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第64話 責任、蒼乃がいなくなった理由
玄人に諭された俺は落ち着きを取り戻し、この辺りの地形を良く知っている緑彩先輩と2人で奥の方を探すことにした。
玄人と紫倉には捜索中迷わないよう肝試しルート周辺を捜索してもらい、紅梨にはゴール地点で待っていてもらうことにした。
肝試しルートを見つけた蒼乃がゴール地点まで戻ってくる可能性もある。その時ゴール地点に誰もいないとなっては、蒼乃は俺たちを探して再び山に入ってしまうかもしれない。
そこまで遠くに行っていなければ俺が名前を呼べば出てきそうなもんだが、声が届かない範囲まで走っていってしまったと考えると捜索は困難になる。
「ごめんなさい。まさかこんなことになるなんて……。もっと注意を払うべきだったわ」
「緑彩先輩のせいじゃありませんよ。いざとなればスマホで連絡が取れるはずでしたし」
蒼乃には何度も電話をかけたが一向に繋がる様子が無い。コールは鳴るし、緑彩先輩と玄人もLINEでトークをしていたので圏外と言うわけではなさそうだ。通知に気がついていない可能性もあるが、山の中で迷った人が連絡手段であるスマホの通知に気づかないとは考えづらい。スマホを落とした可能性が高いだろう。
「いいえ、それでもこの肝試しを企画したのは私だし、正直この山で幽霊が出るなんて聞いたことないわ。面白半分でみんなを怖がらせてしまって……。青木さんが驚いて逃げてしまったのもそのせいだし」
緑彩先輩も紫倉と同じように蒼乃がいなくなってしまった事に責任を感じているようだ。焦りを隠せない緑彩先輩を落ち着かせながら捜索を続ける。
俺と緑彩先輩は大声で蒼乃の名前を呼びつづけるが、返事は無い。
ここまで返事が無いとなると、相当遠くへ行ってしまったか蒼乃の身に何かあった可能性もある。
首を振り、予想している最悪の事態を頭の中から振り払って蒼乃を探し続ける。
しばらくするとポツポツと雨が降り出し、次第に雨は強さを増していく。
雨が降れば地面はぬかるみ、蒼乃の痕跡を追うことも難しくなってしまう。早く見つけなければ蒼乃の身に危険が及ぶ可能性も高まる。
焦る気持ちを必死に抑えて蒼乃を捜索していると、足元に何かが落ちているのを見つけた。
「……緑彩先輩、これ、蒼乃のスマホです」
俺が見つけたのは蒼乃がいつも愛用しているスマホ。という事は蒼乃がここを通ったのは間違いない。
「じゃあ蒼乃ちゃんはこの辺りを通ったのね」
スマホが落ちている場所は俺と緑彩先輩が会話をしていた場所に近い。
……待てよ、もしかして蒼乃、俺と緑彩先輩の会話を物陰から聞いていたのか?
だとすれば、蒼乃は驚いて遭難したのではなく、緑彩先輩に対する俺の告白を聞いて自暴自棄になってどこかへに走っていってしまったのか?
だとすれば、一緒にいて蒼乃と離れてしまった紫倉よりも、この肝試しを企画して責任を感じている緑彩先輩よりも、蒼乃がいなくなった事に対して責任を感じなければならないのは俺の方だ。
玄人と紫倉には捜索中迷わないよう肝試しルート周辺を捜索してもらい、紅梨にはゴール地点で待っていてもらうことにした。
肝試しルートを見つけた蒼乃がゴール地点まで戻ってくる可能性もある。その時ゴール地点に誰もいないとなっては、蒼乃は俺たちを探して再び山に入ってしまうかもしれない。
そこまで遠くに行っていなければ俺が名前を呼べば出てきそうなもんだが、声が届かない範囲まで走っていってしまったと考えると捜索は困難になる。
「ごめんなさい。まさかこんなことになるなんて……。もっと注意を払うべきだったわ」
「緑彩先輩のせいじゃありませんよ。いざとなればスマホで連絡が取れるはずでしたし」
蒼乃には何度も電話をかけたが一向に繋がる様子が無い。コールは鳴るし、緑彩先輩と玄人もLINEでトークをしていたので圏外と言うわけではなさそうだ。通知に気がついていない可能性もあるが、山の中で迷った人が連絡手段であるスマホの通知に気づかないとは考えづらい。スマホを落とした可能性が高いだろう。
「いいえ、それでもこの肝試しを企画したのは私だし、正直この山で幽霊が出るなんて聞いたことないわ。面白半分でみんなを怖がらせてしまって……。青木さんが驚いて逃げてしまったのもそのせいだし」
緑彩先輩も紫倉と同じように蒼乃がいなくなってしまった事に責任を感じているようだ。焦りを隠せない緑彩先輩を落ち着かせながら捜索を続ける。
俺と緑彩先輩は大声で蒼乃の名前を呼びつづけるが、返事は無い。
ここまで返事が無いとなると、相当遠くへ行ってしまったか蒼乃の身に何かあった可能性もある。
首を振り、予想している最悪の事態を頭の中から振り払って蒼乃を探し続ける。
しばらくするとポツポツと雨が降り出し、次第に雨は強さを増していく。
雨が降れば地面はぬかるみ、蒼乃の痕跡を追うことも難しくなってしまう。早く見つけなければ蒼乃の身に危険が及ぶ可能性も高まる。
焦る気持ちを必死に抑えて蒼乃を捜索していると、足元に何かが落ちているのを見つけた。
「……緑彩先輩、これ、蒼乃のスマホです」
俺が見つけたのは蒼乃がいつも愛用しているスマホ。という事は蒼乃がここを通ったのは間違いない。
「じゃあ蒼乃ちゃんはこの辺りを通ったのね」
スマホが落ちている場所は俺と緑彩先輩が会話をしていた場所に近い。
……待てよ、もしかして蒼乃、俺と緑彩先輩の会話を物陰から聞いていたのか?
だとすれば、蒼乃は驚いて遭難したのではなく、緑彩先輩に対する俺の告白を聞いて自暴自棄になってどこかへに走っていってしまったのか?
だとすれば、一緒にいて蒼乃と離れてしまった紫倉よりも、この肝試しを企画して責任を感じている緑彩先輩よりも、蒼乃がいなくなった事に対して責任を感じなければならないのは俺の方だ。
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