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第98話 決意、決めていたはずの気持ち
黙り込む俺に対して、蒼乃は休むことなく言葉を続けた。
「白太先輩。私と付き合ってください」
そう話す蒼乃は目を逸らさず真っ直ぐに俺を見ていた。
蒼乃の告白は間違いなく演技ではない。それを完璧に理解してしまったからこそ余計に返事を言いづらくなっている。
そんな俺を見かねて助け舟を出そうとしてくれたのか、蒼乃の告白に動揺たのかは分からないが緑彩先輩が舞台に上がってきた。
「青木さん、この際だからはっきりさせましょう。私も白太君が好き。青木さんと白太くんが仮の関係だということは知っているけれど、私だって大好きな白太君を譲る気はないわ」
これは後には引けないな……。
緑彩先輩も蒼乃の告白が演技ではないことを理解し、俺に好意があることを言ってしまった。
これまでは俺が緑彩先輩に想いを伝えるばかりだったので、緑彩先輩にこうして面と向かって俺のことが好きだと言われると気恥ずかしい。
しかし、それを素直に喜べる状況ではない。
こうなってしまっては俺はこの場で自分の気持ちを2人に伝えるしかない。
俺はもう気持ちを決めている。だが、こんな場面でその気持ちを伝えることになるなんて……。
だが、俺が蒼乃の告白に困惑しているところを緑彩先輩が手助けしてくれた。
どこまでもおんぶに抱っこになるわけにはいかない。
「蒼乃、緑彩先輩。2人ともありがとう。俺のことを好きになってくれた2人には感謝しかない」
この先の言葉を「本当の意味」で言うのが今このタイミングになるとは思っても見なかった。
正直な気持ちを伝えたら俺たちの関係はどうなるのだろうか。
崩れ去ってなくなってしまうのだろうか。そんな不安が頭を過ぎる。
ただ、このまま気持ちを伝えずに、あやふやな状態で過ごすはもっと怖い。
自分の気持ちに嘘をついて、どちらの気持ちにも向き合えない状況を作るのは最低だ。
「蒼乃。俺は緑彩先輩が好きだ。蒼乃の気持ちに応えることはできない」
そう言うと蒼乃はしばらく間を開けてから返答した。
「……何言ってるんですか。先輩はしっかり答えてくれました。私は応えて欲しかったわけじゃなくて、答えが欲しかったんです。それだけで十分なんですよ」
俺の返事に対して言葉を並べた蒼乃の声は震えていた。
いつ途切れてもおかしくないような小さな声で最後まで言い切ると、蒼乃は教室を走り去っていった。
そんな蒼乃の姿を見て、蒼乃を振って緑彩先輩に告白をすると心に決めていたはずの俺は強くこう思うのだった。
今すぐこの場を離れて蒼乃を追いかけたいと。
「白太先輩。私と付き合ってください」
そう話す蒼乃は目を逸らさず真っ直ぐに俺を見ていた。
蒼乃の告白は間違いなく演技ではない。それを完璧に理解してしまったからこそ余計に返事を言いづらくなっている。
そんな俺を見かねて助け舟を出そうとしてくれたのか、蒼乃の告白に動揺たのかは分からないが緑彩先輩が舞台に上がってきた。
「青木さん、この際だからはっきりさせましょう。私も白太君が好き。青木さんと白太くんが仮の関係だということは知っているけれど、私だって大好きな白太君を譲る気はないわ」
これは後には引けないな……。
緑彩先輩も蒼乃の告白が演技ではないことを理解し、俺に好意があることを言ってしまった。
これまでは俺が緑彩先輩に想いを伝えるばかりだったので、緑彩先輩にこうして面と向かって俺のことが好きだと言われると気恥ずかしい。
しかし、それを素直に喜べる状況ではない。
こうなってしまっては俺はこの場で自分の気持ちを2人に伝えるしかない。
俺はもう気持ちを決めている。だが、こんな場面でその気持ちを伝えることになるなんて……。
だが、俺が蒼乃の告白に困惑しているところを緑彩先輩が手助けしてくれた。
どこまでもおんぶに抱っこになるわけにはいかない。
「蒼乃、緑彩先輩。2人ともありがとう。俺のことを好きになってくれた2人には感謝しかない」
この先の言葉を「本当の意味」で言うのが今このタイミングになるとは思っても見なかった。
正直な気持ちを伝えたら俺たちの関係はどうなるのだろうか。
崩れ去ってなくなってしまうのだろうか。そんな不安が頭を過ぎる。
ただ、このまま気持ちを伝えずに、あやふやな状態で過ごすはもっと怖い。
自分の気持ちに嘘をついて、どちらの気持ちにも向き合えない状況を作るのは最低だ。
「蒼乃。俺は緑彩先輩が好きだ。蒼乃の気持ちに応えることはできない」
そう言うと蒼乃はしばらく間を開けてから返答した。
「……何言ってるんですか。先輩はしっかり答えてくれました。私は応えて欲しかったわけじゃなくて、答えが欲しかったんです。それだけで十分なんですよ」
俺の返事に対して言葉を並べた蒼乃の声は震えていた。
いつ途切れてもおかしくないような小さな声で最後まで言い切ると、蒼乃は教室を走り去っていった。
そんな蒼乃の姿を見て、蒼乃を振って緑彩先輩に告白をすると心に決めていたはずの俺は強くこう思うのだった。
今すぐこの場を離れて蒼乃を追いかけたいと。
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