好きな人が出来たと俺に別れを告げた元カノの想い人は俺じゃないけど俺だった
第51話 水菜の好きな人
水菜に告白してきた男子生徒が立ち去ってからも、水菜はしばらく俺の後ろから俺に抱きついて離れなかった。
男子生徒に怒号を上げながら近づかれれば怖くない女子なんていない。それもあれ程体格のいい男子生徒なのだから余計に恐怖は増したはずだ。
「……大丈夫か?」
「はい。もう大丈夫そうです」
そう言っている水菜の震えは確かに止まっていて、先程の恐怖心は全てではないが取り払う事が出来たのだろう。
水菜の震えが止まったのはいいが、今度は俺の心臓の鼓動が速くなり過ぎていた。
いや、あの水菜の発言はあの場を乗り切るための口実にすぎない事くらい理解している。
それに、以前水菜の俺のことが好きだと言った中庭での結衣との会話の一部を間に受けて痛い目を見たのは自分じゃないか。
落ち着け‼︎ あれは水菜の本当の気持ちじゃない‼︎ ただの口実だぞ‼︎
俺が必死に心臓の鼓動を抑えようとしていると、水菜は大丈夫と答えながら俺から離れて抱きつくのをやめた。
もっと抱きついたてくれても良かったんだけどなぁ、なんて今この状況で思うのは不謹慎なのだろうか。
こないだ家で寝てた時に水菜に無意識で抱きついていたのはもったいなかったなぁ。意識がある時に抱きつきたいもんだ。
「なんで先輩中庭にいたんですか?」
「そ、それはまぁ、色々あってな……」
「その色々が重要なんじゃないですか」
その色々を全て話してしまうと水菜に嫌われてしまう可能性が高い。
一日に三人から告白されていたところをたまたまとはいえ全て見られていたとなればそれは下手すればストーカーの域である。
それに、俺が水菜に偶然だったと話してもそう簡単に偶然だったと信じられる話ではないので正直に話すのはリスクが高かった。
「えっと……。今日水菜が告白されたの、全部見てて……」
水菜が今日三人から告白されていた場面を全て見ていた事を隠すのは簡単だ。
でも、水菜の独り言で水菜に好きな人がいると知ってしまったからには俺だけ告白を盗み見た事実を隠しているのは卑怯な気がした。
「--え、全部ですか⁉︎」
「ああ、全部」
「ちょ、ちょっと待ってください。なんで先輩が私が受けた告白を全部見ているかっていうのは一旦置いておいて……。もしかして私が変なこと口走ったのも聞いてました?」
「……まぁそりゃな」
「くぅぬぬぬぬぬぅうぅぅぅぅうああああ‼︎」
「ま、待ってくれ‼︎ 落ち着け‼︎ 違う、本当に偶然だったんだ‼︎ 俺だって申し訳ないって思ってるし見るつもりなんてなかったんだよ」
「一日三回の告白を全部見られて偶然ですって言われて信用できると思いますか⁉︎」
「そりゃ同じこと言われたら俺だって疑うけど本当の事なんだ‼︎ 頼む‼︎ 信じてくれ‼︎」
「……はぁ。先輩が嘘を簡単につける人じゃないってのは知ってますし、仕方がないので信じてあげる事にします」
俺の水菜に対しての日頃の行いが良かったおかげでなんとか偶然だという事は信じてくれたようだ。
いや、まぁ結衣の件ではとてもじゃないが水菜に対する日頃の行いが良かったとは言えないけどな。
「水菜が言ってた独り言は聞かなかった事にするよ。そりゃ年頃の乙女に好きな人の一人や二人くらいいたっておかしくはないからな」
「すいません、二人はおかしいです」
「まぁそうなんだけど……」
水菜の独り言を聞かなかった事にするとは言ったものの、水菜に好きな人がいると知ってしまったからにはそれが誰かというのは気にならざるを得ない。
普通なら聞きづらい話なのだが、話の流れで俺は水菜の好きな人を聞く事にした。
「そのさ、水菜の好きな人って誰なの?」
仮にここで、俺以外の名前が返ってきたら俺はかなりショックを受けるだろう。
それでも、俺は水菜に好きな人を聞かずにはいられなかった。
「……先輩って言ったらどうしますか?」
その言葉を聞いて俺の思考は完全に停止した。
男子生徒に怒号を上げながら近づかれれば怖くない女子なんていない。それもあれ程体格のいい男子生徒なのだから余計に恐怖は増したはずだ。
「……大丈夫か?」
「はい。もう大丈夫そうです」
そう言っている水菜の震えは確かに止まっていて、先程の恐怖心は全てではないが取り払う事が出来たのだろう。
水菜の震えが止まったのはいいが、今度は俺の心臓の鼓動が速くなり過ぎていた。
いや、あの水菜の発言はあの場を乗り切るための口実にすぎない事くらい理解している。
それに、以前水菜の俺のことが好きだと言った中庭での結衣との会話の一部を間に受けて痛い目を見たのは自分じゃないか。
落ち着け‼︎ あれは水菜の本当の気持ちじゃない‼︎ ただの口実だぞ‼︎
俺が必死に心臓の鼓動を抑えようとしていると、水菜は大丈夫と答えながら俺から離れて抱きつくのをやめた。
もっと抱きついたてくれても良かったんだけどなぁ、なんて今この状況で思うのは不謹慎なのだろうか。
こないだ家で寝てた時に水菜に無意識で抱きついていたのはもったいなかったなぁ。意識がある時に抱きつきたいもんだ。
「なんで先輩中庭にいたんですか?」
「そ、それはまぁ、色々あってな……」
「その色々が重要なんじゃないですか」
その色々を全て話してしまうと水菜に嫌われてしまう可能性が高い。
一日に三人から告白されていたところをたまたまとはいえ全て見られていたとなればそれは下手すればストーカーの域である。
それに、俺が水菜に偶然だったと話してもそう簡単に偶然だったと信じられる話ではないので正直に話すのはリスクが高かった。
「えっと……。今日水菜が告白されたの、全部見てて……」
水菜が今日三人から告白されていた場面を全て見ていた事を隠すのは簡単だ。
でも、水菜の独り言で水菜に好きな人がいると知ってしまったからには俺だけ告白を盗み見た事実を隠しているのは卑怯な気がした。
「--え、全部ですか⁉︎」
「ああ、全部」
「ちょ、ちょっと待ってください。なんで先輩が私が受けた告白を全部見ているかっていうのは一旦置いておいて……。もしかして私が変なこと口走ったのも聞いてました?」
「……まぁそりゃな」
「くぅぬぬぬぬぬぅうぅぅぅぅうああああ‼︎」
「ま、待ってくれ‼︎ 落ち着け‼︎ 違う、本当に偶然だったんだ‼︎ 俺だって申し訳ないって思ってるし見るつもりなんてなかったんだよ」
「一日三回の告白を全部見られて偶然ですって言われて信用できると思いますか⁉︎」
「そりゃ同じこと言われたら俺だって疑うけど本当の事なんだ‼︎ 頼む‼︎ 信じてくれ‼︎」
「……はぁ。先輩が嘘を簡単につける人じゃないってのは知ってますし、仕方がないので信じてあげる事にします」
俺の水菜に対しての日頃の行いが良かったおかげでなんとか偶然だという事は信じてくれたようだ。
いや、まぁ結衣の件ではとてもじゃないが水菜に対する日頃の行いが良かったとは言えないけどな。
「水菜が言ってた独り言は聞かなかった事にするよ。そりゃ年頃の乙女に好きな人の一人や二人くらいいたっておかしくはないからな」
「すいません、二人はおかしいです」
「まぁそうなんだけど……」
水菜の独り言を聞かなかった事にするとは言ったものの、水菜に好きな人がいると知ってしまったからにはそれが誰かというのは気にならざるを得ない。
普通なら聞きづらい話なのだが、話の流れで俺は水菜の好きな人を聞く事にした。
「そのさ、水菜の好きな人って誰なの?」
仮にここで、俺以外の名前が返ってきたら俺はかなりショックを受けるだろう。
それでも、俺は水菜に好きな人を聞かずにはいられなかった。
「……先輩って言ったらどうしますか?」
その言葉を聞いて俺の思考は完全に停止した。
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