チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第68話(夏休みの予定)

 選抜戦が終わると夏休み前の試験になる。僕らは選抜戦でいい成績を残せたので実技は免除になったが、座学の筆記テストが控えていた。

 一応真面目に授業は出ているが、不安も多かったので毎日夕食後は談話室で勉強会を行った。
座学はエストリアさんとキーナさんとカイゼルさんが得意なので、3人が教えてくれたおかげで、僕達は標準点以上の結果を出す事ができて、心置きなく夏休みを迎えられた。

「あ、あの、夏休みなんだけど……」
 試験が終わり夏休みまであと数日という頃に、夕食後の談話室でエストリアさんが切り出す。

「選抜戦の後に父さんが、みんなを招待したいって言ってたの、どうやら本気だったみたいで夏休みが始まったらぜひ来るようにと念押しされたんだけど」
 エストリアさんが伏し目がちに俯いて、時々窺うようにチラチラとみんなを見る。

 エストリアさんの実家はアインツから北西方向にあり、平地と高地がほとんどを占めるヒルデガルド地方にある。ヒルデガルドはアインルウム同盟国設立前からあった小国の一つであり、5州家の一角に数えられていて平地と高地が多いので、農業と酪農が盛んな州になっている。どうやら高地にある湖のほとりにエストリアさんの実家があるそうで、高地なので夏でも涼しく、湖で遊ぶ事も可能で夏休みにぴったりの保養地らしい。

「フッ、夏休みの後半は用事が入っているのだが、前半なら都合をつけることはできるね」
 いつものポーズを取りながらカイゼルさんが言う。

「俺の予定はカイゼルと一緒だ」
「オレは家にいてもパン屋の手伝いばっかだから行くぜ!」
「わ、私も、ヒルデガルドに……行ってみたいです」
「ウチも後半は実家の手伝いをせなあかんけど、前半ならええで」
「翠はアルと一緒なのだっ!」
「僕も特に用事はないから、みんなに合わせるよ」
 みんなが口々に肯定の回答を返す。

「ホント?!よかったぁー。じゃぁ父さんに連絡するね。準備もあるだろうし夏休みの3日目から、行き3日、滞在3日、帰り3日の9日間でいいかな」
 エストリアさんは安堵の溜息を吐くと嬉しそうに予定を提案してくる。

「問題ないな」
 カイゼルさんとイーリスさんが同意したので日程も決まりそうだ。ちなみに寮は夏休みも閉鎖される事はないので、滞在していれば食事もでる。ただ不在時にはきちんと申告しないと食事を作ってしまうので、そこはキチンと申告しなければならないのだ。

「夏といっても涼しいから、上に羽織る上着と、森とか林に行くなら長ズボンも必要よ。あと湖が、とても綺麗だから水着も用意したほうがいいわね」
「あ……翠は水着がないなぁ」
「せやったら、買出しに行こか?どうせやったら女性陣は新調しとくんはどないや?」
「いいわね。新作も出てるかもしれないし、翠ちゃんのを選ぶついでに見てみましょう」
 僕が思い出したかのように呟くと、女性陣で水着を買出しに行く事が決まった。

「林と森かぁ……狩りとかしてみてぇな。せっかく色々訓練したんだし」
「いいのではないか?狩猟は色々なスキルや経験が必要だから良い訓練になる」
 オスローが何気なく呟くとウォルトさんが肯定する。

「じゃぁ、地下施設から弓と矢を持っていかないとね。あと何があるか分からないから皮鎧なんかも着ていこうか」
「リア、林とか森って魔物出るのか?」
「あまり聞かないけど、たまに出る事もあるらしいわよ」
「という事なので、アルの提案通りに着ていこうか。皮鎧ならそんな重くないし」
 僕が提案すると、オスローがエストリアさんに声をかけて、夏休みの行動予定が段々に決まっていく。

 夏休みに入ると僕らはめぼしい武器防具を選んだり、買い物に出かけたり、訓練したりして過ごす。

 そして出発当日の朝、予定時間通りに学園の校門前に行くとエストリアさんの家族が手配した馬車が到着していた。
 馬車は2台とも幌が付いていて、一台に8人くらい乗れる大きさがある。御者の人とは別に冒険者さんの4人組が護衛のようで、戦士系2人と斥候1人、魔術士1人の構成みたいだ。僕らは後ろの馬車に全員乗るようなので、荷物を積み込んでいく。9日分の荷物なので一人ひとりが結構な量になっていて、特に女性陣が多い。

「なんで、そんなに荷物が多いんだ?」
「女の子は何かと色々入用なの!」
 オスローが不思議そうに聞くと、エストリアさんに怒られていた。

「そもそも貴方達も鎧とか武器とか物々しいわね。遊びに行くようには見えないわよ」
「森に入って狩りでもしようと思っているからな。道中も何があるか分からないし」
 街道は整備されていて安全性が高いルートだが、盗賊や魔物も出ないとは限らないので最低限自分の身は守れるようにしないとと考えている。

 荷物を積み込み終わると、僕ら全員は後ろの馬車に乗り込む。前の馬車は冒険者さん達が乗るみたいだ。

 そして御者の人が手綱を握って馬車はエストリアさんの実家に向けて出発するのだった。


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