チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第63話(祝福の祝勝会)

 ゴルドー先生に連れてこられたのは、入学試験の時に泊まっていた宿で、父さんの知り合いが経営している冒険者の店だ。

 店は既に人でごった返しており、椅子が足りなくて立ち飲みしているお客さんも多い。

 僕達は一番奥の席にまとめて座らされており、すでに出来上がっているおじさん達に絡まれていた。

「さて、今日みんなに集まってもらったのは、レイオットの所の倅が、入学して3ヶ月もしない間に偉業を達成した!その偉業を祝し称える為に集まってもらった!!今日の飲み代はもっぱらレイオットに付けておくから、存分に飲み食いして、レイオットの倅のアルカードを祝福してやってくれ!!」
 ゴルドー先生がそう宣言すると、まわりから地面を揺るがすような大音量で喝采が上がると、そこらじゅうで乾杯の唱和が響く。

 テーブルには山盛りの料理の皿が沢山置かれていて、次々に新しい料理が出される。お酒も樽から葡萄酒や蒸留酒、エールなどを直接注いで飲んでいる。

「うまいのだーっ!」
 僕らの座っているテーブルにも大皿料理が置かれており、翠が大声を上げながら手づかみでムシャムシャと食べている。

 エストリアさんの横にはヘンリー君が座り、最後の技が綺麗だったとはしゃいでいる。僕はその光景を見て、本当に無事でよかったと改めて感じた。

 カイゼルさんと僕達は意見交換をしながらお互いの状況を確認しあっていると、エストリアさんの父親が僕らの前にやってきて、深く頭を下げる。

「この度は、息子と私の命を救ってくれた事、大変にありがたく思っている。君達の活躍がなければ、私も息子も大変な事になっていた」
「い、いや、謝るのはこちらの方です。学生内のゴタゴタにご家族を巻き込んでしまい、大変申し訳ございませんでした。まだ小さいヘンリー君をも巻き込んでしまった事、大変に心苦しく思っております」
 エストリアさんの父親の言葉にカイゼルさんが切り返す。

「私どもの危機意識が低かったのが根本の原因だと思います。ですが……お互い遠慮しあってもなんですから、夏休みにでも我が家にご招待させて頂き親睦を深めることでこの件を水に流すのはいかがでしょうか?」
 エストリアさんのお父さんが提案する。

「ちょっ!お父様!そんな大事な事を勝手に!!」
「どこかで折り合いをつけねばこちらも申し訳がたたんのだ。恩には恩で返す。貴族として当たり前の事だ」
 エストリアさんの否定的な意見を、お父さんがピシャリと説き伏せる。

「確かにヘンリー君の心の傷には、楽しい思い出を上書きするというのも必要かもしれませんね。全員参加できるかどうかは分かりませんが、前向きに検討させてください」
「是非とも前向きに頼むよ」
 カイゼルさんがそう答えるとエストリアさんの父親から再度念押しをされる。

 エストリアさんの父親が去った後には、翠のお父さんとお母さんがやってくる。

父様ととさま母様かかさま!」
 翠が両親に飛びつこうとした所を、お父さんが翠の頭を鷲掴みにして止める。

「こらこら、口と手に肉汁がたっぷり。ちゃんと拭かないと服が汚れてしまうぞ?」
 翠は頭を鷲掴みにされたまま、器用にテーブルにおいてあった布巾を取ると、手と口を拭って、両親に飛びつく。

「翠もいっぱい頑張ったのだっ!!」
 両親は目を細めながら、そんな翠を見て微笑む。

「よい出会いと友に恵まれたようですね。心配でしたけどアルカードさんに託して正解でしたわ」
 お母さんが僕の方を見て微笑む。あまりの綺麗な微笑みにドキドキしてしまう。

「何、赤くなってんのよっ!あなた、ああいう女性が好みなの?!」
 即座にエストリアさんが反応して僕に詰め寄ってくる。

「そ……そんな事ないけど」
「そうなの?やっぱり胸なの?!」
 ドギマギしながら返す僕に、エストリアさんの呟きが聞こえてくる。

「翠を守るという約束を守ってくれて、こんなに成長させてくれて、アルカード君には本当に感謝している。この恩に最大限の感謝で報いたいので、何かあったら気軽にお願いしてくれたまえ。私達に出来る事なら何でも応えると約束しよう」
「その時には是非に」
 お父さんがはっきりとした意志を僕に伝えてくる。断るのも何か違うと感じたので、僕は了承の意を伝える。

 翠の両親が席をはずすと、オスローの両親や、キーナの両親も来て、口々に祝福と感謝を伝えてくれる。
 嫌な事もあったけど、みんな無事で、よい結果を残せて本当によかった。僕らはみんなの祝福を受けながら改めて思ったのだった。

「あ、そういえば。アインツ学園の選抜戦優勝チームメンバーは今年からアインルウム同盟国主催による闘技祭に学生の部で出場権が与えられるようになったから、エントリーしておいたので頑張るんだぞ」
宴も終盤に近付いてきた頃に、ゴルドー先生がふらりとやってきて、何気ないように一言伝えて去っていく。

「……」
「……???」
 それを聞いた僕らは、一時呆然とした後で、頭の中には?がいっぱい浮かんだ。

「それって……年末恒例で行われる国民的お祭りのメインイベントのやつか?」
「それに僕達が??」
「「「「「えーーーーーっっ!!!」」」」」

 また新たな戦いの火種を勝手に撒かれて僕達は絶叫を上げるのだった。


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