チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第56話(傭兵の正体は?)

 一方その頃、カイゼル達はエストリアの家族を救うべく別行動をしていた。

 ツァーリの屋敷は5州家の子家相当に大きな屋敷であり、やましい事をしている自覚もあるのか、外から見ても厳重な警備をしていた。
 屋敷の庭には数匹の犬が放し飼いにされているようであり、傭兵の様な身なりをした者の出入りも、かなり見受けられる

 カイゼルはウォルトとイーリスと共に近くの空き屋の2階に潜伏し、何か動きがないかを監視していた。

 動きが無いまま、午前中を終え、そろそろ準決勝第二試合が始まろうとする頃に、アルカードから連絡が入る。

「エストリアさんの家族が屋敷から連れ出されそうになっています。作戦の実行をお願いします」  
「承知した。こちらは全力を尽くして救出を敢行するから、みんなは戦いに集中してくれ」
 カイゼルは即座に返事を返す。

「イーリス嬢は、ここで状況を監視しておいてくれないか?しばらくしたら、馬車を引き連れた一団が出発すると思うので、見える限りの構成を教えてほしい。また一団が出発した後に、更なる動きがあったらすぐに知らせることも頼む。私とウォルトは先回りをして、機会をうかがわせてもらう」
 カイゼルはそう言うと、ウォルトと共に空き屋を出ていく。

「どのくらいの戦力だと考えている?」
「こちらが襲撃の用意をしているとは思っていないだろうから、4・5名といったところではないかな。こっちは2名だから、不意打ちをかけて、5分5分といったところか。人質を盾に取られてしまうと辛い。なので、慎重を期さなければならないのだが……」
 ウォルトの問い掛けに、カイゼルは軽快に答える。

「馬車が出てきよった。馬車の中に何や人おるか分からへんけど、外から見えるんは御者含めて3人みたいや。見た感じ御者は普通のおっちゃんで、外で見張っとるんは軽戦士と魔術師っぽいで。
特徴としては……せやな、3人共みんな腕に赤いバンダナ見たいのを巻いとる」
 イーリスから詳細な情報が届くとカイゼルは難しい顔をする。

「どうした?」
「いや……現在アインルウムを根城にしている傭兵団で、赤いバンダナがトレードマークと言うと
紅の猟団が有力になる。そしてその団長セルシオ・ブラッドレインはランク4といわれている程の実力者だ」
「あの紅の猟団か?!相手が悪すぎるな」
「しかし、この程度の依頼で団長が出てくるとは考え辛いが、様子を見る必要がある」
 カイゼルとウォルトはあらかじめ決めておいた、襲撃地点に潜伏すると、馬車を待ち伏せする。この路地は学園への最短ルートではあるが、人気が少なく、数本路地を跨げば人気の多い路地に出る事ができる場所で、救出したらすぐに人ごみにまぎれる事ができると目星をつけていた場所だ。

 その死角になる塀の裏で待ち伏せしていると、馬車が通りかかる。

 イーリスの報告にあったとおり、御者が1名と、軽戦士、魔術師が付き添っている。熟達の傭兵らしく、隙らしい隙がない。また御者も偽装した傭兵の可能性が高く。馬車の中からも、ただならぬ気配を感じる。

「ダメだな……多勢に無勢。一人一人の戦力も低くはない。これは学園に入った後に個別に対処するしかなさそうだ」
 カイゼルがそう判断し、イーリスに念話する。

「イーリス嬢、申し訳ない。学園にて各個撃破するしか方法がなさそうなので、合流してもらいたい」
 了解の返事を受けながら、先回りすべくカイゼル達は走り出し、何とか学園に先回りする。

 馬車は学園の裏手に止まり、ドアが開くと中からは身なりのよい壮年男性と少年が、目元に深い傷がある熟練の傭兵に促されて出てくる野を確認する。どうやらエストリアの家族で間違いはなさそうだ。

 そのまま学園の中に入っていくので、木陰に身を隠しながら後をつけていく。

「どうやら空き教室に入っていくみたいだな」
「空き教室の鍵まで用意しているとは用意周到な事だ。あの教室から試合場だと、ツァーリ側の観客席に出るつもりだろう。4人が揃っていると対策は難しいが、あの様態で観客席にいては目立つ。恐らく2人が見張り、一人が目立つように観客席に出てエストリア嬢に何らかの圧力をかけるだろう。そして、もう一人が周囲警戒するといった行動を取るだろうから、まず見張りを各個無力化して、続いて周囲警戒しているもう一人を無力化。最後に熟練の傭兵を何とかするといった作戦しかあるまい」

「荒事になりそうだ。カイゼルと俺が前衛。イーリス嬢に支援してもらう戦術になるのか?」
「うむ。相手が対魔術護符を持っていると厄介なのだが……できれば状態異常系の魔法で撹乱して突っ込むのが上策だと思っている」
 カイゼルとウォルトが戦術を確認しあっていると、イーリスが合流したので、戦術を3人で確認しあう。

 そうしていると傭兵達はエストリアの家族を連れ、空き教室から出て行くので、カイゼル達は、お互い頷き合うと覚悟を決めて、その後をつけていくのだった。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品