チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第80話(みんなで旅行 3日目 怒り)

 土鎖のアースチェイン束縛バインド灼熱フレア飛竜ワイバーンの首、翼、足、尻尾を絡めとり身動きを封じる。

そして僕は周辺に危険がないか<ディティールサーチ>を起動する。

「っっっ!!リアがヤバイ!!」
 僕はそう叫ぶと灼熱フレア飛竜ワイバーンはそっちのけで駆け出す。

灼熱フレア飛竜ワイバーンはそのまま拘束しておいて下さい!!翠!威嚇しておいて!!」
「まかせるのだ!」
 翠が元気良く了承してくれる。

「頼む!間に合ってくれ!!」
 <ディティールサーチ>が検知した敵性反応は真っ赤で、ステータスのランクはA級になっていた。とてもエストリアさん一人で対応できるレベルじゃない。

「<リミット オフ>!!」
 僕は制限をリミット解除オフすると、限界まで速度を上げる。今まで制限を解除して本気で走った事はないけど……何か周りが霞んで見えるのは気のせいだろうか。
 屋敷の門をくぐりぬけながら、エストリアさんは裏門にいるので、最短ルートは屋敷の中を突っ切るか、迂回するかの選択だ。しかし屋敷の中の構造もわからないし、迂回していては時間がかかると判断した僕は屋敷の手前で、地面を強く踏みつけて大きくジャンプする。
 制限を解除して全力で踏み切った僕の身体は、一瞬で回りの景色を置き去りにして数10mも飛び上がってしまったようだ。下を見ると屋敷の裏側にエストリアさんを両手剣で攻撃しようとしている冒険者が見えるが宙に浮いた身体はどうにもコントロールできない。

【坊主!空を蹴るんだ】
≪事象の具現化を出来るお主ながら、空気を地面にすることもできるはずじゃ≫
『足の裏に圧縮した空気を纏わせ、空気中にも圧縮した空気を作りそれを反発させあうのです』

 3人の魂のアドバイスを受けて、僕は天馬が空を翔る様をイメージする。僕なら、3つの魂の加護を受けている僕なら出来るはずだ。

 頭を地面に向けて、足を限界まで縮める。そして足の裏とそして足の裏が蹴ろうとする中空に空気の足場をイメージし、勢い良く両足を突き出す!まるで地面を蹴ったかのような感触と共に、僕の身体は弾丸のように飛び出す。

 弾丸のような速度で加工を始めた僕の目に冒険者の攻撃を受けて、吹っ飛ばされ無防備になったエストリアさん目掛けて、冒険者が両手剣を振り降ろそうとするのが見える。

「間に合えぇぇぇぇぇっっっ!!!」
 弾丸のように解き放たれた僕は数十mの距離を一瞬で詰めて、冒険者に拳を振るう。

ドゴォォォォォォォォンッッッッ!!!

 ほぼ真上から僕の突進力を加えた衝撃が、冒険者を支点に全て地面に向けて炸裂し、冒険者はとても耐え切れるわけもなく両手剣もろとも叩き潰され爆砕される。

 近くにいたエストリアさんはその爆砕の衝撃で更に吹っ飛ばされていたがまぁ命が助かったんだから許してもらおう。

 僕が繰り出した攻撃は冒険者を中心に数十m規模のクレーターを作り、近かった屋敷も一部が巻き込まれて大きく損壊させてしまっている。

 さすがA級冒険者だったという事もあって、あの衝撃でも生きているようだ。まぁ全身の骨が砕けているみたいなので、ピクリとも動けないだろうけど。

 僕の右手もあまりの衝撃に骨が砕けているようで、プランプランしている。

に何してくれてるんだ?」
 僕の大切な仲間の命を奪おうとしていた冒険者に対して、あまりの怒りに我を忘れて暴言を吐く。

「ぐっ……な、なんなんだ……貴様は!……ゴフッ」
 冒険者は口から血を吐きながら、信じられないものを見るような目で僕を見てくる。

「そういうことを聞いているんじゃないんだ!」
 僕はまだ動く左手をかざして魔力を集中させ、数十本の炎の槍を形成する。全く力を制限していない僕の炎の槍は、1本でも家1件を蒸発させるほどの威力を秘めている。人が直撃を受けて耐えられるはずもない。

「い、依頼を……こなした……だけだ」
 息も絶え絶えに冒険者が答える。

「誰だ!リアとその家族にこんな目に合わせたやつは!」
「ク、クライアント……を教える訳には」
 いらっとした僕は炎の槍を一本射出する。

ドゴゥゥゥゥッッッ!

「ぐ、ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 冒険者の右腕付近に着弾した炎の槍が冒険者の右腕を飲み込み蒸発させる。

「僕は聞いているんだ。答えろ!!」
「い、言えない。こちらにも矜持ってもんが……ある」
「じゃぁ、もういい……消えろ。消えた後、死体に直接聞いてやるから」
 僕は左手を振り上げ、数十本の炎の槍で撃ち貫こうとする。

「アル!やめてっっ!!!」
 吹き飛ばされていたエストリアさんがいつの間にか近付いてきていて、僕の左手にしがみついてくる。

「貴方が人殺しになる必要はないわ!私も、お父様、お母様、ヘンリー、みんな無事だったから!大丈夫!もう大丈夫だから!!」
 エストリアさんが目に涙をためながら必死に僕を止める。そんな姿を見た僕の目からも一筋の涙が流れ落ちる。

「リア……本当に、本当によかった。死んでしまうかと思った……」
 僕が力なく左手を下ろすと、数十本の炎の槍も霞みの様に消え失せる。

 怒りが沈静した僕が周りを見ると大惨事になっていた。怒りに任せてまたやっちゃったなぁ……と僕は遠い目をするのだった。


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