チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第48話(選抜戦 対戦カード)

 春の選抜戦は町の人たちが楽しみにしているイベントの一つみたいで、寮を出て校舎に向かう途中の校門には既に何人かの人だかりが出来ていた。

 春の選抜戦の参加者や対戦相手は当日まで分からないルールになっており、当日に大講堂に張り出される仕組みだ。僕達は投稿してすぐに大講堂に集まると、選抜戦の対戦表が貼り出されるのを待っていた。

 そうして待っていると試験の結果発表の時のように、数人の講師が大きな紙を持って大講堂に入ってくる。そしてトーナメント表とチームメンバー表が記された大きな紙を貼り出す。

第1試合は僕達1年生のAチーム vs 武術学科2年生のBチーム
第2試合は魔術学科2年生のCチーム vs 魔術学科3年生のDチーム
第3試合は学科混合1年生のEチーム vs 学科混合2年生のFチーム
第4試合はツァーリの率いる3年生のGチーム vs 武術学科3年生のHチーム
となっていた。

 僕達はまず武術学科2年生のBチームと戦う。勝てれば多分、魔術学科3年生のDチーム、そして決勝戦でツァーリの率いる3年生のGチームとの対戦になりそうだ。

「これじゃぁ、今年の1年Aチームは難しいなぁ。今年の武術学科2年生は相当強い」
「あぁ、近距離の刀士フジマキ、遠距離の強弓シリウスって優勝を狙えるほどの強力すぎる選手がいるからな」
「勝てたとしても魔術学科3年だろ?スレイの多彩な魔法の前にはなぁ」
 周りから、そのように今年の1年生のAチームは残念ながら絶望的だなという声が聞こえてくる。どうやら武術学科2年生に凄腕の刀士と強弓使いがいて、魔術学科3年生にも凄腕の魔術師がいるらしく、両方と当たる可能性の高い僕達が勝つ確率は低いと見られているらしい。

「ふははははは。どうやら私達とやる前に結果が見えているな。私と当たる前に惨敗して、地に這いつくばってる姿が今にも目に浮かぶようだ」
 癇に障る声と台詞に振り向くと、ツァーリがこちらを見下している。

「何だ?その目は!平民は平民らしく貴族の足元に這いつくばってればよいのだ。万が一にでも勝ち抜けたとしたら、貴族である私自らが愚かな平民共に分というものを教えてやる。まぁ、その対戦相手だとありえないが、せいぜい頑張ってみるんだな」
 ツァーリはこちらを見下しながら、言うだけ言うと踵を返して去っていく。

「……あいつ、絶対殺す」
 リアが手を真っ白になるまで握り締めながら、歯を食いしばって耐えながら呟く。

 第1試合は一時間後に開始される予定で、試合時間30分、設備調整休憩30分の一時間セットで行われる。参加者はダメージを吸収する機能を持った腕章を装備し、腕章がダメージを吸収できなくなり破壊されると戦闘不能という扱いになり、速やかに場外に出て戦闘から離脱する。リーダーが戦力外になった時点で勝負が決まる方式のようだ。

 カイゼルさんもウォルトさんもいないので、情報収集が難しいなと考えているとオスローが気軽に、「オレの武術学科の知り合いに聞いてみるわ」と情報収集に向かって行ってくれた。
 リアも同様に三年生の魔法学科について、第1試合が終わったら知り合いに聞いてくれるとの事だ。

 オスローが帰ってきたタイミングで控え室に移動しながら話を聞くと、Bチームの構成は長剣と盾の重戦士、刀士、槍使いに弓使いらしい。
 特に刀士の実力が尋常ではなく、刀と言われる武器で大抵の相手は一太刀で切り捨てられてしまう程の剣の冴えらしく、Cランク相当の実力があるそうだ。
 去年は特待生チームで二回戦に進出したけど、魔法の一斉射撃を受けて離脱してしまったらしい。刀士の例外を除けば、散々特訓で対戦した構成に近かったので、僕らの戦闘方式も自ずと決まっていたが、Dランク相当になるように制限をかけて戦うと、Cランクの刀士に負けてしまう可能性が高かったので、みんなCランク相当の制限をかけて戦う事にした。

 戦術を話していると選抜戦運営委員の人が控え室に現れて、4つの腕章を渡してくれる。青い腕章が3つと赤い腕章が1つ。赤い腕章がリーダーのものらしいので、リアがつける。他のメンバーは青い腕章をつけて、選抜戦運営委員の人に先導してもらい試合会場に向かう。

「何かドキドキするな。アル!」
「そうだねオスロー、全力を尽くして勝とう」
「ワクワクするのだー!」
「みんな頼むわよ!出るからには、先輩たちであっても必ず勝って優勝するわよ!!」
 翠はリアの家族の問題が頭にないようだが、試合会場に入る直前に皆で声を掛け合い、リアの合図で拳を一度ぶつけ合って、天にかざして掛け声を上げる。

「「「おーっ!!!」」」


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