言う話題で持ち切りだった。
相談に相談を重ねた結果、2人ともTシャツとタオルを購入することに決めた。

来週には日菜のライブがあることを考えると、無茶なお金の使い方は出来なかった。

楠木が「お揃いですね」と発言したこと以外に問題は無く、1時間以上の待ち時間を経て遂にTシャツとタオルを購入することが出来た。

「1時間以上は立ってたな。足が棒みたいだ」
「私の足も悲鳴あげてます。でも無事にグッズが買えたのでオッケーです」

満足気に笑う楠木の笑顔に胸を撫で下ろす。

仮にグッズが売り切れてしまいグッズを購入出来なかったらと考えたら冷や汗が出てくる。

時刻は11時。まだゆいにゃんのライブが始まるまではかなりの時間がある。

「どうする? ちょうど腹も空いてきたし飯でも行くか?」
「私もお腹すいてきたところです。すぐそこにいつも行ってるファミレスと同じ店がありましたよね?」
「あーそう言えばあった気がするな。そこにするか」

意図されているかのようにライブ会場の真横にあったのは俺たちが毎日のように放課後に足を運んでいるのと同じファミレスだった。

俺と楠木はいつも通りそのファミレスに入店する。

俺たちがいつも入店しているファミレス、ヤイゼリヤはイタリアンのお店。低価格で学生に大人気だ。

入店したらとりあえずドリンクバーを頼む。ドリンクバーを頼んだ後、ジュースを飲みながらパスタやピザなどのご飯やデザートを頼む。
単品でドリンクバーを頼むと300円するドリンクバーも、料理かデザートを注文すればセットドリンクバーに進化し値段が200円になるのだ。

「結局来ちゃいましたね。ヤイゼリヤ」
「まあ俺たちらしくて良いんじゃないか?」

荷物を置いてからドリンクバーのジュースを取りに行く。

楠木はいつもオレンジジュースかウーロン茶をコップに注いでいる。

どうやら炭酸が苦手なフリをしているようだが、俺は一度だけ楠木が炭酸を飲んでいるのを目にしたことがある。

恐らく、炭酸が苦手なのではなくてカロリーが高いジュースは飲みたくないのだろう。

対照的に、俺は料理を食べている時に飲む炭酸が大好きだ。炭酸を飲むことで口の中がリセットされスッキリする。

俺はいつもコーラとメロンソーダをブレンドしたものを飲んでおり、今日もいつも通りブレンドジュースを注ぎ席に戻った。

うん。美味い。今日も普段と変わらない美味しさだ。

「そのジュース、いつも何を混ぜてるんですか?」
「コーラとメロンソーダだよ。中々美味いぞ」

普段炭酸を飲まない楠木からすると不思議な飲み物だろう。気になるのも仕方がない。

「一口いただいても良いですか?」
「ああ。全然かまわんが」

いや待て、一口いただいても良いですかって?

俺は今ブレンドジュースをストローで飲んでいる。このストローが入ったジュースを楠木はどうやって飲むんだ?

最悪俺がコップに直接口をつけて飲んでいるなら俺の口が触れた部分を避ければそれで問題はない。

でもストローは話が別。俺の口が触れた部分に楠木が口をつけるしかない。

楠木はどうするつもりだ?

俺の心配をよそに、楠木は俺がジュースを飲んでいたストローを咥えてジュースを飲んだ。

ええいもうどうにでもなれ‼︎ それが俺のマイフェイバリットドリンクだ‼︎

「むむっ‼︎ これは中々美味しいですね。ジュースを混ぜるなんて子供の頃以来してませんでしたけどこれはこれでありですね」

いや、ありって言ってくれるのは嬉しいし喜んでくれてるのも嬉しいんだけど。
この後俺どうすれば良いの? このまま飲んでも良いの?

「どうかしたんですか?」
「いや、なんでもない」

急かされた訳ではないが、楠木にそう言われた俺は楠木が口をつけたストローでジュースを飲んだ。

楠木はこれが間接キスであると言う事実に全く気づいてない様子。

楠木の唾液が付着した部分に俺が口をつけたと思うと妙な興奮と背徳感を覚えた。
こんな事で興奮してるあたり、やはり俺は童貞で変態のアニメオタクだ。

この天然な部分も学校の男子に人気の理由の一つなのだろう。

しかし、楠木がどの男子にも同じような立ち振る舞いをしているのかと考えると少し苛立ちを覚えた。

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