チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!
第44話(選抜戦のこと)
エレン学園長同席の元、大量のお昼ご飯を食べた僕達は、次はどうしようかと思案する。ツァーリの件で、歩き回る気が失せていたのだけど、翠が噴水を見に行きたいとねだってきたので、噴水がある公園に向かう事にする。
「じゃぁ、私は失礼させてもらうわね。で、みんなが戻る夕飯時に、寮の方にお邪魔するから」
そう言い残して町の喧騒に消えていった。
「おぉぉぉぉぉっ!綺麗なのだーっ!」
地面から吸い上げた水を、天頂部から360度に水のカーテンを作り出している噴水を、目を大きくしながら翠が食いつくように見ている。
「アル!アル!キラキラしていて綺麗なのだっ!」
「うん。綺麗だね」
僕の袖を引っ張りながら翠が興奮して話しかけてくるので、ぼくも相槌を打つ。
公園はそこそこの広さがあり、人もそれなりにいたけれど、幸い噴水の周りには人が少なかったので、翠がかぶりついてみていても問題はない。
そして水のカーテンに指を入れたりして、水流が分かれていくのを見て喜んでいる。そしてその様子をキーナさんが眩しそうに見ているのが印象的だった。
「さて、そろそろ寮に戻ろうか?」
公園で時間が結構つぶれたので、僕達は寮に帰る事にする。まぁ途中で肉串を撃っている屋台で、翠のおやつを買う事になったけど。
夕方前に僕達が寮に戻ると、エレン学園長とグレイスさんがロビーで会話をしていた。
「おかえりなさいませ」
「おかえり、アルカード君、キーナさん、翠さん」
「ただいま戻りました」
「ただいまなのだー!」
僕達に気が付いたグレイスさんとエレン学園長が挨拶をしてくれたので、僕達も挨拶を返す。
「えっと、他の人は?」
「まだ誰もお帰りになられておりませんね」
「そっか。どうしようかな。エレン学園長に待ってもらうのは恐縮だし……」
僕がそんなことを呟くと、グレイスさんが意外な提案をしてくる。
「それでしたら、エレン学園長に地下施設をご覧になって頂くのは、如何でしょうか?」
「あぁ、確かに。まだ見てもらっていなかったですね」
「そうね。是非見せてもらいたいわ」
エレン学園長も興味を持ってくれたみたいで、地下施設を案内することにする
「……またアルカード君がとんでもない事をしていないか心配だわ」
「え?何か言いました?」
「いえいえ、こっちの話よ」
エレン学園長が何かを呟くのが聞こえたので、聞いてみたけど受け流されてしまった。
そしてエレン学園長を連れて、地下施設を一通り説明する。大方の予想通り、驚きと絶句とため息の連続で、僕は背中に冷たい視線を感じて、居心地が悪い事この上なかった。
「ま、まぁ、想像はしていたけれど……その想像が裸足で逃げ出すくらいのありえない現実だったわ」
「えぇ、私もどこの古代遺跡かと思いました」
「そうよね、アレ」
「そうですね、アレ」
寮に戻ってきてグレイスさんに感想を言うエレン学園長、そして二人の視線が背中に刺さって痛くて仕方がない。
そんな事をしていると、ちらほらと外出していたみんなが寮に帰ってくる。帰ってきた人達はエレン学園長がいることに驚いた後、僕をジト目で見てくるのは何故だろう……
「まず、みんなの憩いの時間を邪魔して申し訳なく思っているの。ごめんなさい」
みんなが戻ってきて、夕食が始まる前に、エレン学園長がまず謝罪から切り出すと、昼間の一件を語り始める。みんなの顔があっという間に強張ったが、こうして僕らが無事な事に安心して、静かに話を聴いていた。
「……それで、あなた方には1ヶ月後に開催される春の選抜戦に是非とも出てもらいたいの」
「その話の流れだと断れませんね。全くアル君ときたら目を離すとすぐこれだ」
「あはははは……」
エレン学園長の話を聞いたカイゼルさんが肩をすくめて僕の方を見るてくるので、僕は愛想笑いで誤魔化す。
「確か春の選抜戦って、各学年から2~3組が出場して学園内での1番強いパーティを決める大会。当然、今まで訓練を積んできた上級生が有利で、ほぼ毎年3年生が優勝していると聞いているが、我々が出て勝ち目があるのだろうか?」
ウォルトさんが顎に手を当てながら考える。
「そうね。毎年1年生でも特待生が集まっているパーティは1回戦を突破できることがあるわ。ただ、2回戦の壁が厚くて、大体ギリギリのところで負けてしまうのよね。去年は2年生ながら、3年生のチームを倒してツァーリ君のチームが優勝したわね。とても不可解な状況に見えたけどね」
エレン学園長がウォルトさんの疑問に答える。でも通常は良くて1回戦突破と言っているんだけど……
「でも貴方達の実力は去年の比じゃないから、きっと良い線まで行くと思うわよ」
そう太鼓判を押してくれる。
「選抜戦は4vs4のチーム戦。試合形式は物理/魔法ありの戦闘で、武具、使用魔法に制限なし。試合場の広さは40m×40mで遮蔽物あり、高低差あり。試合時間は30分。リーダーが戦闘不能or降伏したら決着というルールよ。それと選抜戦でいい成績を残すと試験免除があるわよ」
「ふむ……わかりました。みんなと相談させてもらってからの回答でも宜しいでしょうか」
「参加表明は1週間後に迫っているけど、それまでに参加者含め決めておいてくれればいいわ」
カイゼルさんは相談と言っているけど、今日のトラブルを考えると出場せざるを得ないだろう。って僕が起こしたトラブルなのに他人事みたいに思ってしまった。
「じゃぁ、伝える事は伝えたし、そろそろ戻るわね」
エレン学園長はそう言うと寮を出て行ったのだった。
食事を終えた僕達は、また談話室に集まって相談会を開く。
「全く、また貴方は厄介ごとばかり持ってきて……まぁキーナや翠ちゃんには何もなかったし、貴方も大怪我がなかったようなのは良かったけど」
エストリアさんが両手を胸の下で組みながら、片目だけを開けて、ジトーっと僕を見ながら言う。
「うん、ごめんね。あと心配してくれてありがとう」
「バ、バカッ!!べ、別に心配なんてしてないんだからねっ!それに昨日の事もまだ許し……」
僕がお礼を言うと、顔を真っ赤にして慌て始めて、プイッと背中を背けると口の中でゴニョゴニョと何か言っている。
「それで、そのツァーリとやらの実力はどうなんだ?」
ウォルトさんが冷静な声で聞いてくる。
「あ、あの……ファ、爆炎球の魔法は使える……ようです」
キーナさんの回答を聞いたウォルトさんが顎に手を当てながら頷く。
「となると、ランクD+くらいはありそうだな。まぁ、やってやれない事はないかもしれん。まぁ他に隠し玉を持っていたとしても、学園の3年生レベルならランクC+まではいかんだろうからな。地下施設でみっちり訓練をすれば、何とかなりそうだ」
ウォルトさんは冷静に状況を分析して、勝ち目がありそうだと判断する。
「それより気になると言うのは不可解な状況というやつだね。彼の評判や行動を鑑みると、裏で何かをしているのは間違いないだろう。搦め手でこられると厄介だ」
そしてカイゼルさんが軽い口調で話し始める。
「早急な情報収集が必要になるね。取り急ぎは前回の特待生などに話を聞いてみたい。まぁ、どうであれアル君がやらかしてしまった責任は取らないとならないから参加はするとして誰が参加するかだが……申し訳ないが、私とウォルトは外れる必要があるだろう」
カイゼルさんは、僕のやらかしの対応もあるので、既に参加を決めていたようだ。だけど、カイゼルさんとウォルトさんが外れるとは一体?
「カイゼルはともかくウォルトがいないのは戦力的に痛くないか?」
オスローが戦力を分析しながら手を上げて発言する。
「オスロー君の言う事も分かるが、相手が搦め手で来ている以上、誰かがそれを阻止する必要があるからね。そこら編を調べるのは私が最適だと思っているのだけれども、一人で動くのは何かと問題がありそうなので、ウォルトに護衛をしてもらいたいんだ」
なるほど、確かに冷静だし視野も広くて頭の切れるカイゼルさんが情報収集に最適だろう。そしてそういう事を調べるには危険が伴うのは当然。カイゼルさんの護衛といったら、昔から護衛をしているウォルトさんが最も適任になるだろう。
「もう一人は頭が柔軟で機転が利くサブが欲しいんだが……キーナ嬢を抜くと魔法戦力的に問題があるから……ふむ、申し訳ないがイーリス嬢も私を手伝ってくれないか?その交渉力、行動力、判断力は情報戦の武器になる」
「え?!ウチでえぇの?」
カイゼルさんから突然指名されてイーリスさんがとビックリする。
「となると、春の選抜線の参加者はアル君、オスロー君、翠君、キーナ嬢になるね。前衛2、中衛1、後衛1のバランスの良いパーティになるか。アル君は、魔法による攻撃/防御を主として、いざというときには前に出る事も必要になってくるだろう」
カイゼルさんが分析し大まかな戦闘指針を決めていく。
「中衛的ポジションは色々やることが多いから、そのポジションの動きに最も近いエストリア譲と一緒に訓練するといい」
「ア、アルカード君と、ふ、二人で?!」
カイゼルさんの提案に、エストリアさんが戸惑った声を上げる。
「翠君とオスロー君に高度な魔法戦ができると思うか?」
「い、いや。それはちょっと無理じゃないかなーって私でも思う」
「では、決まりだ。幸い良い成績を残すと試験免除があるらしいので、この1ヶ月は春の選抜戦に集中しよう。4人は前衛/中衛/後衛での役割に応じた特訓を、私とウォルトは対戦相手の情報収集と何よりツァーリの周辺調査に専念だ。エストリア嬢はアル君と特訓しながら、我々のサポートをよろしく頼む。何か問題や意見があるなら言ってくれ」
カイゼルさんが今話した内容を全てを取りまとめた上で結論付ける。
「よし、意見もないようなので、明日からその指針で進めるとしようか」
こうして1ヶ月後の春の選抜戦に向けて、僕らの活動が始まったのだった。
「じゃぁ、私は失礼させてもらうわね。で、みんなが戻る夕飯時に、寮の方にお邪魔するから」
そう言い残して町の喧騒に消えていった。
「おぉぉぉぉぉっ!綺麗なのだーっ!」
地面から吸い上げた水を、天頂部から360度に水のカーテンを作り出している噴水を、目を大きくしながら翠が食いつくように見ている。
「アル!アル!キラキラしていて綺麗なのだっ!」
「うん。綺麗だね」
僕の袖を引っ張りながら翠が興奮して話しかけてくるので、ぼくも相槌を打つ。
公園はそこそこの広さがあり、人もそれなりにいたけれど、幸い噴水の周りには人が少なかったので、翠がかぶりついてみていても問題はない。
そして水のカーテンに指を入れたりして、水流が分かれていくのを見て喜んでいる。そしてその様子をキーナさんが眩しそうに見ているのが印象的だった。
「さて、そろそろ寮に戻ろうか?」
公園で時間が結構つぶれたので、僕達は寮に帰る事にする。まぁ途中で肉串を撃っている屋台で、翠のおやつを買う事になったけど。
夕方前に僕達が寮に戻ると、エレン学園長とグレイスさんがロビーで会話をしていた。
「おかえりなさいませ」
「おかえり、アルカード君、キーナさん、翠さん」
「ただいま戻りました」
「ただいまなのだー!」
僕達に気が付いたグレイスさんとエレン学園長が挨拶をしてくれたので、僕達も挨拶を返す。
「えっと、他の人は?」
「まだ誰もお帰りになられておりませんね」
「そっか。どうしようかな。エレン学園長に待ってもらうのは恐縮だし……」
僕がそんなことを呟くと、グレイスさんが意外な提案をしてくる。
「それでしたら、エレン学園長に地下施設をご覧になって頂くのは、如何でしょうか?」
「あぁ、確かに。まだ見てもらっていなかったですね」
「そうね。是非見せてもらいたいわ」
エレン学園長も興味を持ってくれたみたいで、地下施設を案内することにする
「……またアルカード君がとんでもない事をしていないか心配だわ」
「え?何か言いました?」
「いえいえ、こっちの話よ」
エレン学園長が何かを呟くのが聞こえたので、聞いてみたけど受け流されてしまった。
そしてエレン学園長を連れて、地下施設を一通り説明する。大方の予想通り、驚きと絶句とため息の連続で、僕は背中に冷たい視線を感じて、居心地が悪い事この上なかった。
「ま、まぁ、想像はしていたけれど……その想像が裸足で逃げ出すくらいのありえない現実だったわ」
「えぇ、私もどこの古代遺跡かと思いました」
「そうよね、アレ」
「そうですね、アレ」
寮に戻ってきてグレイスさんに感想を言うエレン学園長、そして二人の視線が背中に刺さって痛くて仕方がない。
そんな事をしていると、ちらほらと外出していたみんなが寮に帰ってくる。帰ってきた人達はエレン学園長がいることに驚いた後、僕をジト目で見てくるのは何故だろう……
「まず、みんなの憩いの時間を邪魔して申し訳なく思っているの。ごめんなさい」
みんなが戻ってきて、夕食が始まる前に、エレン学園長がまず謝罪から切り出すと、昼間の一件を語り始める。みんなの顔があっという間に強張ったが、こうして僕らが無事な事に安心して、静かに話を聴いていた。
「……それで、あなた方には1ヶ月後に開催される春の選抜戦に是非とも出てもらいたいの」
「その話の流れだと断れませんね。全くアル君ときたら目を離すとすぐこれだ」
「あはははは……」
エレン学園長の話を聞いたカイゼルさんが肩をすくめて僕の方を見るてくるので、僕は愛想笑いで誤魔化す。
「確か春の選抜戦って、各学年から2~3組が出場して学園内での1番強いパーティを決める大会。当然、今まで訓練を積んできた上級生が有利で、ほぼ毎年3年生が優勝していると聞いているが、我々が出て勝ち目があるのだろうか?」
ウォルトさんが顎に手を当てながら考える。
「そうね。毎年1年生でも特待生が集まっているパーティは1回戦を突破できることがあるわ。ただ、2回戦の壁が厚くて、大体ギリギリのところで負けてしまうのよね。去年は2年生ながら、3年生のチームを倒してツァーリ君のチームが優勝したわね。とても不可解な状況に見えたけどね」
エレン学園長がウォルトさんの疑問に答える。でも通常は良くて1回戦突破と言っているんだけど……
「でも貴方達の実力は去年の比じゃないから、きっと良い線まで行くと思うわよ」
そう太鼓判を押してくれる。
「選抜戦は4vs4のチーム戦。試合形式は物理/魔法ありの戦闘で、武具、使用魔法に制限なし。試合場の広さは40m×40mで遮蔽物あり、高低差あり。試合時間は30分。リーダーが戦闘不能or降伏したら決着というルールよ。それと選抜戦でいい成績を残すと試験免除があるわよ」
「ふむ……わかりました。みんなと相談させてもらってからの回答でも宜しいでしょうか」
「参加表明は1週間後に迫っているけど、それまでに参加者含め決めておいてくれればいいわ」
カイゼルさんは相談と言っているけど、今日のトラブルを考えると出場せざるを得ないだろう。って僕が起こしたトラブルなのに他人事みたいに思ってしまった。
「じゃぁ、伝える事は伝えたし、そろそろ戻るわね」
エレン学園長はそう言うと寮を出て行ったのだった。
食事を終えた僕達は、また談話室に集まって相談会を開く。
「全く、また貴方は厄介ごとばかり持ってきて……まぁキーナや翠ちゃんには何もなかったし、貴方も大怪我がなかったようなのは良かったけど」
エストリアさんが両手を胸の下で組みながら、片目だけを開けて、ジトーっと僕を見ながら言う。
「うん、ごめんね。あと心配してくれてありがとう」
「バ、バカッ!!べ、別に心配なんてしてないんだからねっ!それに昨日の事もまだ許し……」
僕がお礼を言うと、顔を真っ赤にして慌て始めて、プイッと背中を背けると口の中でゴニョゴニョと何か言っている。
「それで、そのツァーリとやらの実力はどうなんだ?」
ウォルトさんが冷静な声で聞いてくる。
「あ、あの……ファ、爆炎球の魔法は使える……ようです」
キーナさんの回答を聞いたウォルトさんが顎に手を当てながら頷く。
「となると、ランクD+くらいはありそうだな。まぁ、やってやれない事はないかもしれん。まぁ他に隠し玉を持っていたとしても、学園の3年生レベルならランクC+まではいかんだろうからな。地下施設でみっちり訓練をすれば、何とかなりそうだ」
ウォルトさんは冷静に状況を分析して、勝ち目がありそうだと判断する。
「それより気になると言うのは不可解な状況というやつだね。彼の評判や行動を鑑みると、裏で何かをしているのは間違いないだろう。搦め手でこられると厄介だ」
そしてカイゼルさんが軽い口調で話し始める。
「早急な情報収集が必要になるね。取り急ぎは前回の特待生などに話を聞いてみたい。まぁ、どうであれアル君がやらかしてしまった責任は取らないとならないから参加はするとして誰が参加するかだが……申し訳ないが、私とウォルトは外れる必要があるだろう」
カイゼルさんは、僕のやらかしの対応もあるので、既に参加を決めていたようだ。だけど、カイゼルさんとウォルトさんが外れるとは一体?
「カイゼルはともかくウォルトがいないのは戦力的に痛くないか?」
オスローが戦力を分析しながら手を上げて発言する。
「オスロー君の言う事も分かるが、相手が搦め手で来ている以上、誰かがそれを阻止する必要があるからね。そこら編を調べるのは私が最適だと思っているのだけれども、一人で動くのは何かと問題がありそうなので、ウォルトに護衛をしてもらいたいんだ」
なるほど、確かに冷静だし視野も広くて頭の切れるカイゼルさんが情報収集に最適だろう。そしてそういう事を調べるには危険が伴うのは当然。カイゼルさんの護衛といったら、昔から護衛をしているウォルトさんが最も適任になるだろう。
「もう一人は頭が柔軟で機転が利くサブが欲しいんだが……キーナ嬢を抜くと魔法戦力的に問題があるから……ふむ、申し訳ないがイーリス嬢も私を手伝ってくれないか?その交渉力、行動力、判断力は情報戦の武器になる」
「え?!ウチでえぇの?」
カイゼルさんから突然指名されてイーリスさんがとビックリする。
「となると、春の選抜線の参加者はアル君、オスロー君、翠君、キーナ嬢になるね。前衛2、中衛1、後衛1のバランスの良いパーティになるか。アル君は、魔法による攻撃/防御を主として、いざというときには前に出る事も必要になってくるだろう」
カイゼルさんが分析し大まかな戦闘指針を決めていく。
「中衛的ポジションは色々やることが多いから、そのポジションの動きに最も近いエストリア譲と一緒に訓練するといい」
「ア、アルカード君と、ふ、二人で?!」
カイゼルさんの提案に、エストリアさんが戸惑った声を上げる。
「翠君とオスロー君に高度な魔法戦ができると思うか?」
「い、いや。それはちょっと無理じゃないかなーって私でも思う」
「では、決まりだ。幸い良い成績を残すと試験免除があるらしいので、この1ヶ月は春の選抜戦に集中しよう。4人は前衛/中衛/後衛での役割に応じた特訓を、私とウォルトは対戦相手の情報収集と何よりツァーリの周辺調査に専念だ。エストリア嬢はアル君と特訓しながら、我々のサポートをよろしく頼む。何か問題や意見があるなら言ってくれ」
カイゼルさんが今話した内容を全てを取りまとめた上で結論付ける。
「よし、意見もないようなので、明日からその指針で進めるとしようか」
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