チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!
第76話(みんなで旅行 3日目 実家の異変)
いよいよ最後の移動日だという事で、僕達は馬車に乗り込むとエストリアさんの実家に向けて出発する。昨日の竜巻が雲を吹き飛ばしたせいか雲ひとつない快晴だ。エストリアさんの実家は、ここから更に標高が高い場所にあるそうなので、今日の移動は坂道が多くなるみたいだ。
護衛の冒険者は昨日の裏切りでいなくなったが、残り一日という事もあり、信用できるコネも伝手もお金もなかったので、護衛はつけていない。
その代わり、僕達の男性陣は武器防具を持ってきていたので、それらを装備し、万が一に備えて警戒しながらの旅をする事にした。
御者の横には冷静沈着なウォルトさんが座り、何か異変が起きた時には素早く対処できるようにする。
馬車の中の御者側には、探知魔法が使える僕と指揮を執るカイゼルさんが座り、馬車の後方にはオスローと徒手空拳でも戦える翠が座わり、いつでもすぐに飛び出せるようにした。警戒を強めたまま、馬車は勾配の急な坂道を進んでいく。
「ここら辺は人通りが少ないとはいえ、道もある程度整備されているような場所だから山賊や危険な魔物の話もあまり聞かないんだけど」
「山賊や魔物が頻発するような危険な所にヒルデガルド家が居を構えるとは思えないから普段は言う通りなんだろうと思うが、昨日の件もあるし護衛もいないので警戒するに越したことはないさ」
急な勾配が多い地形なので、所々馬を休ませたり昼食を取りながら進んでいく。特に問題は起きずに太陽の位置が低くなってきた頃、エストリアさんの実家の近くに到着する。
「この勾配を越えたら家が見えるはずよ」
エストリアさんが声を弾ませながら言うので、僕らも馬車の前の方に集まって、御者さん越しに先を見る。
「あれ?何か煙のようなものが見える気がするんだけど……」
僕がそう呟くと、みんなが目を凝らして先を見る。
「確かにうっすらとだが見えるな」
「しょ、食事の用意している……から?」
「いや、ここからだとそれくらいの煙なら見えないはずだが」
エストリアさんが不安げな顔をする。御者さんに急いでもらうようにお願いをして馬車は速度を上げて坂道を登りきる。
「あぁっ!!」
エストリアさんが大きな声を上げる。
「い、家が燃えてる!!」
坂道を登りきった先、まだ小さくしか見えないが、大きな湖の脇にある大きな屋敷が見えた。屋敷の上を何だか判らないが小さな影が旋回しており、屋敷の離れの1棟から火の手が上がっているように見える。
「御者さん!急いで!!」
エストリアさんが悲鳴のような声で指示を出すと、御者さんはそれを受けて手綱を振るう。馬はその意を受けて全力で走り出す。
既に勾配のきつい坂道は終わっていて、やや上りのなだらかな坂道が続いており、その道を馬車は全力で駆け抜けていく。
近付いていくと、空飛ぶ影が少しずつはっきりとしてくる。
「んー。アレは飛竜みたいなのだ」
僕の目だと、それが何かは正確にわからないのだが、翠は目の上で庇を作って確認し、そう言う。
「鱗が赤いから多分、灼熱飛竜なのだ」
「灼熱飛竜?!確かにここら辺の山奥にに生息してるかもって言われていたけど」
「何かおかしいのだ。灼熱飛竜は熱い棲家から遠くに行かないはずなのだ!」
その灼熱飛竜は何かを探すように、エストリアさんの実家の上空を旋回している。
「とにかく近付かない事にはなんともならないな。とはいえ、対策をしないわけにはなるまい。灼熱飛竜となると前足は退化しているが、鋭い牙と強靭な尻尾・それと火属性の竜吼が主な攻撃手段になるはずだ。空から龍吼を吐かれ続けると不利になるから、翼を攻撃して地面に落とす策が必要だな」
「ウチのクロスボウと、キーナはんの魔法の出番やな」
「うむ。後は私と、エストリア嬢が多少使えるくらいか。地上に落としたら、オスロー君と翠嬢、ウォルトで更なる加撃で制圧する流れだな。あぁ、アル君はあまり変な事をしないように。エストリア嬢の家の近くて天災を起こされてはたまらんからな」
いつものようにテキパキと指示を出すカイゼルさん。僕は女性陣の武器を取り出すと手渡していく。
馬車が屋敷に近付いていくと、灼熱飛竜の大きさもどんどん大きくなっていく。頭から尻尾の先まで10mはあろうかという巨体で、僕らを視界に入れると大声で威嚇してくる。
ギャァォォォォォッ!!
その声の聞いた馬は恐慌状態に陥り、無茶苦茶に走った後に泡を吹いて倒れてしまった。当然その馬に引かれていた馬車も、無茶苦茶に揺られて横倒しになり、僕らは馬車の中で倒れたり、放り出されてしまう。
幸い御者さん以外はキレイに受身を取って誰も怪我をしていないようだ。御者さんに馬車の陰に隠れるように伝えると、僕らは武器を構えて戦闘態勢に入るのだった。
護衛の冒険者は昨日の裏切りでいなくなったが、残り一日という事もあり、信用できるコネも伝手もお金もなかったので、護衛はつけていない。
その代わり、僕達の男性陣は武器防具を持ってきていたので、それらを装備し、万が一に備えて警戒しながらの旅をする事にした。
御者の横には冷静沈着なウォルトさんが座り、何か異変が起きた時には素早く対処できるようにする。
馬車の中の御者側には、探知魔法が使える僕と指揮を執るカイゼルさんが座り、馬車の後方にはオスローと徒手空拳でも戦える翠が座わり、いつでもすぐに飛び出せるようにした。警戒を強めたまま、馬車は勾配の急な坂道を進んでいく。
「ここら辺は人通りが少ないとはいえ、道もある程度整備されているような場所だから山賊や危険な魔物の話もあまり聞かないんだけど」
「山賊や魔物が頻発するような危険な所にヒルデガルド家が居を構えるとは思えないから普段は言う通りなんだろうと思うが、昨日の件もあるし護衛もいないので警戒するに越したことはないさ」
急な勾配が多い地形なので、所々馬を休ませたり昼食を取りながら進んでいく。特に問題は起きずに太陽の位置が低くなってきた頃、エストリアさんの実家の近くに到着する。
「この勾配を越えたら家が見えるはずよ」
エストリアさんが声を弾ませながら言うので、僕らも馬車の前の方に集まって、御者さん越しに先を見る。
「あれ?何か煙のようなものが見える気がするんだけど……」
僕がそう呟くと、みんなが目を凝らして先を見る。
「確かにうっすらとだが見えるな」
「しょ、食事の用意している……から?」
「いや、ここからだとそれくらいの煙なら見えないはずだが」
エストリアさんが不安げな顔をする。御者さんに急いでもらうようにお願いをして馬車は速度を上げて坂道を登りきる。
「あぁっ!!」
エストリアさんが大きな声を上げる。
「い、家が燃えてる!!」
坂道を登りきった先、まだ小さくしか見えないが、大きな湖の脇にある大きな屋敷が見えた。屋敷の上を何だか判らないが小さな影が旋回しており、屋敷の離れの1棟から火の手が上がっているように見える。
「御者さん!急いで!!」
エストリアさんが悲鳴のような声で指示を出すと、御者さんはそれを受けて手綱を振るう。馬はその意を受けて全力で走り出す。
既に勾配のきつい坂道は終わっていて、やや上りのなだらかな坂道が続いており、その道を馬車は全力で駆け抜けていく。
近付いていくと、空飛ぶ影が少しずつはっきりとしてくる。
「んー。アレは飛竜みたいなのだ」
僕の目だと、それが何かは正確にわからないのだが、翠は目の上で庇を作って確認し、そう言う。
「鱗が赤いから多分、灼熱飛竜なのだ」
「灼熱飛竜?!確かにここら辺の山奥にに生息してるかもって言われていたけど」
「何かおかしいのだ。灼熱飛竜は熱い棲家から遠くに行かないはずなのだ!」
その灼熱飛竜は何かを探すように、エストリアさんの実家の上空を旋回している。
「とにかく近付かない事にはなんともならないな。とはいえ、対策をしないわけにはなるまい。灼熱飛竜となると前足は退化しているが、鋭い牙と強靭な尻尾・それと火属性の竜吼が主な攻撃手段になるはずだ。空から龍吼を吐かれ続けると不利になるから、翼を攻撃して地面に落とす策が必要だな」
「ウチのクロスボウと、キーナはんの魔法の出番やな」
「うむ。後は私と、エストリア嬢が多少使えるくらいか。地上に落としたら、オスロー君と翠嬢、ウォルトで更なる加撃で制圧する流れだな。あぁ、アル君はあまり変な事をしないように。エストリア嬢の家の近くて天災を起こされてはたまらんからな」
いつものようにテキパキと指示を出すカイゼルさん。僕は女性陣の武器を取り出すと手渡していく。
馬車が屋敷に近付いていくと、灼熱飛竜の大きさもどんどん大きくなっていく。頭から尻尾の先まで10mはあろうかという巨体で、僕らを視界に入れると大声で威嚇してくる。
ギャァォォォォォッ!!
その声の聞いた馬は恐慌状態に陥り、無茶苦茶に走った後に泡を吹いて倒れてしまった。当然その馬に引かれていた馬車も、無茶苦茶に揺られて横倒しになり、僕らは馬車の中で倒れたり、放り出されてしまう。
幸い御者さん以外はキレイに受身を取って誰も怪我をしていないようだ。御者さんに馬車の陰に隠れるように伝えると、僕らは武器を構えて戦闘態勢に入るのだった。
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