チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第40話(強すぎる力の対策)

 訓練場から引き上げた僕達は、まずグレイスさんに事情を説明する事にする。
「なるほど。そのような施設が作られたという事ですね」
「明日、エレン学園長に相談してきます。今日の所は、もうすぐ夕食ですから食堂にお集まりください」
 グレイスさんは指を顎に当てながら考え、答えを導き出すと僕らに夕食を促す。ハードな訓練をしてきた僕らは、お腹がペコペコになっていたので、すぐに食堂に向かう。

 食事が終わると、僕らはまた談話室に集合する。

「問題を起こしているのはアルカード君なんだからねっ!」
 毎日談話室に集まって会議しているなぁと僕が思っていると、その表情を見たエストリアさんが目の端を吊り上げて抗議してくる。

「さて、今日みんなも体験した通り、アルカード君ので、僕らはとてつもない設備の訓練施設で訓練する事が可能になった」
 いつも通り司会進行は立ち上がって現状分析と対策を語り始めるカイゼルさんだ。

 どうやら僕が眼鏡さんから教えてもらう数々の仕業は≪いつものやつ≫に纏められてしまったようだ。

「この訓練施設で訓練していけば、私達はかつて類を見ない程の成長ができるのは間違いない。しかし、才能だけでは説明の付かない成長に、他の生徒達が訝しむのは目に見えている。真相を暴こうとする者が必ず現れるだろう」
 カイゼルさんは僕達の一人一人の顔を見ながら確認し、話を続ける。

「そこで私達には3つの選択肢がある。1つ目はこの施設を使わない事だ。そうする事により今までどおりの普通の学園生活が送れるだろう。2つ目はこの施設を全学園生に開放する事だ。そうすればやる気のある生徒はどんどん使って実力を伸ばす事ができるだろう。3つ目は私達の能力に制限をかけて振舞う事だ。他の学園生の前では、学園生としての許容範囲内の能力しか使わないように過ごす事でトラブルを未然に防ぐ」
 カイゼルさんは、そう分析してプランを3つ提示する。

「1つ目は論外だな。せっかくあるのに使わないとか、自分の能力を伸ばさないとかって自分の夢の幅を縮める以外の何者でもないからな」
 カイゼルさんの話を聞いたオスローが1つ目の案に反対する。

「2つ目も論外ね。入り口がこの寮だけに私達の生活に土足で踏み込まれてしまうわ。それに、この施設が何故ここにあるのかと、存在を訝しむに決まってる」
 エストリアさんが2つ目の案に反対する。

「ウチも二人の考えには賛成やけど、あえて反論させてもらうわ。1つ目、そもそもアルはんがこの施設を作らへんかったなら、存在せんもんやから、夢の幅を狭めてはいーひん。まぁ広がってもおらへんけど。2つ目、出入り口を他に作れば、この寮に土足で踏み込まれる事は避けられるんちゃうの?また古代遺跡を発掘したーとか何とか言うとけば施設の存在は誤魔化せるんとちゃう?」
イーリスさんが鋭い反論を返す。

「イーリスの指摘する通りね」
 エストリアさんは素直に反論を飲み込むと顎に手を当てて考え込む。

「あ、あの……1つ目、2つ目共に、こ、この新しい魔術体系を秘匿しつつ、研究・訓練・選別するという目的から……外れてしまうのではないでしょうか?」
 キーナさんが挙手をすると、口ごもりながら発言する。その意見にみんなも頷く。

 他に意見がなく、空白の時が少し流れるとカイゼルさんが話を進める。

「他に意見はもうないようだね。私もみんなと同じ意見になる。1つ目、2つ目はそれぞれが意見してくれた通りのメリットとデメリットがある。となると3つ目しか選びようがないんだが、これも大きな問題があってだね……とある少年と少女の常識が今一つ信用できないのがなぁ……」
 カイゼルさんはそう言うと、チラッと僕とエストリアさんの膝枕で爆睡している翠を見る。

『ふむ、力を制御したいのですか?それなら手はありますよ。力を制御する魔法式を組み込んだ装備を身につけておけばいいんです』
 そんな僕に眼鏡さんからの提案があった。

「えっと、力を制御する装備品を作って装備するのはどうでしょうか?」
 僕は少し考えてから挙手して提案する。

「なるほど、装備品で制御するのであれば、うっかり大魔法を使ってしまったという事は少なくなりそうだ。だが、それを作る事は可能なのかい?」
 カイゼルさんが聞いてくるので、僕は眼鏡さんに確認する。

『とりあえず、制御用の付与術式は組み上げておきます。明日の朝には出来ていると思いますよ。媒体は多分、武具庫にありますね』

「明日には作業に取り掛かれると思います」
「作業……?」
 僕が答えると、その内容に疑問を持ったのかエストリアさんが首をかしげる。

「では、目下の方針は3つ目の能力制限で、それは装備品にて制御する方向にする。装備品は近日中に配布することにする」
 カイゼルさんがそう方向性を定めると、みんなが「おーっ!」と拳を突き上げて同意する。

「しっかし、凄い施設だったよな。あの施設で3年も訓練したら、凄く強くなれそうだ。最終目標は≪A≫ランクに勝てるようになることだな!」
 談話室での会議が終わり、部屋に戻っている最中に興奮気味に語る。

「Aランクっていうと、父さんに勝てるようになるという事か。何か先は長い気がするなぁ」
「長いかもしれないけど、無理って事じゃないんだろ?」
「うん。僕らにはまだまだ成長する伸び白があるからね」
 オスローと色々話ながら、部屋に戻った僕達は、訓練施設で身体を動かし、温泉で汗を流し、おいしい夕飯を食べた事もあって、布団に入ると直ぐに寝てしまうのだった。

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